目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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お別れの会

「クレイナさまと、もうお話出来ないんだね……」

「ありがとう、クレイナさま……大好きだって、はずかしくて言えなかったの、ごめんなさい!」

 

 クレイナが、永遠に覚めぬ眠りへとついてしまってからすぐ、私やメイドさんたちを含めた館の全住人はレミリア姉様の号令により、中庭に集められていた。ささやかながら、お別れ会(お葬式)を開くためである。

 

 彼女は誰に対しても思いやりがあって優しく、一緒に居て楽しい人間であったために、殆んど全員が沈んでいるか泣いているかの状態だ。

 赤髪の妖精さんを含む、愉快な5人の妖精さんに至っては笑みを浮かべながら泣くと言う、首飾りをつける前の私を彷彿とさせる様子を見せている。痛い程その気持ちが分かるだけに、私自身も感化されてどんどん辛くなっていく。

 

「リーシェ、大丈夫? 泣きたくなる位に辛いなら、ここに最後まで居なくても良いんだよ? エルの時みたいに、お墓参りは心の整理がついてからでも……」

「ううん……大丈夫だよ、フラン姉様。エルの時は暴走しちゃって最後まで居れなかったし、辛くても最後までお別れ会を頑張るって誓ったから」

「……そっか」

 

 そんな時に、自分も悲しくて辛い中、同じく辛い私を心配してくれているフラン姉様から、無理してここに最後まで居なくても良いんだよと気を遣う言葉をかけられた。

 

 確かに、フラン姉様の言った通り、少しでも気を抜いた瞬間に辛さのあまり、この場で大泣きしてしまいそうな位には辛い。

 しかし、誰にも約束はしていないけれど、クレイナが死んでしまった時は何が何でも、最後までお見送りをすると誓っていたため、大丈夫だよと答える。

 何か言いたげなフラン姉様だったけれど、私が本気だと理解するや否や、言うのを止めて頭を優しく撫でてくれた。お陰で少しだけ、心の痛みが和らいだ。

 

「レミリアさま。パチュリーさまが、水の結界を張る準備が整ったと言ってますよー」

「あら、ご苦労様……リーシェ! ちょっとこっちに来れるかしら?」

 

 そんな中、少し離れたところでメイドの妖精さんからの報告を受けていたレミリア姉様が、何か言いたげな感じで私の方を見た後、こっちに来れるかと呼びかけられたのを聞いた。

 パチュリーが水の結界を張る準備が整ったと、妖精さんは言っていたけど、一体どう言う事だろうかと思いながら、レミリア姉様のところに向かう。

 

「レミリア姉様。呼ばれたから来たけど、どうしたの?」

「あら、ありがとう。それで、リーシェを呼んだ理由だけど……クレイナの弔いを、()()()()()やってみない?」

「えっ、私が?」

「そうよ。嫌だったかしら?」

 

 すると、レミリア姉様は私がどうしたのと聞くやいなや、予想外の事を口にし始めた。それは、私にクレイナの弔いを主体でやってみないかと言うものだ。恐らく、フラン姉様との会話の際に私が言った事を聞き取り、それならやらせてみようかと思いついたのだろう。

 

「……嫌じゃないよ。ただ、責任重大だなって思っただけだから」

「なるほど。まあ、余程気の狂った行動や発言をしない限りは大丈夫だし、あまり気を詰めすぎなくても良いわ。それに、主体でやると言っても難しい事をする訳じゃないから気楽に……とは、事が事なだけに言いづらいけど、適度に頑張りなさい」

 

 勿論、()()()()()()()()嫌ではないのでそれを了承すると同時に、レミリア姉様の問いかけに対して少し時間をおいた理由を付け加える。

 

 そんな感じで不安を感じている中、レミリア姉様はフラン姉様が私にしてくれた様に、優しく頭を撫でてくれつつ、加えて軽く私を抱きしめてくれた。お陰で、クレイナが死んでしまった時に感じていた心の痛みが更に和らぐ。

 

「じゃあ、そろそろやりましょうか。さてと……皆。そろそろお別れ会を始めるわよ!」

 

 で、レミリア姉様は私を軽く抱きしめてくれた後、泣いたり沈んだりしている館の皆にそろそろお別れ会を始めると呼びかけ、とうとうそれは始まった。

 

「ありがとう、クレイナ。貴女と一緒に居れた時間はかけがえのない、とっても幸せな思い出になったよ」

 

 まずは、幸せそうな顔で永遠の眠りについているクレイナを背負ってくれている美鈴にお願いし、妖精さんたちに掘ってもらったお墓の下の穴へと丁寧に下ろしてもらった。

 

 それからすぐに、スカートが汚れるのを厭わずに穴の側へ座り、今まで一緒に居てくれた事に対するお礼の言葉をかけて、レミリア姉様たちにも一言かけてあげてと促した。こう言う事を心からやってあげれば、クレイナも天国で喜んでくれるだろうと思うのだけど、果たしてどうなのだろうか。

 

 後、私なりに思いを込めて即興で作った詩を贈ったりもした。その道のプロが見たら穴だらけかも知れないけれど、今は考えない事にしよう。

 

「リィ、これを渡しておくわ」

「……パチュリー、これは?」

(とむら)いの灯火(ともしび)よ。後は貴女が祈って、クレイナに火を灯してあげなさいな」

 

 皆の言葉かけが終わると、パチュリーが火の灯った松明を持ってきて、私に渡してきた。曰く、皆の祈りが込められている様で、後は私が祈りを込めて火を灯してあげるだけであるらしい。

 

 遂に、この時が来た。これを済ませてしまえばもう、クレイナの姿を見る事は出来ないのだけど、やらなければやらないでもっと酷い光景になる訳だから、勿論やるのだけれど。

 

「うぅ……さようなら。クレイナ……」

 

 そんなこんなで火を灯した瞬間、胸が引き裂かれそうな悲しみと言う例えが本当であるかの様な()()が、私へと降りかかってきた。更に、呼吸がしづらくなり、我慢していた涙が勝手に溢れてきていると言った、身体の変化までが起こる。

 

 ただ、レミリア姉様とフラン姉様がいつの間にか側についていてくれたから、あまり辛くなりすぎずに済んだ。

 

「ご苦労様。リーシェ、もう大丈夫。辛いなら声をあげて泣いても良いのよ?」

「うん! リーシェ、辛いのに良く頑張ったよね、お疲れ様! 存分に泣いても良いんだよ!」

「う、あぁぁぁぁ……!!」

 

 そして、灯火が消えて全てが終わった後、レミリア姉様とフラン姉様にもう泣いても大丈夫だと言葉をかけられた事によって、堰を切ったかの様に涙が溢れ出てきた。

 クレイナともう2度と会う事が出来ないと言う事実を改めて突きつけられたのと、最後までお見送りをする事が出来た嬉しさが入り交じったためだ。

 

 本当に良かった。エルの時みたいに暴走して皆に迷惑をかけた挙げ句、お別れ会に参加する事が出来ないなどと言う地獄にならずに済んだのだから。これも、私をいつでも支えてくれた館の皆のお陰である。

 

「皆、もうお別れ会はおしまいだよ。お疲れ様!」

 

 そうして、泣いていて喋る事すらままならない私に代わって、フラン姉様がお別れ会の終了を宣言した事によって、この時は幕を閉じる事となった。

 




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