「リーシェ、パチェ。貴女たち2人に聞いて欲しい話があるのだけど、良いかしら?」
「うん。私は良いけど、パチュリーは?」
「私も構わないわ、レミィ」
パチュリーと一緒に、図書館で魔法談義でもしながらのんびり過ごしていたある時、レミリア姉様が私とパチュリーにも聞いて欲しい話があると、そう声をかけてきた。
レミリア姉様の表情や話し方、仕草からそれなりの面倒事が舞い込んできたのは良く分かる。私が咄嗟に思い付く面倒事と言えば、最近大人しくなっているコルベルシア家関連か聖魔騎士団絡みの事柄だけれど、一体どっちなのだろうか。そんな事を思いながら、パチュリーと一緒に話してと促した。
「2人共、ありがとう。実はね、うちの傘下の吸血鬼一家から救援依頼が来てるのよ」
「私たちに救援依頼? と言う事は、随分と大層な事態なんだろうね。相手は同族かな? それとも、聖魔騎士団?」
「聖魔騎士団よ。流石に
「なるほど。じゃあ、依頼をしていた吸血鬼一家を襲ってるのって、聖魔騎士団の中堅辺りなのかもね」
「ええ、恐らくそうに違いないわ」
すると、レミリア姉様からの話を聞いて、私の予想通りの面倒事が舞い込んできた事が判明してしまった。何でも、とある弱小吸血鬼一家から、聖魔騎士団の襲撃に対処しきれなくなりそうなため、救援をお願いしたいとの事みたいだ。
たった今、フラン姉様が紅魔館のエントランスに恥を忍んで大泣きしている、ボロボロの使い魔の応対をしているらしい。想像以上に酷い事態である。
「そこでお願いなのだけど……今回は、リーシェとパチェに行ってきてもらえないかしら? 理由は色々あるのだけど、1番は行くなら2人が良いって
で、ある程度話を終えた後にレミリア姉様が一呼吸置いたと思ったら、私とパチュリーの2人でその吸血鬼一家の救援に行ってきて欲しいと、お願いを持ちかけてきた。
話しかけてきた時の様子からして、何かお願いをされるだろうなとは思っていたけれど、私とパチュリーで救援に行ってきて欲しいと言われるとは思っていなかったら、少しだけ驚く。
ただ、レミリア姉様が自分自身やフラン姉様だけで行かずに、私とパチュリーにお願いしてくると言う事は、相当良い運命を見た訳である。
それに、大好きなレミリア姉様からのお願いである。体調も万全だし、早急に取りかからなければいけない魔法の研究もないし、今の私に行かない理由が万に一つもなかった。
「なるほどね。レミィの見た運命なら信用出来るわ……それで、リィ。貴女はどうするつもり?」
「うーん……パチュリーの言う通り、レミリア姉様が見た運命は信用出来るし、何より大好きな姉様のお願いだから……行くよ」
「そう。リィが行くと決めたのなら、私も行くわ。身体の調子もかなり良いからね」
「リーシェ、パチェ。本当にありがとうね。無事を祈ってるわ」
だから、パチュリーが私に貴女はどうするのかと聞いてきた時は、迷いなく行くと答えた。これによってパチュリーも行くと決め、ボロボロの使い魔を寄越してくる程、状態が逼迫している吸血鬼一家の元へと向かう事が決まった。
80年前よりも能力を鍛え上げて弱い身体能力をカバーし、パチュリーとの共同や個人での魔法研究にも熱を入れ、レミリア姉様やフラン姉様に褒められる位には強くなったけれど、だからと言って油断は禁物である。故に、私の得意分野である遠~超遠距離戦で、敵を出来る限り減らしていくつもりだ。
「あっ、リーシェ! パチュリーも一緒って事は、このボロボロ使い魔さんのお願いを聞く事にしたの?」
「うん。レミリア姉様から話を聞いて、行こうって決めたの」
「そっか……頑張ってね、リーシェ! パチュリ! 2人共、絶対に無事に帰って来て!」
「勿論だよ、フラン姉様。ちゃんと元気に帰ってくるから」
「当然よ。リィと一緒に元気に帰ってくる事を誓うわ」
そして、パチュリーと一緒に外に出ようとした時に、本当にボロボロと言う言葉がピッタリ当てはまる使い魔さんの応対をしていたフラン姉様に声をかけられたので、パチュリーと一緒に元気に帰ってくると誓いを立てた。
本当なら自分もついていきたいと言ってきそうだったけれど、レミリア姉様が運命を見てお願いしてきた事だけあってか、ぐっと堪えていたのが良く分かったから、尚更元気に帰って来なければと言う思いが私の中で強くなっていった。そしてそれは、パチュリーも同様である事が良く分かる。
「ありがとう、ありがとう……これで、私のご主人が救われます。あっ、これは私のご主人の館までの場所を簡易的に示したメモです。分かりにくく、申し訳ないです」
「ううん、大丈夫……じゃあ、パチュリー。行こう」
「ええ、行きましょうか」
そして最後に、フラン姉様と話していたボロボロの使い魔さんとのやり取りを交わし、目的地までの簡易的な地図をもらった。私とパチュリーが救援に駆けつける事に対して大泣きしながら喜んでるのを見るに、予想よりも相当良くない状況なのだろう。駆けつける前に全滅していなければ良いけど……
「行ってらっしゃい、リーシェ。パチェ」
「うん、行ってくるよ。レミリア姉様」
「行ってくるわ。レミィ」
頭の中でそんな事を考えながら、吸血鬼一家の下へと救援に駆けつけるために、私とパチュリーはレミリア姉様たちに見送られながら館を飛び立っていった。
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