目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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魔女と雷天使の双舞(前編)

「リィ、まだ着きそうにない?」

「えっと、ここから30㎞先にそれらしき場所が確認出来てるから、このままの速度で飛んでれば4分10秒後に上空に着くよ。それと、守護対象の吸血鬼さんたちは、危なげながらも持ちこたえてくれてるみたい」

 

 傘下の吸血鬼を聖魔騎士団の攻撃から守るため、依頼を受けたレミリア姉様たちの代わりに救援に向かっていた私は、同行していたパチュリーに後どれくらいで着きそうかと言うのを説明していた。

 

 能力を頑張って鍛えていたお陰で最大探知距離が30㎞に伸び、探知妨害の対策が功を奏したのか、聖魔騎士団の対探知魔法か何かが発動しているにも関わらず、脅威度の高い80人の情報が私の頭へと攻撃に必要な分だけ届いてきている。

 

 勿論、影響が小さくなっているとは言え見辛くされている事には変わりない。相手が地上の目標なだけあって、現時点での攻撃手段である切り札の魔法の命中率低下は免れないだろう。流石、聖女と聖女を守る親衛隊と言った主力陣が居ないとは言え、数々の吸血鬼や悪魔を葬り去ってきた厄介な相手だけある。

 

「その距離なら、リィの切り札の射程には入ってるって事だし……それを使って、どの程度敵を排除出来るのかしら?」

「うーん……精々、探知出来てる80人の4割を3発の『サジタリウスの烈矢(れつや)』で削る位。ただ、対空攻撃ならともかくとして、この魔法は対地攻撃を主としてる訳じゃないから、ある程度強力な迎撃・防御魔法を使われたらもっと減るかも」

 

 なんて事を思いながら説明をしていた時、パチュリーから私の切り札魔法であるサジタリウスの烈矢を使い、到着する前にどれだけの敵を排除出来るのかと問いかけられた。

 

 相手が全員空中に居てくれれば、探知出来ている敵の情報から、自信をもって8割以上の敵を排除出来ると宣言していただろう。

 しかし、今回の敵は一部の例外を除いた大半が地上に居る上、ほんの一瞬だけ能力を全開で使った瞬間、新たに探知出来た分の騎士団()守るべき味方と混戦状態となっている事が分かってしまった。

 故に、最初に探知出来た80人の4割が上手く行けば排除が可能で、相手の出方によってはもっと減る可能性があると伝えた。

 

「なるほどね。まあでも、土属性の防御結界や魔力妨害があったとしても、レミィやフランに『まさに切り札に相応しい』と言わしめたそれを、聖女と親衛隊抜きの今回の敵にはかなりの効果が見込めると思うのよ」

「うん、確かにレミリア姉様もフラン姉様もそう言ってくれたけど……」

「それに、この距離からの攻撃手段はどのみちサジタリウスの烈矢しかない訳だから、敵の数を少しでも減らすためにやった方が良いわ。いざとなれば、私も魔力供給で協力するから」

「分かった。じゃあ、今から始めるね」

 

 結果、パチュリーは例え土属性の防御結界や魔力妨害などがあったとしても、私の切り札は今回の敵に対して確実にかなりの効果があると、どのみちこの距離からの攻撃には手段がそれしかない事も併せてやった方が良いと強く言ってきた

 

 確かにその通りである。いくら私やパチュリーでも対処可能な中堅クラスの聖魔騎士団とは言え、実力自体は決して低くはない彼ら彼女らが数に任せて攻めてきたら、守るべき味方だけでなく私たち自身も危ない目に合うかもしれないのだから。

 

(ふぅ……いくよっ!!)

 

 そう思いながら、味方を巻き込む事のない位置に居て、かつ脅威度が高い敵へと対象を定めてからサジタリウスの烈矢を発動、17秒ごとに1発を音速の2.5倍の速度で放つ。

 私自身が空中をそれなりに速い速度で飛行しながら、この魔法を発動するのは初めての経験であったけど、青白い尾を曳きながら4発の雷の矢はしっかりと敵に向けて飛翔していったから良かった。

 

(1発目と2発目は命中、3発目は……逸れかけたけど何とか命中、4発目は……危なかったぁ)

 

 で、放ってから1分半が経とうとした頃、私が放った4発の矢は味方に()()()()死傷者を生み出さず、敵に対して全て命中した事を能力によって知った。

 中でも、強烈な魔力妨害結界が発動して矢があらぬ方向に逸れかけるも、何とか敵には命中した3発目、守るべき味方を盾にされかけた4発目の時は本当に叫びそうになったけど、他の味方の活躍によって事なきを得た。

 

 この結果から、いくら味方を巻き込まない位置に居る敵に対してとは言え、敵味方が入り乱れた混戦時のこの魔法使用は控えた方が良いと結論を出す。守るべき味方を自分の攻撃で殺してしまったとあっては、仕掛けた私だけでなく紅魔館の皆のイメージまでもが死んでしまうのだから。

 

「パチュリー。ちょっと危なかったけど、それなりには減らせたよ! 後はより近づいて、傘下の吸血鬼さんたちを殺そうとする敵を始末するだけ!」

「そう。流石ね、リィ」

「えへへ、ありがとう! さてと、後は今ので始末しきれなかった敵を近づいてどんどん排除していくだけだよ!」

「ええ、勿論よ。私もリィみたいに頑張らないとね」

 

 そして、能力によって知った攻撃の結果をパチュリーに報告し、今ので始末出来なかった残りの敵を始末しに行くため、周りを警戒しながら混戦現場となっている目的地へと一緒に飛んでいった。




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