「おい、お前ら!
「みたいですね。しかし、まさかこれ程までの戦力を送っていただけるとは……」
「この際、そんなものはどうでも良いです! とにかく、先程までの猛烈な攻撃に、リーシェさんとパチュリーさんの登場で敵が動揺している今の内に押し返します!」
空中を飛行しながら放った、切り札の魔法であるサジタリウスの
パチュリーには今にも死んでしまいそうな吸血鬼さんの位置を伝え、主に敵の攻撃からの防御と隙を見ての回復役をしてもらい、私は余裕のある時のサポートと敵に対する積極的な攻撃役を買って出た。
お陰で、守護対象の吸血鬼さんたちの状況も少しずつではあるけれど好転し始め、反対に聖魔騎士団の状況を悪い方へと少しずつ追い込む事が出来ている。
ただ、相手もそれなりの数と手練れの聖騎士や魔導師を引き連れていて、敵味方入り乱れている状況である事には変わりない。その上、能力に加えて
「くそっ! 奇妙な音を立てて向かってくる迎撃弾をやっとの思いでくぐり抜けたと思ったらあの回避行動……奴には死角などないと言うのか!?」
「なんて事だ……
現に、箒に乗るか着の身着のままで空を飛ぶ聖魔導師たちからの魔法攻撃、私へと攻撃対象を変えた地上の聖魔導師たちからの猛烈な対空砲火によって、5回程反射回避が発動しているからだ。
攻撃を捨てて完全に回避・迎撃体勢を取れば、私の魔力が続く限りは今戦っている強さの敵が倍の40人集まって攻撃してきても余裕で反応可能なため、反射回避が発動する事はない。しかし、命のやり取りを交わしている時に攻撃を捨てる訳には当然いかないため、1人で対処するのはかなり大変である。
そして、パチュリーの方は切り札である賢者の石を筆頭とした、非常に強力かつ光属性以外の魔法を複数同時に使用し、守護対象の吸血鬼さんたちを守ったり回復させたりしていた。
元々の膨大な魔力と、それを余す事なく活用出来る知識と技術があって初めて出来る様な行為を涼しげにやってのけるなんて、流石としか言い様がない。守るだけならともかく、攻撃と回復も高水準でこなせなどと言われたら、自信をもって無理だと即答してしまうだろう。
「人を喰らう吸血鬼が、くたばってしまえ……!」
「なっ、そうはさせない……喰らえ!!」
すると、色々な音でうるさいこの状況下で、私の耳が運良く味方の吸血鬼さんを殺そうとする聖騎士の声を捉えたため、慌てて能力と目でその方向を探ってみたところ、後もう少しで忌々しい魔力を帯びた剣でその身体に到達しそうな状況に陥っていた事に気づいた。
なので、すぐさま『
(うわっ、やっぱりかぁ……)
で、今助けた吸血鬼さん以外に同じ様な状況に陥っている吸血鬼さんが沢山居るかもしれないと思い、探知数を最大まで上げてみたら、案の定だった。
結構数が多く、パチュリーや他の戦える吸血鬼さんたちでも手に負えなそうだったから、
誤爆を防ぐための瞬間自壊術式を組み込んであり、なおかつ爆発したりせずに貫徹力を高めているこの魔法は今のこの状況に合致している様で、狙った敵の殆んどに命中してかなりの効果を発揮してくれた。
迎撃されたり、タイミング良く吸血鬼さんを盾として何人か使われてしまうなどして命中しなかった敵も存在したけれど、結果として危ない状況におかれた吸血鬼さんを助ける事は出来たので、まあ良しとしよう。
「ええい! 魔女と雷天使が来てから戦況は悪くなる一方、どうにかなんないのか!?」
「我々に出来る訳なかろう! 奴らは、聖女様と親衛隊が対処する様な敵だからな!」
「このまま戦っていれば全員殺されてしまう……撤退するべきではないか?」
「うむ。聖教会も、上位者が援軍として来るなどして状況が芳しくなくなった場合は撤退せよと言っていたから、それが最適だろう。幾ばくか、吸血鬼自体は減らす事が出来たしな」
頭の片隅でそう考えながら戦っていると、最初の半分以下にまで減ってきた聖魔騎士団の面々が撤退した方が良いのではないかと、そう言っているのを聞いた。
私としては、今回の目的は敵の殲滅よりも吸血鬼さんたちの守護であり、そうしてもらった方が良いと思っているから、撤退するとしたら止めるつもりはない。
「よし、ならば……お前たち、吸血鬼殲滅は不可能となったため、撤退せよ!!」
そしてすぐに、残った聖魔騎士団の中で1番偉いであろう人物が撤退せよとの命令を出したために撤退が始まり、聞き取れずに攻撃を続けていた敵を吸血鬼さんたちが排除した事によって、この戦闘は幕を閉じる事となった。
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