フラン姉様の240歳の誕生日を祝う会まで後もう少しとなった今日の真夜中、渡す手紙やプレゼント、誕生日会の流れについて最後の確認をしていた私は、一緒に居たレミリア姉様の機嫌がいつになく良い事を不思議に思っていた。
勿論、大好きなフラン姉様の誕生日会なのだから、楽しそうにしていて機嫌が良いと言うだけでは特段不思議には思わない。そう思っているのは、去年以前の覚えている限りの誕生日会と比較しても、極めて高揚している様に見えたからである。どう考えても、誕生日会以外に何か要因があるに違いない。
「レミリア姉様……何だか凄く機嫌が良いみたいだけど、フラン姉様の誕生日会がそんなに楽しみなの?」
「ええ、とっても楽しみよ! つい昨日、私の望みが叶ったのもあるから余計にね」
「レミリア姉様の望み……? もし良ければ、私に教えて欲しいんだけど……」
「勿論よ!」
しかし、今日は誕生日会以外にレミリア姉様の気分を高揚させる事が出来るものや出来事などに対して、私に心当たりは全くもってなかったから、そんなに楽しみなのかと聞いてみた。
すると、誕生日会は当然楽しみではあった様であるものの、それに加えて自分の望みがほぼ完璧に叶ったからだと答えてきたため、もし良ければと予防線を張った上で尋ねたところ、とある事実が判明した。
それは、同族である吸血鬼さんたちの私の容姿などに対する陰口や嫌味、好奇の視線などと言ったものをないに等しいレベルにまで抑えられた上、聖魔騎士団の最高戦力である聖女エルラートやその親衛隊から恐ろしい
私自身、正直に言ってしまえばその場に居る居ないに関わらず、容姿関連で強烈な貶され方をされたとしても物理的な被害がなければ別にどうでも良いし、聖女と親衛隊から危険な吸血鬼認定されるのも、普通に考えれば特に嬉しいものではない。
「なるほどね。あっ、だからあの時パチュリーと2人で救援に行かせた訳なんだ」
「まあね。危険な吸血鬼認定はともかく、リーシェの容姿関連の陰口に嫌味に好奇の視線をないに等しくするのは予想以上に時間がかかったけれど、これでようやく……パチェの名前も」
「そっか……ありがとう、レミリア姉様」
ただ、レミリア姉様やフラン姉様は私が容姿などで貶されたりしているのを見聞きしたり知ったりすれば、まるで自分の事であるかの様に怒ったり悲しむため、そう言った事が極めて少なくなるのはありがたい。
後、聖女やその親衛隊から危険な吸血鬼だと認められて畏れられると言うのも、人間からの畏れが存在意義である妖怪の吸血鬼の私にとっては有利に働く訳であるから、見方を変えれば嬉しい事だと言えるだろう。
傘下の吸血鬼さんを守りに行ったあの日、いずれこうなる運命を見たからパチュリーと一緒に行かしたらしいけど……その望みが叶ったのなら、レミリア姉様が嬉しがるのも納得だ。
ちなみに、私と一緒に行ったパチュリーは複数の強力無比な魔法を同時に操り、聖魔導師の魔法攻撃を一切寄せ付けなかった上、吸血鬼さんたちに与えたはずの傷まで瞬く間に治して見せた事から今現在、聖魔騎士団や他の吸血鬼さんたちに広く名前が知れ渡っている。
「さてと、リーシェ。恐らくパチェや美鈴、妖精メイドたちの準備が終わる頃だと思うから、部屋で待っているフランを連れて食堂へと行きましょう」
「うん。フラン姉様、喜んでくれると良いなぁ」
そんな感じでパチュリーと行ったあの時の話などで盛り上がっていた時、レミリア姉様が机に置いてある3つの砂時計の砂が完全に下へと落ちている事を確認すると、フラン姉様を呼びに行って一緒に食堂まで行こうと言ってきた。
ちょうど流れの最終確認を終え、あげるはずのプレゼントに何か不備はないかと言った確認も済ませていたため、タイミングが整えばここでのんびりしている暇はない。なので、しっかりとあげるプレゼントを手に持ち、レミリア姉様と一緒に部屋を出ていった。
「フラン、お誕生日おめでとう!」
「フラン姉様、お誕生日おめでとう。今年も頑張って作ったプレゼント、受け取ってくれたら嬉しいな」
「あっ、お姉様! リーシェも……えへへ、ありがとう!」
で、弾む足取りでフラン姉様の待つ部屋へと向かい、レミリア姉様と共にお祝いの言葉を述べた後は、喜んでもらうために用意したプレゼントをそれぞれ渡した。
「お姉様とリーシェの手作りの物がもらえるなんて嬉しいなぁ……ありがとう! ずっとずーっと、大切にするね!」
今年のプレゼントは、レミリア姉様は簡単なガラス細工で私は冬の寒い時期に使って欲しいと編んだマフラーである。
今までやった事のない裁縫を、そう言う類いの事が得意な妖精メイドさんから教わりながらやったけれど、見た目はやはりそれには劣ってしまっていた。だから心配だったけど、フラン姉様はガラス細工と同じくらい喜んでくれていたから、ホッとひと安心だ。
そして、ひとしきりこの幸せな時間を過ごした後は、美鈴やパチュリーたちが準備を済ませて待っている食堂へと、フラン姉様を真ん中にして仲良く3人で手を繋ぎながら一緒に歩いていった。
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