「レミリア姉様、真剣に仕事してる時にごめんね。少し前、大変な事が起きたから伝えておかなくちゃと思って……」
ついさっき、紅魔館に訪ねてきた少し怪しげな吸血鬼さんからもらった
紙に書かれた文言は、この箱を開けると魔法銀のナイフや破邪の聖水に退魔の加護が施された針などが飛び散り、同時に光属性の罠魔法が発動してしまうため、開けずに上手い事処理してくれと言うものだった。
最初は家族やメイドさんが人質に取られていたため、これは罠だと書かれたこんな紙を渡すつもりはなかったらしい。
しかし、約束を反故にされて自分以外全員、言うのも憚られる残虐行為の犠牲者となってしまったため、奴らに従う義理などなくなったと言う理由で隠れてこの紙を用意し、今日渡しに来たと書かれていた。
で、本当なら渡してきた箱も安全な偽物を用意しようとしたみたいだけど、偽装対策がされていて不可能であったとの事らしい。
最近は大人しかったとは言え、いつか行動を起こしてきそうだと思っていたから、紙の文言を見た瞬間にやっぱりかと呆れ果てると共に、家族やメイドさんたちが残虐な行為の犠牲者にされてしまい、自身も命が危なくなっている吸血鬼さんに、少し同情する気持ちが生まれた。
ただ、1番大切なのは大好きな紅魔館の皆であるから、むやみやたらに行動を起こす訳にはいかないのだけど。
「大変な事? リーシェ、詳しく話して欲しいわ」
「うん。実は……」
すると、当然の如くレミリア姉様から詳しく話して欲しいと言われたため、今までのやり取りを説明しつつ手に持っていた吸血鬼さんから渡された紙を渡して、例の箱はパチュリーに扱い方を任せておいてある事を伝えた。
姉様2人ですらまともに食らえばとても危ないであろう、魔法銀のナイフに破邪の聖水、退魔の針を筆頭とした聖具に光属性の罠魔法を防御対策なしで食らおうものなら、身体の弱い私は死んでしまう。だから、危険とは言えパチュリーに任せざるを得ない訳だったとも付け加えておいた。
「私が仕事をしている間にそんな事があったのね……リーシェ。美鈴と一緒に応対して、その危ない箱とやらの対応もしてくれてありがとう」
「うん、どういたしまして。それと後、箱の対処はパチュリーに丸投げした形だから、顔を出してお礼を言ってあげてね」
「ええ、勿論よ。仕事が終わったらお礼をしに、パチェのところに顔を出しに行くわ」
門の前で起こった出来事を説明し終えると、レミリア姉様は私に対して自分が仕事をしていて手が離せない中、色々と対応してくれてありがとうと言ってくれた。
大好きなレミリア姉様に、私がやった事に対して感謝されるのはとても嬉しい事だけれど、1番厄介な危険物満載状態の箱の処理はパチュリーにやってもらっている。だから、仕事が終わったらパチュリーに、私にしたよりも多くのお礼をしてあげてと促した。
「はぁ。それにしても、対吸血鬼用の聖具や光属性罠魔法を使って私の命を奪おうとするなんて、正直驚いたわ。コルベルシア家の奴ら、相変わらず油断ならない相手ね」
「うん。しかも、ここ最近聖魔騎士団の動きも活発化して、紅魔館に今代と次代の聖女が加わり、更にその親衛隊が攻撃を仕掛けてくる可能性が高いって分かったのに、更にコルベルシア家の問題……今後が凄く心配」
「本当よ。全く、次から次へと厄介事が舞い込んで来て、面倒極まりないわ」
そうして、優先して伝えるべき話を伝え終えたところで、レミリア姉様がため息をついていたのを見たけれど、名前すら聞きたくないのは勿論、頭に姿を思い浮かべる事すらしたくないコルベルシア家絡みであるから、当然と言えば当然だろう。
加えて、ここ最近は聖教会の聖魔騎士団による吸血鬼討伐の動きが活発化しているとなれば、尚更である。
40歳でありながら、その類い稀な人望と力で未だに現役で猛威を振るっている
「さてと、どっちの厄介事に優先して手をつけようかしら。聖魔騎士団とコルベルシア家、両方とも無視出来ない驚異だから悩むわ」
「確かにね。ただ、私的には吸血鬼さんを使ってまでレミリア姉様を殺そうと画策したって意味で、コルベルシア家の方が良いと思う」
で、私からの話を聞いたり渡した紙を見たりしつつ、考えに考えながら会話を交わしていたレミリア姉様は一息ついた後、舞い込んで来た2つの大きな厄介事の内どちらに解決のための力を多く注ごうかと悩み始めた。
私的には、聖魔騎士団の方にも多く力を注ぐべきだとは思うけど、どちらを優先するかと尋ねられれば、実際に行動を起こしてきたコルベルシア家の問題の方を優先した方が良いのではと考えている。故に、レミリア姉様にそっちの方を優先した方が良いと思うと、意見を出した。
「なるほど。まあ、聖魔騎士団の方はあくまでも可能性の域を出ないから、普通に考えればそうなるわよね……よし! 今後はコルベルシア家の問題を優先してどうにかする事に決めたから、リーシェもいざと言う時は協力を頼むわ」
「分かった。じゃあ、この事を皆に伝えに行ってくるね」
「ええ、お願い」
結果、コルベルシア家の問題を優先するべきと言う私の意見を全面的に採用してくれる事が決まったので、館の皆にそれを伝えてくるとレミリア姉様に言ってから、私は部屋を後にした。
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