目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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騒ぎ騒いで楽しむパーティー

「リーシェ、どう? 皆で頑張って準備したんだよ!」

「うん、これは凄いなぁ……」

「えへへ、褒めてくれてありがとう!」

 

 フラン姉様と妖精さんたちに連れられ、パーティー会場へと来た私であったけど、咄嗟に用意したにしてはかなり豪勢な光景が広がっていたため、思わず呆けた声を出してしまっていた。

 

 机の上に並べられている料理の品数は10をとうに超えている上にその量自体もかなり多く、飲み物も私や姉様2人には上質な人の血液が特殊魔法加工の施された、手のひらサイズの保存瓶に入れられて用意されている。

 

 加えて、姉様たちのものもあるけれど、それよりも大きい横断幕の様なものに私の似顔絵とお祝いコメントが描かれているのは驚きしかない。

 似顔絵の方はかなり細かく描かれているみたいだけど、どう見ても別の用途で用意していた絵を急遽、今日のパーティー用に仕上げたとしか思えなかった。

 まあ、何であれ私のために頑張ってくれたものなのだから、嬉しいのは変わりない。

 

 更に、紅魔館に住んでいる新人メイド妖精さんたちも含め、全員が仕事などを中断して集まっているため、相当賑やかである。中にはフライングして食事を取っていたり、はしゃぎ回って追いかけっこを始めたり、頭から水をかけるなどの悪戯を仕掛けたりする妖精さんも居るけど、今日ばかりは誰も何も言っていない。特別な日ならこの位、はっちゃけても良いと思っているのだろう。

 

 確かに私も、一切の我慢も遠慮もせずにワイワイ騒ぐ妖精さんを見ていて心が暖かくなっているし、そう思うのは必然と言えるだろう。

 それに、言ってしまえばこのパーティーはお堅い場でもないし、はっちゃけていても一線を超えていないから尚更だ。

 

「リィ、フランから聞いたわよ。聖教会から館で1番恐れられてるらしいじゃない。おめでとう」

「おめでとうございます、リーシェお嬢様。まあ、あれだけの活躍をしたのなら、彼らに恐れられるのも当然でしょう」

「リーシェ様、おめでとうございます。しかし、かの組織が直々に『忌天使(きてんし)』と言う二つ名をつけましたけど、由来ってなんでしょうね」

「うーん……天使ってついてるし、どうせ私の容姿がどうたらこうたらって理由だとは思うけど……レミリア姉様、どう?」

 

 興奮しているフラン姉様やレミリア姉様と会話を交わしながら食事を始め、館の皆からお祝いの言葉をかけられたりしていた時、こあが私の二つ名の由来ってなんだろうと、素朴な疑問を口に出した。

 

 正直、この二つ名の由来はほぼ正解レベルまで予想は出来るけど、あくまでも予想の範疇である。故に、間違っている可能性はなくはないため、一応レミリア姉様に知っているかどうかと尋ねてみた。

 

「ええ、その通りよ。忌むべき吸血鬼の癖に天使みたいに綺麗な見た目をしている、リーシェの容姿から来ていると聞いたわ」

「やっぱり、そんな事だろうと思ってた」

 

 すると、案の定私の容姿が天使みたいに見えるところから来ていると、レミリア姉様が答えてくれた。今まで数え切れない位に天使だの何だの言われてきた私にしてみれば、もう慣れたものである。

 

 そしてそれは、最初に疑問に思ったこあに側で聞いていたフラン姉様、パチュリーに美鈴も納得の理由であったらしく、特に驚いたりする事はなかった。まあ、私や姉様2人程ではなくても、飽きる程の回数聞いてきた事だからそうもなるか。

 

「リーシェさま、少しお話があるんだけど大丈夫ー?」

「えっと……もし大丈夫なら、こっち向いて!」

「良いけど、お話ってなに――」

 

 二つ名の『忌天使』の由来が判明し、つかえが取れてスッキリしたタイミングで、私を呼ぶ2人の妖精さんの声が後ろから聞こえてきた。どうやら、何か話したい事があるらしい。

 妖精さんにしては妙に改まっている様な感じなのが気になるけど、特に断る理由もなかったので後ろを振り向いたところ、まさかの事をされて面食らってしまった。

 

「やった、イタズラ大成功ー! 良く考えたら、リーシェさまにやるのって初めてだったねー!」

「リーシェさま、お顔がクリームまみれになって真っ白ー!」

 

 そのまさかの事とは、白くて甘いクリームが盛られたお皿を顔に思い切り押し付けられると言う、さっき別の妖精さんがやっていたイタズラの事だ。

 実際にやられるまで、自分がイタズラの対象になる日が来るとは思わなかったし、地味に目に入って染みるおまけまでついてくるとは夢にすら考えなかった。

 

 しかし、それにしても赤髪(あかがみ)黄髪(おうはつ)の妖精さんのやりきった感が凄いけど……今までやりたくても我慢していた部分もあったから、ようやく出来てスッキリしたのかも知れない。だから、顔とか洋服とかクリームまみれになったけれど、怒りを感じる事は全然なかった。

 

「2人共、よくもやってくれたね……お返し!」

「リーシェさま、一体何を……あはははは!」

「ちょっ、くすぐりは弱いからやめてぇ!」

 

 ただ、イタズラをされた以上は私もやり返してあげたくなっていたため、上手い事決まって喜ぶ妖精さん2人を捕まえ、首や腋などの弱いところに重点的にくすぐりを仕掛けた。

 2人の妖精さんを抱き抱えながらのくすぐりはやりにくかったけど、それでも効果はてきめんであった様で、大笑いしながら身をよじって逃げようとしてきている。

 

 当然、食事どころではなくなっているけど、この一時は私にとってとても幸せで楽しいものなので全く問題はない。

 

「あらあら、随分と楽しんでる――」

「レミリアさまにも、えーい!」

 

 などと考えていると、この様子を見ていたレミリア姉様にも別の妖精さんの椅子揺らしのイタズラが炸裂し、バランスを崩されて椅子から落ちた挙げ句に飲んでいたスープを、顔や服に盛大にぶちまけてしまっていた。

 

「ふぅ……貴女たち、仕返しされる覚悟はあるかしら?」

「わーっ! レミリアさまが怒ったから逃げろー!」

「にげよー!」

 

 で、少しむせながらも起き上がって空のお皿を机の上に置いた後、レミリア姉様は満面の笑みを見せると、イタズラを仕掛けた妖精さんを走って追いかけ始めた。

 実際は怒っておらず、むしろ私みたいに楽しんでいるみたいだけど、まるで怒っているかの様な追いかけ方だったため妖精さんたちもそれに乗り、笑いながら逃げ始めている。

 

 その後も、フラン姉様が妖精さんと手を組んで私にちょっかいを出してきたり、美鈴やパチュリーがなすがままに遊ばれていたりなど、いつもは絶対にやらないような事で盛り上がったりしていた。こんな状況なので、出された食事に手をつける速度はほぼ全員遅くなっているけれど、気にする程の事でもないだろう。

 

(まだまだ続きそうだし、私ももっと楽しまなきゃね)

 

 赤髪と黄髪の妖精さんをくすぐりから解放した後、用意された紙で顔などについたクリームを吹きながら、私はそう考えて実行に移した。




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