目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はフラン視点です


末妹の謎

「ねえ、お姉様。今更だけどリーシェの使う魔法って殆んどが雷属性で、後は無属性だよね」

 

 暇潰しのため、地下の大図書館へと魔法系の本を読みに訪れていた私は、急にとある事柄が気になったとの理由で、一緒に居たお姉様に話を切り出していた。それは、リーシェが魔法使いとして優れているのにも関わらず、何故か使う魔法の殆んどが雷属性で占められていると言うものである。

 

 割合としては、8割が雷属性で残りの2割が無属性と言う感じで、私やお姉様へのプレゼントである魔導書もほぼ同じだ。攻撃魔法に至っては殆んどが雷属性であり、防御や迎撃・回避系の魔法にもかなりの割合が存在している。

 

 故に、聖教会はもとより他の敵対的な吸血鬼一家にも、土属性の魔法を会得したり妖怪の魔導師を雇ったりするところが増えている訳だ。だから、本人が無属性魔法で対策しているとは言っていても、近い内に他の属性魔法の会得や研究開発を勧めてみるのも良いかも知れない。

 

 まあ、いくら相性が良い土属性防御魔法などで対抗したとしても、聖女だとか上位吸血鬼一家でもない限りはリーシェの奥義クラスの雷属性魔法をそう易々と防げるとは思えない。

 それに、リーシェの使う無属性魔法はとても強力で、今のところは他属性魔法を会得しなくても、難なく対処は出来そうだったから大丈夫なのだろうけど。

 

「ええ。私にってプレゼントしてくれた魔導書の魔法も殆んどが雷属性だものね。それで、急にそんな事を言い出してどうしたのかしら?」

「えっと、本を読んでて急に何でなんだろうって気になったからさ」

「なるほど……言われてみれば、他属性の魔法を今まで使っているところを見た事ないわね。もしかして、雷と無属性以外は適性がないのかしら?」

「うーん……リーシェの事だし、そうは思えないんだけど」

 

 そう考えながら、何故いきなりそう話しかけてきたのかと疑問を投げかけてきたお姉様にその訳を伝えると、頷きながら同意を示してくれた。今まで特に気にしてはいなかったけど、1度気になれば不思議に思えてくるのだろう。

 

 ただ、相性の悪い属性ならともかく、パチュリーも感心する位に複雑怪奇な術式の魔法を作り上げる事が出来るのに、適正が雷と無属性しかないとは思えない。しかし、雷属性が効かない敵への対策に無属性を選ぶ辺り、本当に適正がその2つにしかない可能性も出てくる。

 

 勿論、単純に雷属性が好きで使用していたり、リーシェの能力や生まれ持った何らかの体質が思考回路に大なり小なり影響を及ぼしていたりする可能性も考えられるから、余計に訳が分からなくなってきた。

 

「あら、2人共。仲良く考え込んで、何を話しているの?」

「リーシェの事について話してたのよ。パチェ」

「リィの事?」

「そう! 今更だけどどうして、雷と無属性の魔法しか使わないのかって気になって、その理由を考えてたんだけど……パチュリーは何か知ってたりする?」

 

 そんな、お姉様と夢中で話をしている時に今居る本棚近くの本を読みに来たパチュリーから、一体何を話しているのかと声をかけられた。図書館で考え込みながら話す私たちを見て、珍しく思ったらしい。

 

 特に秘密の話をしている訳でもなかったから、お姉様も私もパチュリーに今までしていた話の内容を全て伝えた上で、何か知っている事はないかと聞いてみた。同じ魔法の研究開発者として共同で動いていたりするから、もしかしたらと考えたためだ。

 

「本当に今更ね。私個人は魔法使いとして、リィ個人の領域には踏み込まない様にしているから知らないけど……血を分けた家族のレミィとフランだったら、聞いてみたらどう? 魔導書をプレゼントする位だし、謎に答えてくれるかも知れないわ」

 

 すると、パチュリーは魔法に関してリーシェ個人の領域には踏み込んでいないから知らないと答えてくれた上で、血を分けた家族なのだしそんなに気になるのであれば本人に聞いてみたらどうかと勧めてきた。考え込んでも分かる訳でもないし、まさにその通りである。

 

「確かにそうね。じゃあ、リーシェ本人に聞いてみる事にしようかしら」

「ええ。それと、分かってるとは思うけど……少しでも嫌がる素振りを見せたら、引き下がりなさい」

「当然、心得ているわ」

「そんなの分かってるよ!」

 

 と言う訳で、早速本人に聞いてみようと思った私とお姉様は、リーシェの部屋へと向かう。図書館を去る際、嫌がったら引き下がれとパチュリーに言われたけれど、そんなものは言われなくても分かっている。

 

「リーシェ。ちょっと聞きたい事が……あっ、気持ち良さそうに寝てるよ」

「ええ。部屋の様子を見るに、魔法の研究か何かで疲れてるらしいから出直すわよ」

「うん、そうみたい。無理して起こしてまで聞く事じゃないしね」

 

 そして、いつもみたいにリーシェの部屋の扉をノックしてから開け、聞きたい事を聞こうとしたけど、ベッドでぐっすり幸せそうな寝顔を見せながら眠っていた。机の上に物が沢山置いてあるのを見るに、魔法の研究などで疲れたから寝ようと決めたのだと思われる。

 

(リーシェ、相変わらずの寝相……まあ、そこが可愛いところでもあるんだけど)

 

 今すぐ聞かなければならない火急の事態でもない上、その聞きたい内容が私とお姉様の単なる疑問に過ぎなかったから、何時間後かに改めて出直す事にしよう。故に、同じくそう決めたお姉様と一緒に、豪快にはぐられていた毛布をかけ直し、寝相を直してあげてから部屋を後にした。

 




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