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(ん……うわっ、随分と長く寝ちゃった……)
魔法の研究開発を夢中でやり続け、疲れ果てて着替えもせずにそのままベッドで寝て起きた私は、寝ぼけ眼で壁掛け時計を見て、大きくため息をついた。
夜明け前に着替えもせずに寝て、日付が変わった真夜中まで眠る位疲れるまで私自身の身体へと負担をかける魔法の研究開発をする行為は、姉様たちに変な心配をかけてしまう。
だから、完成間近な魔法や普段よく使う魔法の欠陥直し、姉様たちのために贈る魔法を研究する時以外はやめようと決意したのにも関わらず、またやってしまった。
しかも、今回に至っては1日近くも眠りこける程に魔力をふんだんに使う研究をしていたと言う、ここ最近で1番酷い状況だったから尚更である。お陰でかなり進んだけれど、次こそは自重しなければならない。
(あっ、フラン姉様の髪飾りが落ちてる。届けに行こう)
取り敢えず、昨日はパジャマに着替えずに寝てしまったのもあって、丸1日着っぱなしだった服から綺麗な服に着替えようとクローゼットに足を伸ばした時、部屋の扉の側にフラン姉様の髪飾りが落ちているのを見つけた。寝る前はなかったから、私が寝ている間に何か用事があって来たのかもしれない。
なら、フラン姉様が落としていった髪飾りを届けるついでに何の用事があったのかを聞こうと、さっさと着替えだけしてから部屋を後にした。髪をとかしたり、他にも色々する事はあるけれど、それは別に後でも問題はないだろう。
「フラン姉様、私の部屋に髪飾りが落ちてたよ」
「あっ、わざわざありがとう……そうだ! 2時間前にリーシェが寝てて聞けなかった事を聞きたいんだけど、今大丈夫?」
「勿論、大丈夫だよ。それで、聞きたい事って何?」
頭の片隅でそんな事を考えつつ、部屋を訪ねてぐうたらしていたフラン姉様に髪飾りを手渡すと、私に聞きたい事があるけど今は大丈夫かと尋ねてきた。2時間前に私が寝ていた時にも部屋に来たと言っていたから、やはり用事があった様だ。
この後、特にやる予定の事もなかったので、その聞きたい事とは一体何なのかと尋ねたところ、私の使う魔法の殆んどが雷属性と無属性であるけど、他の属性魔法を全く使わない理由は何だと言うものであった。
曰く、雷と無属性魔法しか使えないのか、はたまたその2つに強いこだわりがあるのか、それとも他の理由なのかと急に気になり出し、聞いてみたくなったからと言う。
後は、無属性魔法があるとは言え、万が一私の十八番である雷属性魔法が効かなくなったり使えなくなったりした時、凄く心配になったとの理由らしい。レミリア姉様も、同じ様な思いを抱いているとの事。
確かに、
雷と無属性魔法しか使えないかは試した事がないから分からず、その2つの属性以外は嫌だとかみたいに、特に強いこだわりがあると言う訳でもない。そして当たり前だけど、館の皆を含む誰かに強制されている訳でもないから、フラン姉様の問いに対しては分からないとしか言えない。
「うーん……ごめんね。確かに扱ってるのは雷属性ばかりだけど、何でかって言われると分からないの。どうしてなのかって」
「大丈夫。謝らなくて良いよ、リーシェ」
「ありがとう。でも、フラン姉様に言われて私、これから2つか3つは作るって決意したよ。もし、完成したら教えるから、その時は見てくれたら嬉しいなぁ」
「勿論、楽しみにしてるよ! さてと、リーシェ。お姉様も気にしてたから伝えに行こう!」
「うん、分かった」
ただ、何であれフラン姉様やレミリア姉様の心配を解消するために、今日までしようとすらしなかった他属性魔法の研究開発を試みる必要性はあるから、2つか3つは作ってみせると宣言を行った。
そうなると、今平行して開発中の3つの雷属性魔法を一時凍結する必要があり、せっかく良いところまで行ったのもあっていまいち気が進まない。
しかし、そこは大好きな姉様2人に余計な不安を抱かせないためだ。そう思えば、その程度の判断は余裕で下せるし、見て褒められると考えればやる気も漲ってくる。
「あっ、そうそう! 今日のリーシェの寝相、特段に凄かったよ! 毛布は全部はぐってて、何をどうしたらそうなるのってビックリする位だったから直しといたの! えへへ、可愛かったなぁ……」
「あはは……やっぱり? 道理で、疲れてた割にはちゃんと布団で寝れてるなって思ってたんだよね」
そして、話が終わった後は同じく心配しているレミリア姉様の部屋へと、同じ話をしに行くために私はフラン姉様と一緒に向かった。道中、寝ている最中に姉様2人が一緒に部屋へと来た際、私の寝相が物凄かったとの話をフラン姉様がしまくるのだけど、あまりにも嬉しそうだから止めようか止めないか迷った。
まあ、酷い時なんかいつの間にか床で寝ていた事もある位に私の寝相が悲惨極まりないだなんて、メイド妖精さんたちを含めた紅魔館の皆に周知の事実だから、無理に止める必要なんてないのだけど。
「お姉様! リーシェが起きたから、あの話をしてもらうために連れて来たよ!」
「ありがとう……じゃあ、リーシェ。フランにも同じ話をしたと思うのだけど、よろしくお願いね」
「分かった。それで、その事についてなんだけど……」
普通は廊下で交わさない様な会話をしながらレミリア姉様の部屋へと向かった後は、一字一句同じ話をフラン姉様と共に交わした。
と言うか、レミリア姉様も私の寝相がどうたらこうたらとか言い始めたけれど、直される前は一体どれだけ強烈な印象を与える寝相だったのだろうか。気になるけど、見る事は出来ないから諦めるしかない。
「ふふっ……楽しみにしてるわ。でも、今回みたいに1日近くも眠りこける程の無茶はしては駄目よ。いくら時間かかっても良いから、身体には気を遣いなさい」
「そうだよ! いつも癖でやっちゃうみたいだけど、今度こそは気をつけないと流石の私も怒るからね!」
「うん、頑張るよ。レミリア姉様、フラン姉様」
こうして、姉様2人に他属性魔法を作ってみせると誓った私は今から1日時間を置き、研究開発に移る事が決まった。
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