目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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手合わせの依頼

「リーシェ! 様子を見に来たよ!」

「失礼します! お身体は問題ございませんか?」

「リーシェさま、だいじょうぶ?」

「駄目なら、レミリアさまも呼んでくるよー」

 

 姉様2人の前で宣言した他属性魔法の研究開発、その内の1つである風属性魔法がようやく戦闘に使える領域まで到達して達成感に浸っていた時、物凄く心配そうな表情を見せながら私の様子を確認しに、親しくしているメイド妖精さんたちとフラン姉様が自室に訪ねてきたため、その応対していた。

 何年か前、私自身ですら忘れていたタイミングで、現実と夢がごちゃ混ぜになった上に再び寝れなくなる程に強烈な悪夢を見てしまい、レミリア姉様にずっと付き添ってもらう出来事があったのがきっかけである。

 

 その日、妙な不安感とレミリア姉様への恋しさが同時に来ると言う、今なら分かる予兆らしき現象はあった。しかし、ほんの一瞬だけだった事とレミリア姉様が仕事中だったのもあり、その時の私はスルーを選択してしまい、結果として地獄を見る事となってしまった。

 

 お陰で姉様2人は勿論の事、美鈴やパチュリー、こあや館の妖精さんたちまでもがちょくちょく部屋を訪れ、私の体調を確認しに来るなどして気を遣ってくれる様になった。

 特に、フラン姉様は見てるこっちが非常に申し訳ないと思う位頻繁に見に来て、予兆っぽい現象があると私が伝えるか自身が気づくかするや否や、やりたい事を放り出してまで悪夢を見ない様に動く程である。

 

「うん、大丈夫そう。肉体的には少し疲れてるけど、精神的には元気一杯。フラン姉様にメイド妖精さん、いつも心配と手間かけちゃってごめん」

 

 こんなにも気を遣い、貴重な時間を使って考えたり動いてくれるだなんて、私は本当に幸せ者なんだと非常に強く実感した。だから、今の体調は問題ないと答えてからすぐ、いつも心配をかけてしまってごめんなさいと謝罪を行う。

 

 優しい皆だからきっと気にしてはいないだろうし、そもそも誰に強制された訳ではないのは分かってはいるけど、自分の心が耐えられそうになかったから、どうしても言わずにはいられなかった。

 

「手間だなんて思ってないから気にしないでー」

「そう。だから、リーシェさまはそこのところは気にしちゃだめ!」

「うん! 私もそうだけど、妖精さんだってリーシェの事が好きだから来てるもの!」

 

 すると、やはりと言うべきか、全員が笑みを浮かべてそう伝えてきてくれた。ここに今は居ない皆からも、様子を見に来てくれる度に気遣ってもらっていると考えると、数えきれない位の量の()()()()()()()をもらっているのは明白だ。

 

 だから、色々な手段を講じて出来る限り早く悪夢を見なくして安心させると同時に、それに釣り合うだけのお返しをしたい。

 全く見なくする様に出来るのかは分からないし、例え見なく出来たとしてもそれに釣り合うお返しが出来るのか不安ではあるけど、私の身のためにも努力は必要だろう。

 

「皆で話しているところを割り込んで申し訳ないわ……リーシェ。嫌なら嫌とハッキリ言ってくれて構わないけど、お願い事があるのよ」

「私に? 内容にもよるから、お願い事が何なのか教えて」

「ええ、勿論よ。実は……」

 

 そんな感じで、フラン姉様やメイド妖精さんたちと会話を交わしていると、レミリア姉様が私にお願い事があると言いながら入ってきた。嫌なら嫌と言っても構わないと前置きをしてくるのを見るに、余程キツいお願い事なのかも知れない。

 

 頭の中でそう考えながら、一体どんなお願い事なのかと尋ねたところ、レイブン伯爵とルーテ夫人が『ケルラノ家』と『リーテノン家』と言う吸血鬼一家を連れてきて、私に当主と決闘をして欲しいと言ってきたため、聞いてくれないかと言うものだった。

 中位吸血鬼一家の中でも強い方みたいだけど、それならレミリア姉様かフラン姉様が適任なのではと思って聞いたら、どうやら彼らは私に固執しているらしかった。

 

「良いよ。レミリア姉様のお願いで、かつ願い元がレイブン家だしね。親交がなかったり薄かったりする他の吸血鬼一家が願い元なら、即断ってたところだけど」

「ありがとう、リーシェ。じゃあ、お客さんたちを連れてくるから待っててね」

 

 どうしてその両家の当主が、私にそこまで固執するのかが全くもって理解不能だけど、願い元が親交のあるレイブン家かつレミリア姉様もお願いと言ってきている。

 それに、レミリア姉様やフラン姉様、パチュリーや美鈴以外の他人と手合わせをする事によって、今後の魔法開発や戦闘に良いところを取り入れられるかも知れない。断る理由も特になかったから、受け入れる事を決めると伝えた。

 

「ねえ。そう言えば風属性魔法が1つ完成したって言ってたけど、手合わせで使うつもり?」

「いいや、使うつもりはないよ。最初はレミリア姉様とフラン姉様()()に見せたいから」

「そっか……でも、危なくなったら使って! リーシェの身体が1番大事なんだし!」

 

 で、レミリア姉様がレイブン家の面々や私と手合わせしたい吸血鬼一家を連れてくるまでの間、フラン姉様から完成したと言う風属性魔法を使うつもりなのかと聞かれたけど、使うつもりはないと答えた。最初に見せるのは、姉様2人だけにしたいと言う確固たる意志があったからだ。

 

 ただ、フラン姉様は嬉しそうにしつつも身が危なくなったら遠慮なく使って欲しいと言ってきたから、もしそんな事態へと追い込まれた場合は使う事にしよう。頭の中でそう考えながら、レミリア姉様がお客さんを連れてくるまで会話を交わしながら待つ事に決めた。

 




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