目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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直近の情勢

「レミリア姉様、最近また忙しそうにしてるよね」

「うん。今のところはお姉様元気そうに見えるけど、やっぱり精神的にちょっと心配」

「私もフラン姉様と同じ事を思ってる。だから、少しでも楽をさせてあげるために頑張らなきゃ」

 

 最高でも1日10時間と決めた魔法の研究開発・改良をしている途中、ベッドに寝転がってのんびり休憩をしていた時、メイド妖精さん経由でレミリア姉様からお願いをされた私は、先に来ていたフラン姉様と共に当主の仕事の手伝いをしていた。

 

 対外ではスカーレット家近辺や傘下の吸血鬼一家との関係維持、紅魔館の脅威となり得るコルベルシア家や聖教会、それに類する勢力の動きの調査など、一部を除いて私ではあまり力になれないのがもどかしい。

 

 対して、館の中でもこなせる今日やってるみたいな当主の仕事や住人たちへの気遣い、襲い来る脅威を物理的にはね除けるなどは私でも深く協力する事が出来るし、何ならいざと言う時は全部肩代わりだって出来る。

 

 仮にそうした場合、私の趣味に割く時間が大きく削られる訳だけど、レミリア姉様がストレスを溜め込んで苦しむのとどっちがマシかと考えたら、やはり私の趣味を犠牲にする方だろう。大好きなレミリア姉様のためであれば、それを選ぶのに躊躇はしない。

 

 まあ、今日を含めた3分の2はガッツリ趣味の魔法研究開発を5時間以上堪能したタイミングを計ってお願いしてくるから、何とも言い難い複雑な思いなのだけど。

 

「フランもリーシェも、本当にありがとうね。こんなに助けてくれる妹とか弟なんて、きっとどこにも居ないわ。それに、姉妹の時間も増えるし、もっと仕事が増えてくれないかしら?」

「えっ? レミリア姉様、これ以上仕事が増えても良いの?」

「リーシェ、お姉様が本気で増えても良いって思う訳ないよ!」

「フランの言う通り、本気ではないわ。でも、この時間が幸せとも思っているのよね」

 

 フラン姉様と色々話しつつ、割り振られた……自分から引き受けた分の仕事をこなしていると、レミリア姉様からありがとうねと話しかけられた。私やフラン姉様が一部を引き受けてこなす事により、かなり助かっているらしかった。

 

 その時のレミリア姉様の表情は、この一時を幸せそうに噛みしめているのが良く分かるものだったから、精神的にも身体的にもまだまだ余裕がある様だ。これならば、私の時間を削った甲斐があると言うものである。勿論、そうでなくても助けになっているのなら一緒だ。

 

「相変わらず、聖教会絡みの事柄が多いなぁ。スカーレット家……と言うか紅魔館自体が禁忌扱いされてるから、たまに小隊規模の襲撃者が来る程度の事はあれど、こっちは平和そのものだよね」

「ええ、そうよね。でも、平和は一生何もしなくても続くものではないから、これからも頑張らないと」

「そうだね!」

「うん、その通りだと思う」

 

 すると、レミリア姉様の机に置かれていた書類を手に取り、書き込んでいたフラン姉様が聖教会がらみの内容が多いと言い始めた。確かに、私が適当に引き受けた書類にもそれなりの数の救援や共闘依頼などが紛れ込んでいる位なのだから、フラン姉様がそう言いたくなるのも無理はない。

 それもこれも、半年程前にとある2つの吸血鬼一家が全くもって無意味な蹂躙劇を人間の住む町や村で繰り広げた挙げ句、聖教会にも手を出そうと進撃したからである。

 

 ちなみにその結果はどうなったかと言うと、彼らは先代の聖女(ジア)率いる親衛隊と騎士団に容赦なく叩き潰されて撤退、更に手を出した村の中に両親や3人の姉妹が居たらしい今代の聖女と、その彼女を盲信する100人単位の親衛隊による館への苛烈な報復攻撃を食らって、滅亡の憂き目に合わされる事となったらしい。

 

(私がされてたら、絶対に同じ事してただろうなぁ……)

 

 今代の聖女は何ら関係のない他人である上に館の皆を害する危険のある敵だけど、内容が内容なだけに今回は流石に同情を禁じ得なかった。まあ、家族を殺した忌むべき吸血鬼と同族である私なんかに同情されても、嬉しくないどころか反吐が出るだろうから、これ以上は考えるのはやめにしよう。

 

 そして、正直言ってこれらの出来事は全て他人事に思いたいところではあるものの、そのせいで聖教会の動きが活発化した上に勢力の増大に拍車がかかり、他吸血鬼一家に大なり小なり直接的な影響が出始めている故に、それは不可能となってしまった。

 

 私たちの場合は、直接的な影響はごく稀に小隊規模の襲撃がある位で済んでいるものの、傘下の吸血鬼一家からの救援依頼やらなんやらで仕事が以前と比べて大きく増えると言った、間接的な影響が大きかった。

 考えれば考える程実に腹立たしい()()だけど、館ごと自分たちの命を以て償った訳だから、文句はもう言えない。

 

「リーシェ。何か難しそうな顔してたけど、大丈夫?」

「えっ……私、心配される位に難しそうな顔してたの?」

「してたわよ。まるで、疲れきって辛い時みたいな感じね」

「私にもそう見えたの。だから、もし本当に疲れきって辛ければ、お姉様も私も怒らないから自分の部屋に行って、ゆっくり休んで」

 

 書類の整理をしたり手紙への返事を書きながら、衝撃的だった半年前の事を思い出していると、心配そうに私を覗いてきた姉様2人から声をかけられた。曰く、私の顔が疲れきって辛そうな時とそっくりに見えたかららしい。

 

「大丈夫。半年前の事を考えててちょっと思うところがあっただけだから。そんなつもりはなかったんだけど、紛らわしくてごめん」

「ふふっ……そう言う事なら、全然気にしなくて良いわよ」

「そっかぁ。なら安心だね!」

 

 確かに、どちらだと聞かれればあると答える位には疲れているけど、姉様2人の言う様に疲れきってとても辛いと言う訳ではなく、まだまだ休憩しなくても手伝える程の体力はある。

 故に、疲れきって辛いと言う訳ではないので大丈夫だと答えた後、変な心配をさせてしまう様な紛らわしい表情をしてしまってごめんと謝り、姉様2人に安心してもらったところでこの話は終わった。

 

(ふぅ……もう、半年前の事は考えない様にしよう)

 

 そして、これ以上心配をかけてしまわない様に半年前の事を考えるのをやめようと決めた後、一呼吸おいてから私は仕事を再開した。




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