目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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第2章 リーシェ幽閉生活編
地下室での生活


(ちょっと甘く見すぎてたかも……)

 

 父様の命令で地下室での幽閉生活を始めてから4ヵ月、私は机の上で突っ伏しながら有り余る暇をもて余していた。特定の時以外に誰とも接せず、広くて薄暗いこの地下室で1人きりで過ごすと言う事が、結構厳しい物だったと思い知ったからだ。

 

 自分で言うのもあれだけど、どちらかと言えば超インドア派である私にとって、外出しないで部屋に閉じ籠ってる事など殆んど苦にもならない。

 実際、幽閉生活から1ヵ月程は用意されていた本を読み漁ったり、亡き母様から貰った弓を使って魔法の練習をしたり、能力の扱う練習の時間を大幅に増やしてみるなど、存分にこの状況を楽しむ事が出来ていたから、何の根拠もなく大丈夫だろうと高をくくってた。

 

 しかし、実際は2ヵ月も経てば同じ事をやり続けていたせいで、これらの事が私にとってつまらなく退屈なものと化し始める有り様である。唯一変わらず楽しく思える事は、メイドさんによって運ばれてくる食事を味わって食べるのと、数日間隔でやって来るレミリア姉様とフラン姉様と、1時間たっぷり会話したり遊んだりする事だった。

 

 良く考えたら、前世だと数え切れない程沢山の娯楽があった。何気にネットの友達と結構長く会話もしてたから、それに比べて圧倒的な娯楽の少ない今、暇が潰せなくなってこうなるのも当たり前だろう。

 

(レミリア姉様とフラン姉様が来たのは1週間前……か。今日来てくれないかなぁ……)

 

 そんな事を考えながら、机に突っ伏していてもしょうがないと思った私は、いずれ来ないとも限らない危機に対処するための魔法の開発作業でもやるかと、本棚から前にメイドさんに頼んで持ってきてもらった何も書かれていない本と羽ペンを取り出そうとした。

 

「やっほー! リーシェ、来たよー!」

「ふぅ……やっと許可が下りたわ。リーシェ、退屈してない? 何冊か、貴女が興味ありそうな本も持ってきたわよ」

 

 すると、地下室の重厚な金属で出来た扉が勢い良く開き、中にレミリア姉様とフラン姉様が元気良く入って来るのが見え、私は嬉しい気持ちになった。1週間も来てくれなかったから、余計にそんな思いが強くあった。

 

「良かった……姉様たちが来てくれないから、何かあったのかと思ったよ……」

「ごめんね。お父様がなかなか許可を出してくれなかったから……」

 

 で、私が姉様たちに何かあったのかと心配していた事を話すと、レミリア姉様が私に謝り、父様の許可をもらえなかったせいだと話してきた。なるほど、だからなかなか来れなかったのかと納得していると、フラン姉様がいつの間にか怒っている事に気づいた。なので、どうしたのかと聞いてみた。

 

「フラン姉様? どうして怒ってるの?」

「だって、リーシェを幽閉するだけでなく、自分で言った会わせる約束事すら渋って急に都合良く変えたんだもん! 楽しみにしてたのに、怒らない理由なんてないでしょ?」

「確かに、楽しみを邪魔されるのは嫌だよね」

 

 どうやら、あの時言った『レミリアやフランと数日に1度会う』約束を、父様が急に渋ったせいで楽しみを妨害されて1週間も経ってしまったから、フラン姉様は怒ったのだと言う。会わせる約束自体は守ってくれていたから、私自身には取り敢えず不満はないけど……確かに、楽しみを邪魔された時に怒るフラン姉様の気持ちは良く分かったから、同意しておいた。

 

「さて……そんな事よりも、早くしないと1時間過ぎるよ。姉様」

「あ、そうだね! じゃあ、何からしようかなぁ……」

「フラン。それなら1ヵ月前の『侵入者の始末』の時のお話とかどう?」

 

 その後、私がレミリア姉様とフラン姉様に時間が少ないから、早くした方が良いよと促すと、1ヵ月前にあったらしい出来事を嬉々として自慢し始めた。

 

 何でも、レミリア姉様とフラン姉様が協力して、父様よりは遥かに劣ってはいたものの、無謀にも侵入してきた大人の吸血鬼を始末したとの事。いくら大きく劣るとは言え、大人の吸血鬼と対峙して勝利をもぎ取った姉様たちの強さにはビックリした。確かに、子供が大人にたった2人で打ち勝つのは、私個人の基準に照らし合わせると自慢出来るだけの成果だろう。

 

「凄いなぁ、姉様たち」

「えへへ……ありがとう、リーシェ!」

「ありがとうね。それと、リーシェって普段何してるのかしら? 毎日会いに行けないから、知りたいわ」

「分かった。えっとね……」

 

 姉様たちの自慢話があらかた終わった後、私が普段この地下室で何をしているのかと、レミリア姉様が知りたがっていたので、全部説明をしてあげた。

 話の分野が違うから一概に言えないとは言え、正直大人の吸血鬼に勝利したと言うのに比べると私の話が劣っている感じが拭えなかったけど、まるで自分たちのそれよりも私の方が凄い事のように聞いてくれてたのを見て、安心すると同時に嬉しい気持ちが心に芽生えた。

 

 それからは3人で本を読みながら話をしたり、試しに軽く手合わせをしてみたり、難易度が高過ぎて3ヶ月経っても進捗状況が未だ1割にすら達していない自作魔法についての話など、とても楽しい時間を過ごした。手合わせで完膚なきまでに負けたせいで、凄く疲れはしたけど。

 

「レミリア、フラン。時間だ」

「分かったわ。じゃあね、リーシェ」

「またね……リーシェ」

「姉様、楽しかったよ。ありがとう」

 

 あっという間に1時間が経った時、父様がレミリア姉様とフラン姉様に時間だと呼び掛けにやって来たため、姉様たちは不満げな表情を見せながらも、地下室を出て行った。名残惜しかったからもう少し引き留めたかったけど、姉様たちに何かあればいけないので、気持ちを抑えて出ていくのを見送る。

 

 こうして、楽しかった時間は終わりを告げる事となった。

 

 




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