目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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都合により、第7章で登場させる予定だった人物(咲夜)を今章で登場させる方針に変えました。すみません


第8章 スカーレット家と吸血鬼狩り
美鈴への気遣い


「美鈴! 妖精さんから聞いたけど、吸血鬼狩りに凄い怪我させられたって……大丈夫なの?」

 

 とある日の夕方、魔法の研究開発の助けとなる新たな資料を探しに地下の大図書館に行こうとしていた私は、ふと見た机に置かれていた門番代わりの妖精さんからのメモ書き経由で知った瞬間、突き動かされるが如く美鈴の下へと駆け寄っていた。

 内容は、今日の真昼間に私や姉様2人の寝ている隙を狙った4人の吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)の襲撃があり、それを全て館内への侵入前に防ぎきった際、結構な怪我を負ったとのものだ。

 

 真昼間と言えば、私はもとよりレミリア姉様もフラン姉様も熟睡していて、滅多な事では目が覚めない。そして、目が覚めたとしても寝ぼけている上に色々と不利な条件が重なっていくため、相手が弱くても寝首を掻かれる可能性がある。

 例え、今の私みたいに精神的な衝撃を利用して寝ぼけ状態をすっ飛ばしたとしても、起きてある程度の時間が経った時にはやはり及ばない。

 

 普段、殆んどこれらの脅威を感じずに安心して寝ていられるのも、大抵の侵入者を館内に入れる前に美鈴が片付けてくれるからだ。もし、紅魔館に彼女が居なかったとしたら敵の襲来時に痛手を負わされる可能性が上昇し、今程の安眠を得る事は出来なかっただろう。

 

「はい、大丈夫です。相手が腕の立つ方々だったので、少し傷を負ってしまいましたけど……念には念を入れてパチュリーさんから回復魔法による治療を受けました。なので、そろそろ仕事に戻ろうかと考えています」

「そう……でも、無理はしないで。辛かったら休んでね、お願い」

「分かりました、リーシェお嬢様。それにしても、ここまで心配してもらえるのって嬉しいです」

「ふふっ……美鈴はもう、とっくの昔から私の家族。だから、心配するのは当たり前だよ」

 

 それにしても、大抵の敵なら1人で戦っても殆んど怪我しない美鈴が、4人全員撃破しつつも()()()()()を負い、仕事を一時休んだ上にパチュリーの回復魔法のお世話になろうと判断する程とは、今回の相手は余程のやり手と言える。

 見た感じ、回復魔法や本人の自然治癒力のお陰か、怪我は目立ちにくくなっている程にまでなっているのが幸いだ。

 

 まあ、悪魔や吸血鬼殺しを生業としている人たちでスカーレット家を狙ってきたのだから、相当人外染みた力を持っていて然るべきか。そう思いながら、パチュリーの回復魔法を受けて仕事に復帰しようとしている美鈴を気遣いつつ、もし辛かったらまたここに来て休んでとお願いした。

 

(美鈴も大丈夫だと分かった事だし……さっさと身だしなみを整えて図書館行こう)

 

 美鈴の様子を確認した後は、寝起きの身だしなみをキチンとしていない状態で自室を出てきてしまったので、それらを整えるために自室へと戻った。

 

 それから手早くパジャマからいつもの長袖の服に着替え、髪の毛を整えてから帽子を着け、パチュリーから借りて読み終えた本数冊を手に取り、地下の大図書館へと向かった。

 

 最初は普通の雷属性魔法開発に使えそうな資料にしようと考えたけど、真昼間の吸血鬼狩り襲撃の話を耳にした私は美鈴のためになる魔法の開発へと舵を切る事、資料もそれに適応するものにすると決めた。

 

 しかし、美鈴は魔力と似ているけど違う『気』と呼ばれる力、もしくは妖力を主に糧として戦闘をこなすタイプであり、魔法使いではない。似ているだけあって使えない事はないとは思うけど、魔法をそのまま作って教えるだけでは不都合が生じるだろう。

 だから、妖力や気を魔力に変換する術式を研究開発した上で、それを組み込んで細かく調整を加えた魔道具を作る道へと進む考えに、道中で至った。

 

 勿論、初めての試み故に途方もない時間が必要となるのは明白ではあったけど、そんなものは百も承知である。絶対に完成させて、門番の仕事をより安全にしてもらえるようにしようと、決意を固めた。

 

「おはようございます。リーシェ様、今日も資料探しですか?」

「うん。美鈴が敵との戦いで痛そうな怪我したって聞いたから、その……守るための魔道具を作りたくて」

「あぁ、なるほど。確か、吸血鬼狩りの襲撃があったと言ってましたものね。しかし、あの美鈴様に回復魔法に頼ると判断させる怪我を負わせるなんて驚きです。本人も苦笑していましたので、相当な手練れだったのでしょう」

 

 そして、頭の中で色々な思考を巡らせながら図書館へと入り、相変わらず読み切れない程ある本の中から参考になりそうな資料を探していたところ、本棚の整理と清掃をしていたこあから声をかけられた。

 

 いつもの様に資料探しですかと聞かれたのでそうだと答えた上で、その経緯について説明をすると、そうだと思ったと言いたげな感じで頷いた。私がこの件で今日中に訪れるだろうと、予想でもしていたのだろうか。

 

 で、こあも美鈴がパチュリーの回復魔法に頼る程の怪我を負ったと知った時にかなり驚いたらしいけど、やはり私と似た感情を抱いたみたいだ。まあ、当然と言えば当然の反応と言える。

 

「さてと、魔道具の資料探しでしたよね。それなら心当たりがいくつかありますので、良ければ持ってきますよ」

「えっ、仕事中なのに良いの?」

「勿論です。なのでリーシェ様、少々お待ち下さいね」

「うん、ありがとう。お願い」

 

 そんな風なやり取りを交わしていると、こあが私の望みそうな資料に心当たりがいくつかあるらしく、もし良ければ持ってきますよと仕事中にも関わらず言ってきてくれた。視界に広がる膨大な本の中から特定の本を持って来れる程に把握済みとは、流石パチュリーを補佐する司書さんなだけある。

 

 と、頭の中で考えながら私はこあの好意に甘え、その何冊かを持ってきてもらう様にお願いし、この場で適当な本でも読んで待とうと決めた。

 

 魔道具と言えば、パチュリーが必死になって作ってくれた私がかけてる首飾りがあるけど、確か製作期間は20年程だった。どんな効果のあるものを作るかによって変わるものの、やっぱり20年かそれ以上はかかりそうではある。どうかその間、美鈴に今日以上の怪我を負わす敵が姉様2人や私が対応出来ない、真昼間に来ない事を願うばかりだ。

 

「リーシェ様、お待たせしました。1冊少し手間取ってしまいましたが」

「ううん、大丈夫だよ。ありがとうね、こあ」

「はい、どういたしまして」

 

 考え事をしたり、適当に手に取った本を読みながら待つ事10分、6冊の手の平位に分厚い本を抱えたこあが戻ってきた。見た感じ、凄く難しそうな事が書かれていそうで参りそうだったけど、この程度でへこたれてはいられない。そう思いながら6冊の本を受け取り、お礼を言ってから早速実行に移すために、私は大図書館を後にした。




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