「フラン。リーシェにもお願いして、3人で出かけましょう」
「えっ? 私はともかく、リーシェにもお願いするって……一体何処に、どんな用事で出かけるの?」
自室で
こんな感じで声をかけてきて、リーシェは留守番させてお姉様と私の2人で何処かに出かける事自体はたまにあるから、もう既に準備済みなのを除けばいつものそれである。
ただ、今回はリーシェにも
「ここから程近い、傘下の吸血鬼一家の館よ。直々に使者をうちへ寄越して、パチュリーに見せたら『ほぼ全ての魔道具製作にも余裕で使える貴重品』って言わしめる程の良質な魔法素材を手土産に添えてきた上で私とフランと、出来ればリーシェに急遽開催する食事会に来て欲しいって言うから了承したのよ」
すると、お姉様はここから程近い場所に住んでいるスカーレット家傘下の吸血鬼一家の館で、急遽開催される食事会に参加しに行くと答えてくれた。曰く、ついさっき来た使者が良質な魔法素材を手土産に必死にお願いしてきたため、受け取って了承したらしい。
私にとってその辺は専門外の分野だからあまり分からないとは言え、パチュリーがそう言うのならかなり良いものなのは確実だ。
そして、ほぼどんな魔道具にも使える素材であるなら、美鈴のために頑張っているリーシェも恐らく喜ぶと考えると、お願いを了承するのも頷ける。実物の数々をお姉様に見せてもらって、その考えは強くなっていった。
しかし、単に良質な魔法素材を手土産にお願いされた
「へぇ……一応聞くけど、他にも理由はある?」
「勿論、他にもあるわ。参加すれば、誘う方の意図が如何にせよ私たちに良い事が起こると、漠然とした運命が一瞬見えたって理由がね。しなくても悪い事は起こらなそうだったし、尚更かしら」
「やっぱりね。行かなくても問題はないけど、行ったら何か良い事があるって漠然とした運命を見たのなら、まずはお願いしようとも考えるか」
「ええ。でなきゃ、いつもの様に留守番をしてもらっていたわ」
故に、説明をし終えてから他にも何かあるかと聞いたところ、案の定予想していた通りの返答をもらった。流石に詳しい内容までは分からないみたいだけど、お姉様の能力の精度は完璧ではないとは言え非常に高い。今回も、いつも通り当てにして大丈夫だろう。
(うーん……そこまで必死に頼み込む理由……何だろうなぁ)
それにしても、パチュリーが絶賛する貴重品を手土産にしてまで、今回うちに来た傘下の吸血鬼一家は私たちに食事会への参加をお願いしてきたのか、上下関係云々を考慮しても不思議だ。
きっと、私やお姉様が知り得ない何らかの重要な意図が隠されているはずであるものの……まあ、知らなくてもさして問題はない。
「さて、リーシェのところにお願いしに行くわよ。事が事だし、了承してくれるかはちょっと分からないけど」
「分かった! それと、了承してくれるかどうかは、理由を全部しっかりと説明した上でお願いすれば大丈夫だと思ってる。だって、リーシェだもの」
と言う事で今日の流れが決まったため、軽く準備を済ませてからお姉様と一緒にリーシェの部屋へと向かった。
道中、お姉様がリーシェにお願いを了承してもらえるかどうか少し心配そうにしていたけど、運命云々を含めて全部しっかり説明すれば、私はその辺は大丈夫だと考えている事を伝えた。
「リーシェ! お願いなんだけど、私やフランと一緒に傘下の吸血鬼一家の食事会に行ってくれないかしら?」
「私からも、無理にとは言わないけどお願い!」
「……珍しいね。姉様2人の様子を見るにその食事会、何か凄く面倒そうだけど……取り敢えず、説明をしてくれると助かるな」
「ええ。実は……」
そして、部屋へと着いたらいつも通り魔法の研究開発をしていたリーシェに対し、一緒に声をかけてお願いを始めた。館の危機に直結しそうな事態をに関係する外出以外だと、頼んでも1番付き合いのあるレイブン家の館へ出向くのですら渋る場合がごく稀にあるリーシェは案の定、一瞬面倒そうな表情を見せるものの、断る事なく説明を求めてきた。
この場合、説明の内容や頼み方の如何でどうとでも意思が変わる。なので、リーシェにも一緒に出かけて欲しいとお願いした理由を説明し、了承の方面に意思を傾けてもらえる様に努力を行う。
「うん、良いよ。行く事で大きな得があるって運命を見たのもそうだけど、普段私の
「リーシェ、ありがとう。無理言ってごめんなさいね」
「ありがと! 事が済んだらお礼してあげるから、期待してて!」
「大丈夫。レミリア姉様もフラン姉様も、気にする事はないよ」
結果、机の上で開いていた小難しい魔導書を閉じたリーシェは、私やお姉様のお願いを聞くと答えてくれた。曰く、普段は自分のわがままを聞いてくれているのに、頼まれて連続で断り続けるのは申し訳ないからとの事。
しかし、仮に全部断ったとしても私は不満には思わないし、お姉様も同じ思いだろう。肝心な時には言わずとも動いてくれているし、館への来客に対する応対は頼めばやってくれる上、留守番時には能力を使った常時警戒までしてくれるのだから。
「レミリア姉様、フラン姉様。着替えたりするから一旦外で待ってて」
「ええ、分かったわ」
「うん、じゃあ待ってるね!」
こうして、私とお姉様とリーシェの3人で傘下の吸血鬼一家からの食事会への誘いを受け、行く事が決まった。
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