「今日の料理、味付けとかを変えてみたんだけどどうかなー?」
「えへへ! みんなでたくさん考えて作ったから、すごく自信があるんだよー!」
季節外れの暖かさとなったある冬の夜、美鈴の魔道具に使う全術式の仕上げを行っていた私は、一息ついたところで
当時から20年にもなるけれど、とある傘下の吸血鬼さんの館に姉様2人と行き、嫌がらせを防ぐ後ろ楯となったお礼の一貫として良質な食材の独自仕入れ枠を3分の1程度譲ってもらってから、既存の料理以外にもレパートリーが増え始めた。
後は、あのやたらと強いメイド悪魔さんを筆頭とした料理や紅茶、コーヒーのプロである5人のメイドさんとの交流が何だかんだ増え、その知識や技術がうちの館のメイド妖精さんに流れた。
結果、ただでさえ美味しかった料理や紅茶がより美味しくなり、彼女たちのやる気も上がる良い流れによる恩恵を皆が受ける事が出来た。
ちなみに、それ以外にも追加で良質な魔法素材も贈ってきてくれたため、今までの試作品の魔道具には耐久性の関係で、泣く泣く削らざるを得なかった術式を全て入れる事に成功している。
加えて、これらお礼の品をわざわざ送り届けてくれた時、
「変わった味ね。まあ、美味しいから良いけど」
「うん! と言うか、また更に美味しくなったんじゃない?」
そして、今回も例に漏れず美味しい料理が出され、レミリア姉様もフラン姉様もご満悦な様子を見せている。無論、私も新しい味付けの料理に大満足なため、姉様に続いて2人の妖精さんに美味しかったとの感想を伝え、この場には居ない他の料理担当の妖精さんにも伝えてくれる様にお願いした。
そう言えば、確か今までに考え付いた料理のレシピをまとめた本を書いてる調理担当の妖精さんが居ると聞いた事を思い出した。気になるから、忘れなければ寝る前にでも見せてとお願いしに行こう。
「あっ、皆さまいらしたのですね。例のメイド悪魔さん方がお客様として来られましたので、館へと招きました。今、食堂前に待機させてます」
「ええ、分かったわ。一応聞くけど、他に知らない誰かは居たかしら?」
「1人も居ません。ちなみに、用件は調理場の妖精さん方との対面との事で、いつもと変わらない様です」
「ご苦労様。まあ、彼女たちの用件と言ったら殆んどそれしかないものね……さてと、そろそろ入れてあげて」
1つ1つが少なめに用意された、2人を含む調理担当の妖精さんたちの新作料理を味わって食べていると、今度は
初対面、もしくは殆んど付き合いのない人物であれば美鈴が裁量で入れるはずがないと思っていたら案の定、ここ20年で付き合いが倍以上に増えた、あのメイド悪魔さん含めた5人の悪魔さんたちであるらしい。
何となく能力を使った瞬間に気付いたけど、彼女に付き従う4人の悪魔さんの強さがこの前よりもかなり上がっている。紅魔館で例えると、うちで1番強いメイドの白髪の妖精さんと同じか若干上回る位だ。
まあ、良く考えたら吸血鬼さんを物理的に沈める位にはメイド悪魔さんは強いのだから、付き従っている悪魔さんが訓練などの手段によって強化されるのは、必然と言えるか。
「えっと、その……皆様、食事中に失礼しました!」
「別に秘密の話でもしてた訳じゃないし、気にしなくても良いわ」
「まあね! 今やってるの、単なる試食会だもん!」
「姉様たちもそう言ってるし……それよりも、早く妖精さんたちのところに行ってあげたらどう?」
その後白髪の妖精さんに促され、入るなり頭を下げて謝るメイド悪魔さんたちを目的の場所へと向かう様に促した後は、うっかり出し忘れていたらしい最後の新作料理の試食を行い、それについても丁寧に思った事を伝えた。
これを含めて1回たりとも美味しくないと言っていなかったため、赤髪と黄髪のメイド妖精さんが調理場の方に居る妖精さんに伝えに向かうと、師匠にあたるメイド悪魔さんたちが居るのも加わっての盛り上がりを見せる。
これもあの当主さんが譲ってくれた仕入れ枠のお陰なのと、5人の悪魔さんが提供してくれた技術や知識があって、料理の種類を増やして味をより良く出来た訳だから当たり前の反応と言えるだろう。
「いやぁ、流石ですね。紅魔館の妖精たち、同種族ではトップクラスだと思います。彼女たちの様な妖精なら、確かにメイドとして雇うのも納得出来ました」
「ふふっ……うちの館のメイド妖精は優秀なのよ。まあ、時折大はしゃぎし始めるけど」
「時折程度で済んでれば、十分かと思いますね。うちにもこの間から数名居るんですけど、凄いですよ。機会があれば、是非見に来て下さい」
で、新作料理の乗っていたお皿を調理場まで持って行き、妖精さんに渡して食堂を後にしようとすると、1人の悪魔さんから紅魔館の妖精さんたちは凄いと話しかけてきた。
曰く、あの館でこの間雇ったらしい妖精さんが大はしゃぎする性格なのと比べ、かなり驚いたとの理由でした発言らしい。まあ、うちの妖精さんも最初期はそこまででなくとも似た様な感じではあったけど、ここまで来たのはもう死んでしまっているクレイナを含めた古参のメイドさんたちのお陰である。
故に、彼女たちも一緒に褒められている様な気がして、何だかとてもやわらかくて暖かい気持ちになった。
「じゃあ、私たちはもう行くわね」
「バイバイ、悪魔さんたち!」
「じゃあね。取り敢えず、今日も楽しんでいって」
そうして、妖精さんにたちにお皿を渡してメイド悪魔さんたちに軽く挨拶をした私は、姉様2人と一緒に食堂を後にしていった。
ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。