目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


リーシェのメイド

「レミリア様、フラン様。リーシェ様の様子、いかがでしたでしょうか?」

「多少寂しそうにはしてたけれど、予想よりは元気そうだったわ」

「うん! 本を読んだり、お母様からもらった弓の練習してたりね。それに、難航してたみたいだけど魔法製作もやり始めてたよ!」

「そうですか……流石に、あの状況ならリーシェ様でも4ヵ月も経てば不味いかもと思っていましたが、杞憂だったみたいですね」

 

 1週間ぶりの楽しい一時を過ごした後、私はフランと共にリーシェを1番心配していたメイドのところに向かい、あの子の様子を事細かに教えていた。

 

 元々、リーシェが部屋に閉じ籠る傾向が強いとは言え、4ヵ月もあんな空間に幽閉されていては何かしら心に影響があるかもと思ったけど、実際には幽閉生活を楽しむ節を見せていた。影響と言えば精々、少し寂しそうにしてた位だった。

 

 リーシェのメイドも私やフランと同様の心配をしていたけど、私が元気である事を伝えると、強張っていた表情が柔らかくなっていて、ホッと胸を撫で下ろしていた。

 

「まあ、あのリーシェだからね。きっと、私たちの想像以上に孤独や退屈に強かったのよ。それで話は変わるけれど、貴女はどうして紅魔館のメイドを()()()()()()()()、引き受けたりしたの?」

「あー……確かに、私もどうしてなのか気になる!」

 

 その時今更だけれど、人間なのに良くもまあ吸血鬼のメイドなんか進んでやろうと思ったなと疑問に思ったから、彼女の発言に対してそう答えた後に質問してみた。

 

「……ただの気まぐれですよ。それ以上でも、それ以下でもありません」

「その気まぐれで吸血鬼の館を選ぶとは……変わってるわね。貴女って」

「他の方にも良く言われます」

 

 すると、リーシェのメイドは私の質問に対して()()()()()()() ()だと、嘘偽りのない瞳で私を見つめながらそう答えた。当然、同族の誰かに強制されたり、お母様やお父様に無理やり連れて来られた訳ではないようだ。

 

 ならば、ここに来たのが気まぐれであるなら、いずれここから去る日が来るのかと聞いてみたところ、『そんな日が訪れるかもしれないけれど、居心地が良いので今はまだ居ます』と言ってきた。吸血鬼の館が居心地が良いとは本当に変わった人間だと思うけど、リーシェが安心するだろうから、その返答はとてもありがたかった。

 

「さてと、そろそろリーシェ様のお食事の時間ですので、私はこれで……」

 

 ある程度会話を交わした後、リーシェのメイドは食事の用意のために、私たちの方に頭を下げながらこの場を後にしていった。と言うか、良く考えたらリーシェが幽閉されてから未だにあのメイドは、1度たりとも食事を運ぶ役目を与えてもらっていない。ほぼ確実に、あの時お父様に意見したからだろう。

 

「あのメイドさん……いつか、あの行動に報いてあげたいなぁ」

「ええ。でも、人間の寿命は私たちに比べて短いわ。それまでに何とかしてあげられれば良いけれど、なかなか厳しいわね」

 

 更に、幽閉以来あのメイドはリーシェの姿を見たり会話をしたりする事が出来ていない。にも関わらず、私やフランを含めた周りに一切の弱音を吐かない彼女に、何かこう……心に来る思いを感じた。

 

(手っ取り早いのは『アレ』だけれど、まだ時期尚早ね。返り討ちにされるのが目に見えてるから、力をつけないと……)

 

 頭の中でそう考えながら、リーシェを幽閉から解放するためにフランと共にもっと吸血鬼としての力をつけて、いずれ来る『あの日』に向けて備える事を決意した。

 

「そう言えば、1週間後にお父様が私たちを連れて『狩り』に行くんだってよ。お姉様」

「狩りに? まあ、それは良いけれど……館に残るのはどの程度なの?」

 

 そんな時、フランがお父様から聞いた、1週間後に私たちを連れて狩りに出ると言う話をし始めた。私が少し図書館で本を選んでいる間に、いつの間にかそう言う話が出たらしい。

 

 フランからその話を聞いた私は、1番気になる『館に残る戦力』について訪ねてみた。仮に何者かが大挙して襲撃を仕掛けてしまえば、私たちに比べて戦闘慣れしていないリーシェの事がとても心配であったためである。

 

「……メイドの人たちと、その護衛だけだって。腐っても吸血鬼だから、リーシェは1人でも大丈夫だろうって言ってた」

「え? 冗談でしょ?」

「ううん、本当だよ。お姉様」

 

 が、フランの口から発された言葉は、私の予想を超えてくるものであった。それは、館のメイドたちの護衛は居れど、リーシェを守る存在が居ないと言うものであったためだ。流石に数人程度はつけるだろうとは思っていたから冗談かと思ったけど、この場でフランが冗談など言うはずがないから、本当なのだろう。

 

(是が非でも、リーシェの情報を外に漏らしたくないのね……となると、あの子自身が強くなってくれる事を願うしかないわ)

 

 こうなってしまえば、私たちに直接出来る事は何もない。精々、リーシェの無事を祈る位だ。

 

「それなら仕方ないわ……フラン。狩りに行っている時に、リーシェの身に何もない事を祈りましょう」

「うん、そうだね!」

 

 そうして私は、フランと一緒に1週間後の狩りの日にリーシェの身に何もない事を祈った後、来る日に備えるために図書館へと向かった。

 

 

 

 




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