「リーシェさま、本来は我々妖精メイドの仕事であるのにも関わらず、お手伝いして頂きありがとうございました」
「私からも、ありがとうございます。リーシェ様」
大図書館から借りていた本を返し、また新しい本を部屋で読む用に借りる本を選んでいた私は、訳あって疲れきっている
普段であれば、効率的な図書館での仕事の仕方に加えて体力もあるメイドさんである彼女たちが、これ程までに疲れる事はない。
しかし、偶然にも今日は休みを取っている妖精さんたちが多く、整理整頓や清掃を行う妖精さんの数が少なかった。
他の場所で仕事をしているメイド妖精さんを連れてくる訳にもいかず、かと言って普段頑張っている妖精さんの休日を、緊急事態でもないのに返上させる訳にはいかなかったが故、こうなっていると声をかけた時に教えてもらった。
で、それを聞いた私が暇だった事もあり、自室での読書よりもこっちの方を優先するべきだと判断し、半ば強引に手伝う事を決めた経緯があった。勿論、これが庭師や調理関係などの私には殆んど出来ない仕事だった場合は、首を突っ込むつもりはなかったけども。
「気にしなくても良いよ。魔法の研究開発に使える時間も全部使って、どうせ本を読む位にしかやる事なかったし。なら、妖精さんたちの手伝いをした方が有意義だもの」
「なるほど……ただ、魔法の研究開発に必要な資料探しに訪れていたとしても、この様子ならしてくれそうだと思ったのは、私だけでしょうか?」
「十中八九、頼んでもそうでなくてもしてくれたでしょう。レミリア様もフラン様も、口を揃えて『自分よりも館の皆を優先する子』と言う位ですから」
「あはは……」
それにしても好意的に思われているとは言え、白髪の妖精さんたちにもこあにも心の内が完全に読まれているとなるも、何とも恥ずかしい感じである。
まあ、今まで私が見せてきた行動やら姉様2人……特にフラン姉様からの話を聞いたりすれば、そうもなるだろう。
ちなみに、当たり前ではあるけど2人が本当に心を能力か何かで覗いている訳ではない。なので、会話の途中でうっかり読心術でも使っているのかと溢してしまった結果、単に私が分かりやすすぎるだけだと言われて更に恥ずかしい思いをする事となってしまっている。
「リーシェ! 2人でお出かけしに行こう!」
「フラン姉様……? お出かけって、一体何処に?」
なんて事を思いながら過ごしていると、静かな図書館内にドアを勢い良く開ける音が響くと共に、勢い良く駆け寄ってきたフラン姉様から唐突にお出かけしに行こうと、満面の笑みで言われた。
予想だにしない声掛けにかなり驚きつつも、どこに出かけに行くのかを尋ねたところ、レイブン家の館だと言う。
ついさっきやって来たらしい使者曰く、レイブン伯爵と夫人が彼らにとって厄介な吸血鬼狩りの拠点を襲撃しに行く間、館の守りを出来ればお願いしたいとの事。レミリア姉様も、可能であれば行ってあげてと言っていた様だ。
普段であれば、有力な吸血鬼である叔父一家に頼むところらしいけど、今回はその叔父一家も襲撃に参加する様で、留守番は頼めないらしい。
「……分かった。準備するから待ってて」
「やったぁ! えへへ、ありがとうね! リーシェ!」
「と言う訳だから、皆。お出かけしてくるね」
私との
留守番しに行く関係上無理そうだし、そうでなくてもやる意味が薄い行為であるのだけど……着いたら、何かと理由をつけて私と部屋に閉じ籠もるつもりなのだろうか。
勿論、そんなフラン姉様を前にして断るなど出来る訳もなく、私はそれを了承した上で準備のために自室へと向かっていった。まあ、やる事と言っても魔法陣から
「お待たせ。準備出来たよ、フラン姉様」
「うん! じゃあ、お姉様行ってくるね!」
「ええ、行ってらっしゃい。重ね重ね言うけど、万が一があったら帰ってきなさい。これは私からの命令よ」
「えへへ、分かってるって! リーシェも、そうだよね?」
「うん、まあね」
そして、準備が出来たら門前で待っているフラン姉様の下へ急いで向かい、見送りに来てくれたレミリア姉様や美鈴にも挨拶を済ませた。
同時に、万が一
ただ、そうなれば恐らく今後の関係に少なからず亀裂が生じ、下手すれば敵を新たに作りかねない。どうか、何もなく終わってくれる様に願うばかりだ。
(ちょっ……ええ!?)
そんな感じで、門の前でこの様なやり取りを終えた後に出発したのだけど、道中でフラン姉様が何を思ったのか急上昇した挙げ句、複数の魔法の補助があっても私では付いていくのがやっとの速度で飛び回り始めたために、慌てふためく羽目になってしまっていた。
時折思っているけど、フラン姉様は私の魔法による
いつぞや、その事を全力で褒めた時に結構キツいから長時間は出来ないとは言っていたけど、それでも私の気持ちは変わらない。
で、飛行能力以外でも魔力以外の身体スペックや近接戦闘の技術では姉様2人に、練習の有無など関係なしに自分ではどう足掻こうと劣ってしまう。
故に、趣味で得た魔法技術を筆頭とした
「ふぅ……門番さん、来たよ」
「私も居るから、いざと言う時は安心してね!」
「フラン様、リーシェ様。来ていただき、大変感謝です」
そうして、レイブン家の館の前へと少しだけ息を切らしながら降り立った私は、未だに元気そうなフラン姉様と共に門番さんに対して挨拶をした後、館の中へと入っていった。
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