目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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持ち込まれた厄介事

「と言う訳なの! 何かその、ごめんね。お姉様」

 

 レイブン家の館での留守番を無事に終え、紅魔館へと帰って来た私とフラン姉様は、そこで起きた出来事を一字一句そのままレミリア姉様へと伝えていた。

 

 頼み事の特性上、レミリア姉様は侵入者の類いと戦闘になる可能性をある程度想定した上で、私たちを送り出していた。

 が、レイブン家と対立出来るレベルの勢力、確か『魔の追放』と言う名前の組織と相対し、もしかしたらスカーレット家とも本格的な対立関係になるかも知れないとは流石に想定を超えていた様で、表情は良くない。

 

 まあ、レミリア姉様の立場からしたら自分の判断で妹2人を行かせた結果、紅魔館の住人たちにとって強力な敵が増えてしまったかも知れない訳だから、そうなるのも致し方ないだろう。

 ただ、人ならざる者(主に吸血鬼やその他悪魔)を殲滅を是とする組織である以上、どのみち紅魔館へと来る羽目になっていたと私は考えている。ならば、少し早いか遅いかの違いしかなかっただろうし、あまり落ち込んで欲しくはない。

 

(しかし、改めて思い返してみると……私ってある意味凄いなぁ)

 

 そう言えば、魔の追放と言う組織名もそうだし、人ならざる者たちの殲滅と言う理念を聖教会と共有している事も勿論、急速に勢力を拡大して聖教会も一目置く程となっていたのも、今日の出来事があるまで本当に()()()()()()

 いや、組織名だけは偶然聞いた事があるのを、帰ってくる前のやり取りの中で思い出したけど……この様なら知らないも同然と言える。

 考えてもみれば、私は紅魔館でも自室から出ない時間がかなり多い上、吸血鬼の集まりに顔を指で数えられる程度しか出していないのだし、当たり前と言えば当たり前か。

 

「やるべき事をやっただけなのに何故謝るの? むしろ、これはその辺までしっかりとしていれば断るなどして防げた事態なのだから、謝るべきだとすれば私の方よ。ごめんなさい」

 

 今日起こった出来事について頭の中で振り返っていると、レミリア姉様が私やフラン姉様を結果的に危機へと放り込んだ形となった今回の留守番について、申し訳ないと頭を下げてきた。

 とは言うけれど、運命を操る能力や傘下の情報網、召喚した悪魔などによる偵察網も万能ではないから、予測の精度を高く出来ても完全に予測を立てる事など不可能だ。むしろ、力の限り良く頑張ってくれていたと声を大にして言うべきだと思う。

 

 それに、強制ではなくともレイブン家とは出来る限り、困った時は助け合う数百年単位で有効な誓約を当主同士で交わしている。

 加えて、最近は込み入った事情によって断り続けていたため、仮に完全かそれに準ずる精度の予測が出来ている状態でこの事態の回避を試みたとしても、後々別の面倒事が発生しかねない。

 つまり、今日の依頼は受ける必要性が非常に高く、この様な事が起きてもレミリア姉様のせいだとはならない。()()()()()()と、その一言で済む話となる。

 

「ううん。私の方こそ大丈夫だから、謝らなくても良いのに」

「そうだよ、お姉様!」

「ふふっ、ありがとう」

 

 故に、私とフラン姉様は頭を下げてきたレミリア姉様に謝らなくても良いと言い、これ以上は気にさせない様に何とか状況を持っていった。

 結果、過度に気にする事は止めて、ありがとうと言いながら微笑みを見せてくれるまでとなる。うん、レミリア姉様は落ち込むよりも笑っていてくれた方が良い。

 

「しかし、図ったかの様なタイミングで魔の追放の襲撃……レイブン伯爵、()()()()()うちに留守番の依頼を出してきたのかしら?」

「うーん、どうだろうね?」

「……」

 

 などと思っていると、レミリア姉様が一瞬の内に表情を真剣なものへと変え、レイブン伯爵がこの状況を狙って作り出したのではないかと疑いをかけ始めた。フラン姉様も、それはどうだろうと言いつつレミリア姉様寄りの意見を持っているらしい。

 

 実際どうなのかは不明だけど、あの2人(伯爵と夫人)ならやりそうではある。仮にそうなら気分が良いとは言い難いけど、確証を得れていない上に今まで色々と助けてはもらえているし、何より姉様2人が問いかけるなどの行動を起こすつもりがなさそうなので、私も今はその方針で行くつもりである。

 

「さて、この話はひとまず終わりにして……少し時間は早いけど、食事を取りましょう。あっ、お腹空いてる?」

 

 すると、何かを思い出したかの様な表情をしながら私を見たレミリア姉様が、早めではあるけど私やフラン姉様に食事を取らないかと唐突に声をかけてきた。

 

 この流れで食事の話をしてくるとは思わず、少し不思議に思いつつも聞いてみたところ、留守番の依頼のために行っていたレイブン家の館から帰ってくる少し前、タイミング良く妖精さんから新作料理を食べて欲しいと頼まれたためと判明する。

 で、すぐに帰ってくるかどうかも分からなかった私やフラン姉様の分も勢い余って作ってしまったらしく、レミリア姉様だけでは食べきれない量がある様だ。

 

「そっか。妖精さんたち、また新しい料理を開発したんだね! 今日のも合わせると合計で何種類だったっけ?」

「うーん……確か、11種類位は行ってたかな。本当、あれだけよく思い付いてくれるよねって思うよ」

「盛り上がってるわね。まあ、あの子たちの作る料理には外れが殆んどないから当然かしら」

 

 赤髪(あかがみ)黄髪(おうはつ)の妖精さんが主導となって研究し、開発した料理にはある程度の好みはあっても()()()()()()()()()()()()はない。お腹も空いているだけあって、どんな料理が出てくるのかが今から結構楽しみだ。

 

(妖精さんたち、本当に凄いや)

 

 それにしても、既存の料理を美味しく仕上げる腕もそうだけど、新しく作り上げた料理すら皆にとって美味しく出来る腕を持っているのは本当に凄い。

 勿論、完成させるまでには数々の失敗もあっただろうけど、それを加味しても評価は変わる事はない。何もかもがまるで違うけど、私も魔法研究や開発をしてるだけあって尚更である。

 

「あっ、お腹はそれ程でもないけど……勿論食べるよ!」

「うん。私は結構お腹空いてるから、是非とも食べるつもり」

 

 なので、迷いなく私はフラン姉様と同様の答えを出し、良い気分のままレミリア姉様の部屋を出て行った。




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