目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

175 / 251
いずれ来る時に向けて

「大切な時間を過ごしている時にありがとうね。パチェ、リーシェ」

 

 いつもの様に、図書館の一角で魔法談義や共同での研究開発をパチュリーと行うなどしてのんびり過ごしていた時、私は白髪の妖精さん経由でレミリア姉様に部屋へと呼び出されていた。

 

 こう言うのは割と良くある話で、大体が私と自室で姉妹水入らずの時を過ごしたいと思っているか、パチュリーと何か2人きりで話し合いたいとの理由で片方が呼ばれる事が多い。

 たまに同時に呼ばれる事もあるけど、その場合でも都合の良い時間になったら来てくれと、緊急性は微塵もない緩い感じである。今回もそれなのだろうと白髪の妖精さんから聞いた時は考えていた。

 

 ただ、今回は私とパチュリーが同時に呼ばれた上に、その理由が()()()()()()()()()()()()()と言うものであると聞いている。加えて、可能ならすぐにでも来てもらいたいとの伝言まで妖精さんを経由して寄越す位なのだから、これまでとは一線を画す何かがあるのは明らかである。

 

 恐らく魔法関連の問題であり、状況からしてかなり重要度のある大変なお願いになりそうだけど、それでも断るつもりなど微塵もない。私の事を尊重してくれている大好きなレミリア姉様が、本気で困っているのだから。

 

「気にする事はないわ。とても重要なお願いがあると、こあから聞いたから尚更ね」

「パチュリーもそう言ってるし、レミリア姉様のお願いなら私、何であろうと聞くつもりでいるから大丈夫。それより、お願い事の内容を教えて」

「ええ」

 

 思考を巡らせつつ、パチュリーと一緒に頭を下げるレミリア姉様に気にしないでと伝えた上でお願い事の内容を教えて欲しいと促すと、一言述べてから頷いた。

 けれど、頷いた後にレミリア姉様は何故か言葉を発さず、部屋の中を静寂が支配し始めてしまう。

 

 こうまで言いにくいとは、ついさっきまでしていた想像を大きく超える重要度のものとなるのだろうけど……だからと言って、私の意思は揺らがない。そして、それは表情を見る限りパチュリーも同じと言う事が窺えた。

 

「簡潔に言うわ。2人に、館ごと別の場所……この間説明した幻想郷って領域ね。そこに安全に移転する事が可能になる魔法の会得か改良、もしくは研究開発をしてもらいたいの」

「「……」」

 

 時間にして10秒にも満たない短くも長く感じた沈黙の後、レミリア姉様はようやく口を開いた訳だけども、案の定私やパチュリーに対するお願い事は非常に重要度が高いと言わざるを得ない内容であったため、思わず息をのんだ。

 

 まあ、吸血鬼界隈でも少しずつ危惧され始めている()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、人ならざる者に等しく降り注ぐこの事態を回避するにはこれしかないと理解出来る。私が同じ立場に居ても、恐らくこの考えに遅かれ早かれ辿り着いていただろう。

 

(レミリア姉様の考えは理解出来るけど、本当に凄い難度だなぁ)

 

 しかし、レミリア姉様の考えを完全に汲み取るには既存の空間移動系の魔法では難しく、汲み取れる様に改良しようにも1から作り上げるも同然の魔改造が必要になる可能性が高いため、結局は新規研究開発をする必要が出てくる。

 つまり、今までのパチュリーとの魔法談義や自作魔法の研究開発の際に副産物として得た、既存の空間移動系魔法の知識と基本的な技術しかない私にとって、かなり大変な道になる訳だ。

 

 とは言え、現時点でも根幹部分を除いた術式構築なら難しくとも可能である。更に言えば、魔導調合系以外のありとあらゆる分野の魔法に精通しているパチュリーが居た。長い時間はかかるだろうけど、失敗に気を使いつつ根気よく知識や技術を吸収しながら頑張っていけば、いずれ目的は達成出来ると自信を持って言える。

 

「はぁ……これまた随分と、絶大な難度の願い事をしてくれたものね。レミィ」

「やはり、流石に無茶過ぎたかしら……?」

「普通ならそうだと即答したわ。ただし、無策ではいずれ確実に消滅しかねないこの事態の回避方法が現時点ではそれしかない以上、何とかやるしかない。どれだけ時間と手間がかかるか全く見通しが立たないけど、絶対にその時までには完成させるから任せておいて」

「私も、パチュリーと同じ考えだよ。レミリア姉様」

 

 そして、パチュリーもレミリア姉様からのお願いに対して難しいとハッキリ示しつつも、完成させる事そのものは確実に出来ると信じて疑っていないらしい。自信満々の表情をして、最悪の事態となる前に完成させてみせると宣言していたのを見れば明らかである。

 だから私は、流石は七曜の魔女(パチュリー)、積み上げてきた膨大な魔法の知識と技術の存在があってこそ成せる自信なのだと、尊敬の念を改めて抱く。

 

(頑張らなきゃね、私。レミリア姉様もフラン姉様も、幻想郷について必死になって調べたりしてるんだから)

 

 同時に、私はパチュリーの負担減らしとなれる様に力の限りを尽くし、空間移動魔法の研究開発を大成功へと導こうとの意思をより強く持った。

 こうなれば、向こう数十年は自分のやりたい魔法の方に割ける時間は大きく減少するだろうけど、大好きな姉様2人を筆頭とした館の皆(大切な家族)のためと思えば微々たるものだと言える。

 そんな理由から、今以降その事実については頭の片隅へと封印しておくと決めた。

 

「ふぅ……これからはもっと大変な思いをするだろうけど、私もやれる事は頑張らなきゃ!」

「ふふっ。張り切るのは良いけれど、体調を崩して倒れる事だけはないように気を付けなさい。幻想郷のある『国』と紅魔館、とてつもない距離があるからね」

「そう。あくる日の私みたいに馬鹿な失敗をして、レミリア姉様が苦しむのを見るのは嫌だから」

「分かってるわ。それと、パチェとリーシェも張り切り過ぎて倒れない様にしないと駄目なのは同じよ」

 

 本題である魔法についての話を含め、時折幻想郷関連についての話も挟みつつやり取りを続ける事およそ40分、最後に3人で自分たちの体調には絶対に気を付けようと固く誓い合い、このやり取りは終わりを迎える事となった。

 




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。