「あっ、居た。レミリア姉様、空間移動魔法について色々と報告したい事があるんだけど……時間割けたりする? 駄目なら都合の良い時間を教えて欲しいな」
優先度が低く、今日以前から後回しにしてきたのも含めてやるべき色々な仕事を終え、息抜きに館内をのんびりふらついていた私は、クレイナ似のメイド妖精を何故か肩車していたリーシェから声をかけられていた。
見た感じわざわざ私を探していたみたいだけど、表情が真剣なものである上に今色々と報告する時間が割けなければ、都合の良い時間を教えて欲しいとまで言う程の事態であるらしい。
この事から、空間移動魔法に何らかの大きな問題が出てきたのかも知れないと思ったけど……
それで、リーシェから時間を割けるかと聞かれたけど……仕事を終わらせ単なる息抜きをしていた私には、割ける時間は沢山ある。
と言うか、そうでなくとも空間移動魔法は神秘の影響力低下による事象を確実に回避出来る『幻想郷』へ、館ごと安全に向かうための生命線だ。
「今は単に息抜きでうろついてただけだから、時間なら心配しなくて良いわよ」
「そっか……うん。じゃあ、一緒に大図書館に行こう。詳しい報告はそこで、フラン姉様と美鈴も入れてまとめてするから」
故にその報告をしたいと言うのであれば、多少時間が足りなくても報告を受ける時間を無理に作る必要すらあるだろう。なのでリーシェのお願いを即座に了承、既に声をかけて了承済みのフランや美鈴が待つ大図書館へと私も向かった。
ちなみに、肩車しているメイド妖精も連れて行くのかと尋ねたところ、少し困った様な笑みを浮かべて『うん、約束したから』と言ってきた。曰く、今日は寝るまで入浴やトイレの時以外は2人きりでなくても構わないから一緒に遊ぶか居させてと迫られ、なし崩し的に約束をしたとの事らしい。
まあ、紅魔館の住人であれば誰彼構わず懐く性格に加え、クレイナ似である事で妖精メイドの中ではリーシェとの相性が最も良いから、何ら不思議な事ではない。もう大分前になるけど、運命の成すがまま半ば無理やりにでも連れてきて良かったと思う。
「来たわね、レミィ。わざわざ時間を割いてくれてありがとう」
「ええ。それよりも、リーシェから空間移動魔法についての報告があるって聞いたから来たけど、かなり重要なのよね? フランも美鈴も集めてるみたいだし」
「そうね。有り体に言えば、魔力枯渇対策の魔道具の軽い調整のみになったわ。後は、いずれ幻想郷に行った後の諸問題を考えた結果、出てきたレミィたちの協力が必須な部分も含めて話したくてね」
「なるほど」
色々と考え事をしながら大図書館へと入り、パチェとの簡単なやり取りを交わしてから報告が始まったけど、聞いてみれば案の定大きな問題どころか最高の知らせだと分かり、改めて安心感を得る事が出来た。
既に安全性と対妨害性が理想的になっていて、想定通りに使用した場合のどうにも出来ずにいたらしい絶大なる魔力消費量も、私とフランと美鈴の協力を得た上で軽い仕上げ作業を残すのみとなった新開発魔道具を使用して解決出来ると聞けば、当然と言っても良い。
勿論、これだけ大規模かつ特殊な魔法である以上、魔力消費はもとより発動に必要な手順、集中力なども他の魔法の追随を許さない程に厳しくなっている。リーシェもパチェも、自分たち程ではないけど大変になるだろうと言っていた。
とは言え、このまま何もせずにいた時に起こる究極的な事象に比べれば大して辛くもないし、魔法の発動の際に大変な思いをする程度で済むだけなら幸せだと言える。
なのに、大切な皆のために協力出来る
「リーシェもパチェも、本当にご苦労様。私も無論、その時が来たら協力は惜しまないわ」
「私も、お姉様と同じだよ!」
「そうですね。紅魔館、本当に私にとって居心地の良い場所ですから」
なので、ここまで頑張ってくれたパチェとリーシェに労いの言葉をかけた上で、いざと言う時には協力を惜しまないと私は宣言した。で、その後フランと美鈴も続いて宣言したため、これで紅魔館の主力全員が一丸となった協力体制が結成される事となる。
「えっと、もう大丈夫かしら?」
「うん、もう大丈夫。レミリア姉様、のんびり休憩中に時間を割いてくれてありがとう」
「ふふっ、どういたしまして……それと、貴女。これからもリーシェと仲良くしてあげてね」
「……はいっ!」
そうして、私はリーシェに伺いを立ててクレイナ似のメイド妖精に一声かけてから、フランや美鈴に続いて大図書館を後にした。
(私も、もっと頑張らなくちゃ)
にしても、難易度が他の魔法の会得や開発とは比にならない程に高いはずなのに、空間移動魔法を完成まで仕上げてくれるとは流石、
後は、いざと言う時に効果を完全に発揮出来なければ困るので、私やフランが必要な各種情報を全力でかき集め、いつ何時でも使える様に備えておくのみだ。それ故に、自然とやる気が漲ってきている。
「お姉様! 大変だけど、私たちも情報集めとか一生懸命頑張ろうね!」
心の中でそう決意を固めていると、いつの間にか隣を歩いていたフランから頑張ろうねと声をかけられた。どうやら、私と同じく触発されてやる気が満ちているらしいけど、フランなら至極当然の反応ではあったから、特筆する様な事はない。
「勿論よ、フラン! リーシェとパチェの頑張りに応えなくちゃね!」
で、そんな風に思考を巡らせながら私はフランの方へと向き、当然の事ながら自分も頑張ると笑顔で強く宣言を掲げた。
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