目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はフラン視点です


時を操る少女(前編)

(久しぶりだなぁ……)

 

 天気は運良く曇りではあるものの夜が明けようかと言う時間帯、私はお姉様や召喚契約を結んだ強力な悪魔55人と共に、紅魔館へと攻めてくると言う敵対組織の軍団の下へと向かっていた。

 

 今回の敵は、聖女率いる親衛隊や聖魔騎士団と言った聖教会の最高戦力や、民間で最も名高い人類の守護組織である魔の追放ではない。

 ただ、それら(人類の守護者たち)には劣れど実績のある組織な上、空中戦をこなせる者も含めて数が300を超える多さなので、今現在出せる最大戦力で来ているけど油断は出来ない。

 

「本当、リーシェのサポートって凄い役に立ってくれてるんだなって今思うけど、お姉様はどう?」

「言わずもがな、フランと同じよ。あれ以上に戦闘時に役立つサポートなんて、全くないとは言わないけど凄く少ないだろうから」

 

 この場にリーシェが居れば、私の知る誰よりも遥かに高い感知能力やそれを使った魔法のサポートを得られ、余裕でなくてもある程度は楽にはなった事だろう。

 

 しかし、私とお姉様が出撃している以上、このご時世紅魔館を守る戦力からリーシェを外す事は現実的ではない。加えて、お姉様がそれを抜きにしても連れて行くのは()()()()()()()()()()()と言ったため、いつもの様に留守番を頼んである。

 

 なお、紅魔館でその集団を迎え撃つと言う案も私が一応言おうとする前に、同様の理由でお姉様に即却下されている。

 これについては、不測の事態による戦闘能力が低いか持たない妖精さんたちへの被害などを考えると、来る前に殲滅が可能な今回の様な場合は運命云々がなくても却下だとお姉様も言っていた。まさにその通りで、納得でしかない。

 

「さてと、フラン。話はもう終わりにして、気を引き締めるわよ」

「……うん!」

「貴方たちも、戦闘準備をよろしくお願いするわ」

「「「了解!!」」

 

 そして、紅魔館から南南東へある程度進んで空中に特徴的な白兜を被った人物が多数見え始めてきたところで、お姉様から戦闘に備える様に指示が出たため、私もより一層気を引き締めた。

 

 今見える空中の敵だけで持てる戦力で出てきた私たちの2倍近く、探知魔法に引っかかっているのも含めればおよそ3倍は居そうな感じであり、フォーオブアカインドで分身を3人増やしたとしても、相手の強さによってはかなり壮絶な戦闘となるだろう。

 

 ただ、相手の数がどれだけ多くても、私以上に強かったとしても恐怖などは抱かない。お姉様たちだって居るし、何より凄く心強いもの(危機回避の魔導書)をリーシェからお守りとして渡されたのだから。

 

「ぐあっ、一体何……スカーレットの奴らか、クソッ! 仲間引き連れて来やがった!」

「落ち着け。非常に不味い状況だが、本陣(紅魔館)で迎えられるよりはまだマシだ……ともかく各員、すぐさま攻撃を開始したまえ!!」

 

 こうして、リーシェの迎撃魔法を展開した上で空中に居る敵対勢力の大軍に、分身と共に火炎弾を味方に当てない様にばらまきながら真っ先に突っ込んで戦闘を始めたものの、案の定私はすぐに集中砲火を受ける事となった。

 

 紅魔館へと攻め込む判断が出来るだけあって、攻撃の1つ1つの威力と精度は高い水準だ。恐らく耐えられなくはないけど、無対策でまともに食らい続ければ体力が尽きて殺される可能性もあるだろう。

 何なら、弾幕の嵐の中には吸血鬼特効の物理攻撃や魔法攻撃が混じっていてもおかしくはないので、1発食らうのも避けた方が無難だろう。

 

 故に、分身に放たせた火炎弾と迎撃魔法で飛んで来る魔法攻撃の半分以上は相殺し、それらで防ぎきれなかったものや近距離からの物理攻撃だけをリーシェ直伝の複合防御魔法、もしくはレーヴァテインで受け流すか弾き飛ばしたりして、必死に無傷を維持している。

 

「そぉーれ、荒れ狂う火炎の嵐!」

「なっ、避けられな――」

 

 そして当然だけど、防御に徹するばかりでは相手の数を減らす前に魔力が尽きてしまうから、攻撃の嵐が途切れるタイミングや疲労などにより出来た隙を狙い、その都度適切な攻撃を加えている。

 だけど、これで空中の敵を減らせても地上の敵から襲い来る弾幕まで減る訳ではないので、非常にもどかしい。

 

 現時点では戦況はやや優位に傾いている上魔力の残量には余裕があるけれど、あまりにも長く空中戦を続け過ぎればそれもどうなるか、火を見るよりも明らかだと言わざるを得ない。だから早急に寄ってくる敵を始末し、お姉様たちの援護をしてから地上戦を行いたいところだ。

 

「何て奴だ……! 戦闘技術と種族特有の身体能力だけでも厳しいのに、あの魔法が出鱈目過ぎて手が出せん! どうにかならんのか!」

「現状、どうもなりません! 切り札の到着まで我々のみで耐えきるしかないでしょう」

「……クソッタレ!」

 

 現在の戦況から色々と思考を巡らせつつ戦っていると、相対している敵の1人が『切り札の到着』と言う言葉を使い、今の状況に焦り怒る他の味方を宥めて落ち着かせる光景が目に入ってきた。

 

 これを見て聞く限り、彼らにとって不利なこの状況をひっくり返せるだけの兵器、もしくは人物がこの戦場に向かっているのだろうけど……どれ程の強さの存在で、どれ位の数が存在するのだろうか。

 まあ、今さら考えても致し方ないので聖女並みの脅威を想定し、警戒をより強めていつ来ても大丈夫な様に備える。

 

(こいつら、並大抵の敵じゃないし……お姉様、大丈夫かなぁ)

 

 それにしても、今回の相手は私がほぼ全力を出し、やっと優勢を維持出来る位の優れた統率力と実力を誇っていて、神秘の影響力低下を加味しなくてもかなり手強い。例えるなら、聖教会の通常戦力と対峙している様なものだ。

 

 とは言え、勝つ事が絶望的な程の相手ではない。如何なる理由があっても手を抜かずに戦えば、どれだけ辛く苦しい道のりだろうと最終的には勝利を掴む事は可能だと考えている。

 

「紅魔館の皆は、絶対にやらせ……!?」

 

 しかし、私の抱いていたその考えはあまりにも予想外な……レーヴァテインを敵に振り下ろそうとした刹那、いつの間にか現れていた銀髪の人間さんの振り上げられた魔法銀(ミスリル)のナイフを反射的に避けたが、完全には避けきれずに肩を刺されてしまう出来事により、一瞬だけ揺らいでしまった。




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