目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


時を操る少女(後編)

(これは、さっきまでの戦いがお遊びの様に思えてくるわね……)

 

 空中や地上に残っている敵を味方に任せ、いつの間にか現れていた強敵(人間の少女)とフランの戦いに加勢した私は、その身で彼女の強さと能力の厄介さをしみじみと感じていた。

 

 純粋な身体能力では当然私が勝っているのだけど、速さだけは油断ならないレベルの上、近接戦闘技術に関してはもしかすると私と同等かそれ以上が確実であると分かったからだ。

 更に、自分の能力を全力で使ってようやく完封出来る程の謎の瞬間移動能力、歪んだオーラを纏ったナイフや体術などによる高い破壊力と伝播する衝撃の存在も、彼女の厄介さに拍車をかけていた。

 

 ただ、それでもフランとの戦闘で蓄積された彼女自身の疲労や背後からのフランの援護と言う助けがある以上、キツいけどまだマシな方である。体力や魔力もまだ戦い続けられる程度には残っているのだから、厄介な相手だろうと立ち向かっていくつもりなのは変わらない。

 

(なんて出鱈目な動き……フラン、ついさっきまでは1人で相対してたのよね)

 

 とは言え、最も脅威的な瞬間移動能力は運命を操る事によって実質完封し、歪んだオーラを纏ったナイフ攻撃や体術はリーシェの防御迎撃魔法やフランの助けを借りつつ対処しているものの、何だかんだで疲れている私にはキツい。

 

 特に、謎の瞬間移動能力を実質完封するために能力を全力で使っているのだけど、普段ここまで使い続ける事がないだけに特にキツいと感じている。正直、これなしで戦おうか一瞬頭に浮かんで来ている位だ。

 

 が、彼女の瞬間移動能力の全容が分からない以上は、自身やフランの安全のためにも限界まで止められない。もし止めたとするならば、最悪対応が追い付かずにこっぴどくやられる可能性もあるので、至って当然だろう。

 

「ふぅ……私の攻撃がことごとく先読みされ、防がれている……スカーレット家の次女も厄介だったけれど、やはり当主は桁が違いますね」

「まあ、伊達に400年以上も当主やってる訳じゃないし、この位強くなきゃ大切な皆を守れないもの。それに、貴女だって他の有象無象とは桁が違うわ。誇っても良い位よ」

 

 それにしても、戦い始めてからある程度の時間が経った後も彼女は攻撃の手を止める事なく、何度も向かってくるけど……内心本当に驚きでしかない。実は吸血鬼や悪魔であると言われても、信じてしまいそうな持久力だ。

 

 とは言え、流石に体力と魔力の限界が近いらしい。先ほどまでの攻撃の苛烈さはなくなりつつあり、脅威でしかなかった能力や歪んだオーラを纏ったナイフ攻撃や体術も、使ってくる頻度が落ちてきていたからである。

 更に、的確なフランの援護攻撃が彼女の行動を制限してくれたお陰で私の攻撃も当てやすくなり、その防御で力を削がせているのも大きい。このまま行けば、そう遠くない内に無力化出来るはずだ。

 

 勿論、だからと言って気を抜ける訳ではない。彼女の戦意は未だ高い上に、フランや召喚悪魔の協力で随分減ってきてても敵がまだ居るのだから。

 

「そうですか……しかし、私も毎日を生き抜くためにこの稼業をしています。特段、吸血鬼や悪魔などに恨みや執着がある訳ではありませんが……ご容赦を!!」

 

 頭の中で思考を巡らせつつ、会話などを挟みながら本気のやり取りを交わしていると、彼女が懐のナイフに手をかけて何かの決意を抱いた様に声をあげた。

 

 どう見ても、今までの技よりも強力無比な大技が飛んでくる前の予備動作としか考えられなかったため、急いでこの場から飛び退いた上で全力防御の構えを取った。

 

(うあっ!? 何これ、頭に響く……)

 

 すると、僅か2秒経った時に自分の立っていた場所を中心とした目測半径10m程度の範囲に、何かが軋む様なやかましい高音と周囲の空間を歪ます光の線が複数に渡って出現する現象が発生した。

 

 今までと比べてどれだけ脅威なのかは、私自身ギリギリ内部に囚われなかったため分からなかったものの、発動後のオマケと推測出来る単なる衝撃波で展開していた防御魔法壁にヒビを入れられた。

 これだけ見れば、まともに受けた場合の影響は推して知るべしだろう。

 

「これでも駄目でしたか……ふふっ。何となくであっても、気乗りしない依頼はやはり、受けるべきではありませんでしたね……」

「おっと……大丈夫よ。思い切り戦って傷つけておいてなんだけど、元から貴女を殺すつもりなんて微塵もないから、安心してお休みなさい」

 

 そして、私やフランと戦い疲労した状態でこれ程の大技を出した彼女はとうとう限界に達した様で、浮力を失って地面へと落ちていき始めたが、当然その前に彼女の身体を受け止め抱えた。

 取り敢えず心拍は普通にあり、寝息と言う形で呼吸も確認出来たので、命の危機に至ってはいないと理解してひと安心である。

 

 一目見た時からエルやクレイナの時と同等……いや、それ以上の運命を感じ、強さ云々を抜きにしても是非とも館の住人になって欲しいと思った存在な訳なのだから、当然だと言える。

 

(ふぅ……よし)

 

 で、今回の襲撃者の中で断然強く厄介な相手である彼女を無力化したためか、私の周りで様子を伺っていたりフランたちと戦っていた残りの敵が物凄く慌てて逃げていき、誰も居なくなる事で自然と戦いはこちら側の勝利で終える事に成功した。

 

 これにより、懸念していた彼女を取り返そうとする敵の襲撃も考える必要がなくなった訳で、ひとまずこのまま館へと戻る事が出来る。

 同時に、彼女が味方であったはずの彼らからどう見られていたのかが何となく分かった気がして、実に不愉快な気分にもされたけど。

 

「お疲れ、お姉様!」

「ええ、フランもお疲れ様。援護ありがとうね」

「お疲れ様でした! それと、地上では一部撤退を許してしまった敵が居ますが、大部分の排除に成功しております。追撃は行いますか?」

「あらそう? でも、今日は止めておきましょう。撤退したのなら必要ないし、それでまた来るなら全員始末すれば良いし。後、今日は協力感謝しているわ」

「はい!」

 

 その後、同じく戦闘を終えてきたフランや召喚悪魔たちと労いの言葉を掛け合ったり、重傷を負った悪魔への応急措置や死んでしまった悪魔への弔いを()()()()()()()()()()、全員で館へと戻っていった。




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