目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話は通常よりも長めとなっています


レミリアの思い付きパーティー

「リーシェお嬢様、お陰で準備を何とか時間内に終わらせる事が出来ました。ありがとうございます」

 

 いつもの様に行っていた魔法の研究開発や魔道具製作の合間、たまたま廊下ですれ違った咲夜たちに声をかけられた私は、元々の今日の予定を中止した上で清掃などの仕事が終わるまで一緒に手伝いをしていた。

 

 すれ違った際、仕事が追いつかなくて大変だから手を借りたいと声をかけられた時は驚いたけど、レイブン家を含めた友好的な面々を招いた大規模交流パーティーの開催がレミリア姉様によって急に決まっていたともなれば、そうもなるだろう。

 加えて、パーティーでの状況如何によっては念のために一定人数の宿泊も可能な様に備えもしたのだから、誰から見ても当たり前と言って良い。

 

 今に始まった事ではないけど、時折急な思い付きで館の皆を振り回したりするのには、対応出来ない訳ではないけど困ったものである。

 

 当然、私も何度か抑えてと言った事はあるけど、多少頻度が少なくなる程度に収まっている。まあ、そんな困った面も含めて大好きなレミリア姉様であり、これからもずっと支えていこうとの思いは変わる事はない。

 

「どういたしまして。それにしても……相変わらずだよね、レミリア姉様って」

「全くです。今回は特定の生活圏以外全体で行われる規模ですので、何だかんだ普段は優秀な妖精メイドたちも大慌て、リーシェお嬢様が来る前までは能力の助けを借りる程の忙しさでした」

「あはは……」

 

 そしてそれは、レミリア姉様に対して絶対的な忠誠心を抱いている咲夜も殆んど同じであるらしい。流石に少しだけ呆れてはいるみたいだけど、表情を見れば猛烈に嫌そうだったり精神的に辛そうにしていないとすぐに理解出来た。

 

 ちなみに、咲夜の指揮下にある妖精さんたちは割り振られた仕事を終わらせた瞬間に、もう無理などと言いながらその場にへたりこんでしまったため、全員メイドさんたちの部屋に運んで寝かせてあげた。

 最初から全部見ていた訳ではないものの、相当苦労したのだと分かる一幕である。

 

「咲夜。もし、レミリア姉様にその辺の事柄で何か伝えたい事とかあったりする?」

「伝えたい事……大丈夫です。既にお嬢様には妖精メイドたちを代表して、私から色々と伝えておきましたので」

「あっ、そうなんだ」

 

 で、今までのやり取りを鑑みてないとは思ったものの、一応この件でレミリア姉様に何か伝えたい事があるかと咲夜に聞いてみたところ、もう既に色々と伝えてあるとの返答をもらった。

 

 もし、何か伝えたくても伝えづらそうにしてるかもと心配してたけど、そんな事はなかったみたいで安心である。

 と言うか、そもそも咲夜がレミリア姉様に遠慮なく意見を述べている光景など、沢山ではなくても何回かは見聞きした事があった。これを考えれば、私の心配が杞憂でしかないのは最初から決まっていたと言える。

 

「リーシェ、こんなところに居たんだね! 咲夜も居るし、ちょうど良かった!」

「フラン姉様、どうしたの? 後、妖精さんたち寝てるから少し静かめにお願い」

「あっ、うん。実は……」

 

 やるべき仕事を終わらせ、メイド妖精さんの部屋の片隅で静かに他愛もない会話をしながらそれなりに長めの一息をついていると、ドアが開く音と共に相変わらず元気一杯なフラン姉様が入ってきたのを目にした。

 

 あの話ぶりからしていつものお誘いではなく、何か用事があって私や咲夜を探していたのだろう。今日の状況から推察するならば、大規模パーティー関連の用事と言ったところだろうか。

 

 そう思いながらフラン姉様にどうしたのかと促すと、来客対応に忙しいレミリア姉様の代わりに、私と咲夜に大規模パーティーへの参加をお願いしにきたと判明した。案の定、ほぼ推察通りである。

 

「うん、別に大丈夫。暇だし、体調も万全だから」

 

 嫌なら嫌で構わないらしいけど、断るに値する確固たる理由などない私は即座に了承、パーティーへの参加がこれをもって確定した。来客は既にやって来ているらしいので、何もなければ今すぐ会場へと向かう必要があるだろう。

 

 とは言うものの、レイブン家の面々のみで正直ギリギリな私がその他の集団も加わったパーティーへ参加するのは、面倒な事この上ない。今からでもやはり、申し訳ないと言って断ろうかとの考えがよぎる。

 

「良かったぁ。お姉様、出来ればリーシェとも一緒に楽しみたいって言ってたからさ。勿論、私もだけどね!」

「そうなんだ」

 

 しかし、明らかに私と過ごすパーティーの時間を楽しみにしているフラン姉様を見ればその様な事が出来る訳がないし、しようとすら思わなくなった。

 

 おまけに、レミリア姉様も私が参加しているパーティーの時間を楽しみにしているとあっては、最初に感じていた面倒が全て楽しみへと反転していくのを実感したのも、納得でしかない。

 

「後、お姉様はああ言ってたけど、咲夜も駄目だったり嫌ならそれでも良いんだよ? 準備で疲れてるだろうからさ」

「いえ。レミリアお嬢様の要望とあらば、体力はまだ残っているので参加いたします。それと、格好はこのままで問題ありませんか?」

「うーん……格好がどうとかは特に何も言ってなかったし、そのままで大丈夫だと思うよ! あっ、でもナイフを見せびらかさない様に気をつけた方が良いかも」

「分かりました」

 

 私の了承を得た後、フラン姉様は咲夜にもどうするかと問いかけたけれど、迷わず参加を決めているのを見るに、問いかけは愚問だった様である。

 

 後は、咲夜が紅魔館に来る前の経歴故にレイブン家やその他の面々との軋轢があったりしないかが少し気になるけど、レミリア姉様が是が非でも誘いたがっている様だし、万が一あったとしても何とかしてくれるだろう。

 

 勿論、大前提としてそんなものはなければない方が、パーティーの雰囲気が明るいままで保たれ、全員気楽で過ごせるからその方が良い。

 

「よう、天使様! 誘われて来たぜ!」

「どうも、リーシェさん。お先に楽しんでます」

「うん、ようこそ。まあ、楽しめてるみたいで良かった」

 

 フラン姉様に連れられ、恐らく今日最も賑やかであろう大食堂へと足を踏み入れると、バスケット一杯にお菓子を入れて楽しんでるネイビスとミドナがやって来て、いつもと全く変わらない感じで声をかけてきた。

 

 なので当然、私も表情を柔らかくしつつ兄弟2人に軽く頭を下げて声をかけ返す訳だけど、その瞬間に数人の吸血鬼さんが何かとんでもないものを見るかの様な目で私を視界に入れてきたのが見えた。

 特におかしな振る舞いはしておらず、ましてや恥ずかしい発言などしているはずなどないだけにそっち方面での心当たりがなく、理由が全く分からなかった。

 

 となると、こう言った公の場に殆んど姿を表さない私が珍しく姿を表している上、レイブン家の面々と仲良さそうにしているものだから、思わず見てしまったと言ったところだろう。

 本人たちから聞いた訳でもないので、この推測とは違う可能性も大いにあり得るけどまあ、支障はないからどうでも良いか。

 

「おっ、天使様の隣に見慣れないメイド服姿の人間が居るな。新しいメイドなのか?」

「そう。2年前にうちに来た、戦闘だってこなせる最高のメイドさん――」

「リーシェ、それより後の()()は私がやるわ」

 

 別に分からなくても問題ない事について考えていると、ネイビスが私の隣に居る咲夜の方に視線を向けた後、新しいメイドなのかと質問してきたため、ひとまず軽く紹介しようとした。

 

 しかし、レイブン伯爵や夫人と話していたはずのレミリア姉様が割り込んできたため、何だかんだで長々とした解説までされる事が決定してしまう。自己紹介を軽く済ませ、パーティーを楽しむ時間を出来る限り潰さない様にとの私の気遣いは、これを見る限りでは徒労に終わりそうである。

 

 まあ、このパーティーの企画者はレミリア姉様だし、咲夜は若干引きつつも褒められて嬉しそうだから良しとしよう。解説を聞く事となったレイブン家の面々も、食事をしながらこれはこれで楽しそうにしてくれているから尚更だ。

 

「フラン、リーシェ。私の思い付きに付き合ってくれて、本当にありがとう。2人が一緒に楽しんでくれたから、今凄く幸せな気分よ!」

「ふふっ、どういたしまして! お姉様!」

「うん。レミリア姉様の幸せは、私の幸せでもあるし」

「咲夜も、随分苦労をかけたわね。お詫びと言ってはなんだけど、明日は貴女の直接的な指揮下にある妖精メイドたちと同じ様に時間をあげるから、ゆっくり自由に過ごして」

「分かりました。ありがとうございます」

 

 そして、解説話の対象外ではある私とフラン姉様も、翼に幸せの感情が表れる程にはしゃぐレミリア姉様に付き合ったり、咲夜たちが作った料理やお菓子を食べたりしながらこの一時を大いに楽しんだ。

 

 ただし、こう言った館の皆以外の誰かしらが集結する非常に賑やかなパーティーへの参加は元々の性格が相まって、身体・精神的に疲労が溜まりやすい。姉様2人が大食堂に居て、参加者全員が友好関係にあってもそれは変わらない。

 

 今回みたいな流れが次いつあるかは分からないけど、しばらくはお願いされても断りを入れておこう。いつも私を気遣ってくれるレミリア姉様の事だから、とんでもない事態でも起こらない限り数年はお願いしてこないとは思うが。

 

「レミリアさまー! そろそろ時間が厳しくなってきたけどどうするのー?」

 

 何だかんだで私や咲夜、フラン姉様が会場の1つである大食堂でのパーティーに参加してから感覚的にかなりの時が経った頃、数人のメイド妖精さんが時間が厳しくなってきたとレミリア姉様に伝えに来た。どうやら、本当にかなりの時間が経過していた様だ。

 

「あら、本当ね……じゃあ、仕舞いにするから会場に散らばってる来客への声掛けを、一緒に手伝ってくれる?」

「はーい! みんなも行くよー!」

 

 レイブン家含め、今日の来客はほぼ全員紅魔館からさほど遠くない場所に居を構えている上、全員万が一を想定して備えているとは聞いている。帰る途中に日が完全に出てしまえば非常に危険な状況に陥る可能性が極めて高い。

 

 故に、当然の如くそれを理解しているレミリア姉様がパーティーの終了を即決、妖精さんたちと共に声掛けへ向かったため、私も大食堂に居たレイブン家の面々全員と挨拶を交わした後、フラン姉様や咲夜を連れてこの場を立ち去った。

 




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