目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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初めての実戦

「魔法攻撃か! 避け……!?」

「ぐぉぉぉあぁぁ……」

「ちっ! まさか当たる寸前に爆発して放電するとは、厄介だぞこれは!」

 

 私を殺すと言ってきた吸血鬼狩りに放った雷の矢は、彼らに当たる寸前に電気を撒き散らしながら崩壊し、複数人を巻き込んでダメージを与える事に成功した。『雷拡(らいかく)の矢』と名付けたこの魔法は、期待通りの成果を発揮してくれたみたいてある。

 

 ただ、ろくにチェックをしなかった自分の馬鹿な行為のせいで消費魔力が多いのと、更に障害物が多い場所では誤爆してしまう欠点があるため、使いどころが狭まっていた。今回居るところのように広く、かつ敵が複数居る場所で3発程放つのが限界と言ったところだろう。

 

(能力使ってる時にこの魔法は辛い……やっぱり、普通の雷の矢にしておけば良かった!?)

 

 そんな事を考えていると、私の気配探知で背後から斬りかかってくる吸血鬼狩りを察知したため、すぐさま身体を左に反らした。すると、顔からたった数センチのところを銀の剣が、風を切る音が大きく聞こえる程の速度で通過するのが見えた。

 

 しかも、破邪の聖水がかけられていたらしく、飛び散った水滴に触れた箇所の私の肌が赤く腫れ、ヒリヒリと痛み始めた。仮に、振り下ろされた銀の剣に気づかなければ今頃、2つのアイテムの相乗効果によって、包丁で切られた豆腐のように私はなっていたかもしれない。

 

「こいつ、後ろを見ないで避けやがっ――」

「隙が出来た……それっ!」

 

 私が後ろを見ずに攻撃を避けた事で驚き、出来た隙を突いて魔力で作った矢を頭に当てて容赦なく殺すと、続けざまに2人に向けて矢を放ち、感電させてこちらも殺した。その後は時折、破邪の聖水をかけられたり銀の剣を避けきれなかったりなどして、それなりな怪我を負ったりしたものの、何とか凌ぎきる。

 

 そうして、私に攻撃を仕掛けてきた敵に対して矢を放とうとした時、急に攻撃の意思に揺らぎが生じてきてしまったため、いつでも射れるように構えながら後ろへ飛び、相手から距離を取った。

 何故なら、戦闘中に散った相手の血が私の顔にかかり、それを舐めとった時に感じた果実のような味と心地よい匂いに刺激され、皆を早く殺して相手の誰かを()()()()()()()()()()()と思い、それを前世の人間としての意識が抑えると言う状況になっているためだ。

 

 こんな衝動に駆られるのは、吸血鬼として普通なのだろうか。はたまた、吸血鬼だとしてもこれは異常なのか。敵なら食べても良いのではと思えば、側にメイドさんが居るのにそれば駄目だろうと思うなど、そんな考えが頭をぐるぐると巡り、戦闘に対しての集中力が切れてしまう。

 

「ちょっ……こっちに来ないで下さいって!!」

「こんな時に剣術でも覚えとくべきでした……って危ない!」

「っ! メイドさん!」

 

 そんな私の数秒の硬直の隙を突かれ、残っている吸血鬼狩りがメイドさん2人を殺そうとしているのか人質に取ろうとしているのかは不明だけど、3人がかりで襲いかかられてしまった。

 

(私のせいでメイドさんが……って、懺悔してる暇があるなら助けなきゃ!)

 

 こうなってしまえば衝動がどうとか、人の命がどうとか言っていられない。能力の使用も刻々と限界に近づいてきている事もあったから、メイドさんを助けるために襲っている3人を殺してしまおうと決めた。

 

(せめて、苦しまないように、一思いに……殺らなきゃ……!)

 

 なので、純粋に威力を消費魔力無視で高めた魔法の矢を生成してつがえ、力が抜けそうになるのを耐えながら、メイドさんを襲う敵をまとめて殺せるタイミングを見計らい、放った。

 

 放った矢は少し逸れたものの、見事3人に命中して貫通、メイドさんを救う事に成功した。ただ、威力と速度を無駄に上げすぎたせいか胴体に大穴が開いて臓物を飛散させ、普通の人が直視出来ないグロテスクの極みな光景を広げてしまった。

 

 ただ、私は例の衝動によって平気どころか、盛大に力を使ったせいで勿体ないとか美味しそうだとか思ってしまう位の、完全に関わり合いたくない人と化してしまった。勿論だけど、メイドさんが居るからこれらの言葉を口には出していない。

 

「あ、あぁ……」

「だから言ったでしょう!? あのスカーレット伯爵が、ただ単に容姿がどうとか位で娘をこんなに厳重な封印を施してあるところに置いておく訳がないと! 『彼ですら抑えきれない力を危険視した』と言うのが正しいと! 矢1本であれだけの破壊力なのだから!」

 

 そんな感じでグロテスクなこの光景を見ながら恍惚としていると、吸血鬼狩りの生き残りが怯えたり、何だか良く分からない勘違いや思い込みをし始めた。私がここに幽閉されている理由が容姿の問題のみではないとか、父様が私の力を危険視しているとかだ。

 

 訂正してあげようかとも思ったけれど、良く考えたらこのまま勘違いしたまま逃げ帰ってくれれば、力の使い過ぎで頭痛に目眩に猛烈な眠気など、身体がガタガタな私にとってはありがたいから、何も言わずに待つ事にする。

 

「と……取り敢えず撤退だ! 上の生き残っている奴らにも伝えるぞ! スカーレット伯爵共が戻ってくる前に、早急にな!」

「了解しました!」

 

 すると、もうそろそろ倒れてしまいそうと言うタイミングで相手が撤退を決意し、この地下室から私の心の願い通りに出て行ってくれた。後1分程度粘られれば私の命は終わっていたかもしれないので、ようやく胸を撫で下ろす事が出来た。

 

「メイドさん……私、何とか頑張れたよ……」

「「えっ……リーシェ様!?」」

 

 そうして自分自身やメイドさんを狙う敵が居なくなり、緊張が解けたところで目が回って足の力が抜け、私はそのまま顔から倒れこんだ。

 

 

 




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