「何て速さなの! 周りの奴らはともかく、不思議な扇持ちの妖怪はお嬢様方以上かも知れません!」
「くっ! 向こうの攻撃はリィ直伝の防御魔法と自前の防御魔法で何とか対処出来ても、これではじり貧よ!」
格上との戦闘に何とか耐えきってくれた美鈴や門番の妖精メイドに代わり、襲ってきた脅威に対処していた私と咲夜は、リィが落としきれずやって来た増援……特に扇を片手に飛び回る黒翼の妖怪に大苦戦していた。
暴走状態のリィとやり合える2本角の妖怪に迫る妖力、本気のレミィやフランですら超えているとしか思えない空中での機動力、仲間との連携能力の高さなどが厄介極まりなく、攻撃に力を割こうものなら隙を突かれてやられそうな程である。
故に、防御や迎撃に出せる力を全て割かざるを得ない状態となってはいるが、迎撃時に扇持ち以外の敵の数を少しずつ減らす事は出来ている。普通よりも厄介かつ強い敵を早く減らせればそれが1番良いのは変わらないけど、決して焦らず耐え忍びながら対応していこう。
「いやはや、本気の
「はぁ。これでも流されるとは、凄まじい反応速度ね」
そして、複数の防御魔法で身を守りつつ、咲夜に能力を過剰使用させない様に立ち回っていた時にようやく見つけた一時の隙を突いたは良いものの、すんでのところで纏われた風の衣によって受け流されたお陰で、理想通りの一撃は与えられなかった。
ここまで戦いをこなしてきて分かったのは、どうやら扇持ちの妖怪はリィが雷属性に対して絶対的な相性の良さがある様に、風属性に対してかなり相性の良さを誇っている事だ。
まあ、それがリィと同等なものかは色々調べてみる必要が出てくるけど、当然今そんな余裕は一切ない。仮に余裕があったとしても、回復されるなどすれば目も当てられないので、絶対にやらないけど。
「パチュリー、咲夜。少しだけ援護するね……」
「えっ」
色々と思考を巡らせながら更に戦闘時間が経過し、半分程度敵の数を減らすも防御や迎撃に徹するスタイルに少しづつ綻びが生じ始めてきた瞬間、瞬間移動かと見紛う位の超速でリィが側に移動してきた。
間髪入れず、まるで未来を予知しているが如く正確かつ強烈な雷撃を2発叩き込み、彼女の強みでもある空中機動力を削ぐ援護攻撃をしてくれたため、僅かながら息をつける時間を得る事に成功する。
更に、周りに居た仲間もリィの周囲に展開された槍状の魔法弾に撃ち抜かれていき、戦闘能力を半減ないし激減させられていった。どう見ても、少しと言えない規模の援護攻撃である。
(凄い……)
萃香と呼ばれる2本角の妖怪を1人で止めておきながら、私と咲夜が危ないと見るやこれ以上ない最高のタイミングで現れるとは、何とも凄まじい。もしかすると、これがリィが言ってた『
「ぐぅぅ! これが、本気の萃香さんをもってしても苦戦する吸血鬼の一撃……正直、納得でしかな――」
「しぶとい、さっさと死に絶えて」
しかし、扇持ちの妖怪も2本角の妖怪に匹敵する強敵であるのは変わらない。それなりのダメージにはなったものの、まだまだ戦闘を行えるだけの力は残っていた。
当然リィもそれを見ていたため、雷弓を構えて『雷天の矢弾』を追撃として放つものの、いつの間にか居た2本角の妖怪が眼前に展開した
「すみません! 萃香さん、とんだご迷惑を……」
「気にするんじゃないよ。しかし、流石は『鬼』の名を冠する種族をまとめる者の一撃なだけはあるね。今までの奴らとは桁が違う」
追撃を防いだ彼女は無視出来ないダメージを受けた様ではあるけど、まだ平気そうではあると言う、何とも微妙な感じで終わっている。
「そして……お言葉ですが、惨い侵略行為を行い我々妖怪の山勢力を敵に回した以上、死に絶えるのは貴女たちでは?」
「えっ?」
そして、当然ながら脅威的な2人以外にも彼女らの仲間である黒翼の妖怪もまだ残っている。リィ1人に任せきりでいては、確率は低くとも万が一の可能性がないとは言えないので、私と咲夜も気合いを入れて対峙しようとすると、扇持ちの妖怪が怒り混じりに余計な事を言い始めた。
私の預かり知らぬところで起こっているであろう出来事のお陰で、紅魔館の面々を惨い侵略者の大元だと彼女たちが考えている以上、リィの発言に反発するのも致し方ない。けど、今このタイミングで追撃を加えるのは止めて欲しいと思う。
「なっ! そいつらと私たちは違――」
「
案の定、感情を剥き出しにして激昂したのだけど、そこへ更に2本角の妖怪が間髪入れずに言葉で過剰なまでの刺激を加えてきた。無論、ただでさえ精神的に限界突破しているリィに耐えきれるはずもなく、光を失った瞳で前を見据えながら壊れたからくり時計の如く動きが止まる。
「すぅ……『空を飛び舞う白き鳥 魅入りし神々異を察し 降り立つ下界は
それから数秒後、リィが突如として大きく息を吸い込むと、少しずつ高度を下げながら何らかの魔法の詠唱を始めたので、私と咲夜も周りの油断している敵を始末しながら高度を下げていった。
暴走を始めた時点で始まった翼の白い輝きは詠唱開始と共に増し続け、身体に迸る稲妻はより強固な守りとなり、発する威圧感は誰をも凌駕していると思わせる程になってくる。
と言うか、こうなるとリィがレミィやフランと同じ吸血鬼により一層見えにくくなってきたけど、今考える必要のない事だから、頭の片隅へ追いやっておこう。
「『地に伏し絶える鳥の群れ 問いて出て来た哀しき言の葉 瞳の先には死の狩人 今も狩らんと飛びし鳥見る』」
勿論、あの脅威的な2人の妖怪や生き残りの妖怪集団もただ指を咥えて見ているだけでなく、この状況を打破するために死力を尽くして攻撃を仕掛けているものの、先程と比べると通用しなくなっていた。
それどころか、自動反撃の放電によって徐々にダメージを蓄積させられる始末となっている。
他の事実はないものとして扱った上でこれだけを見た場合、あの脅威な2人の妖怪が追い込まれている訳であり、喜ばしい光景であると断言しても良い。
「『我が命糧に家族を救い 狩人滅し絶えさせよ 白き鳥はそう願う』」
ただ、これ程の膨大な魔力の奔流は洒落にならない負担を強いているらしく、言葉を紡ぐリィの表情は見てられない程に痛々しい。普通ならすぐに参りそうな苦痛なはずなのに、止めずに詠唱を続けているのは自分以外の皆を想う気持ちが私の想像以上に強固なものだからだろう。
「『強き意思持つ願い事 神々それを聞き入れて 世界を伝いし雷の罰を』」
この魔法の発動に成功すれば十中八九、紅魔館に襲撃してきた敵であれば全員跡形もなく消し飛ぶとは思う。けど、これが発動してしまえばリィも居なくなってしまうのではとの恐ろしい考えも、それと同時に脳裏に浮かんでくる。
出来る事なら止めたいけど、今のリィに言葉は通用しないだろうし、近づいて力ずくで止めようとするのは私や咲夜程の強さだと、即ち自滅への道を歩む事になってしまう。
が、何もしない選択肢を選ぶなど出来る訳もないので、敵の警戒をしつつも必死にそれだけは止める様にと大声でリィに呼び掛けはしていく。
「すぅ……『崩界の――』」
「リーシェ! それ以上は戻れなくなるから、今すぐ止めなさい!!」
「ギリギリ、最悪のシナリオは避けられそうね……さてと、紅魔館側も妖怪の山側もどうか、ここは一時休戦していただけると助かりますわ」
しかし、健闘むなしく詠唱が終わりかけようとしてしまう。故に、自分の力不足や運の悪さを内心呪い始めたのだけど、そのタイミングで突如として出現したおぞましい空間よりレミィや大泣きしているフラン、見知らぬ絶対的な妖気を放つ妖怪が1人出てきた。
「お願い。私とお姉様で事は全て済ませておいたから、もうこれ以上命をかけないでよ……リーシェ」
「……」
更に、フランが発せられる稲妻に当たり傷つくのも厭わずリィを強く抱きしめた事によって、リィが慌てて詠唱を中断し魔法を解除、同時に暴走が急速に収まり気絶、最悪の事態は避けられる事となった。
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幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?
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1人
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2人
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3人
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追加しない方が望ましい