目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話もパチュリー視点です

※今話の後半部分、違和感解消を理由とした一部文章の変更と会話文の加筆を行いました。話の流れ自体には変更はありません


ひとまずの収束

「紫、どうしてあんたが吸血鬼……紅魔館の当主と次女の2人と一緒に居たんだい?」

「そうですよ。いくら貴女と言えど、事と次第によっては実力行使も辞しません」

 

 幻想郷の偵察へと向かっていたレミィやフラン、超絶な妖気を放つ妖怪1人の登場により最悪の事態は避けられたものの、未だに重圧を感じさせる雰囲気がこの場から消え去る事はなかった。

 理由としては、紫と呼ばれている妖怪と先程まで私や咲夜、リィと戦っていた妖怪の2人が対立し始めたからである。

 

 今のところは紅魔館には矛先を向けていないから、対立したければいくらでもしてくれて構わないけど、小競り合い含めた戦闘をここでされるのは非常に困る。

 

 美鈴は重傷を負って私と咲夜は疲労困憊、リィは暴走終息からの戦闘不能で、レミィとフランもかの妖怪もしくは他の実力者とやり合って傷だらけ、こんな状態であの3人のぶつかり合いに上手い対処が出来る訳もないから当然だろう。

 とは言え、本格的な戦いが始まって何もしないなど愚の骨頂なので、取り敢えず戦闘準備はそのままに、少し距離を取りつつ動向を注視しておこう。

 

「それなら簡単ね。多角的な情報収集の結果、彼女たちが幻想郷に受け入れられる範疇の者たちだったからですわ」

「……つまり、紅魔館の面々は例の吸血鬼集団(コルベルシア家勢力)の、妖怪の山含めた幻想郷侵略行為に何ら関係を持たなかったと?」

「ええ。ここに来る前に聞いたのだけど、全員例の吸血鬼集団に怖い位恨みを抱いているらしいし、そもそも存亡の危機を回避するために幻想郷に館ごと単に移住して来ただけと来れば尚更でしょう」

 

 すると、この場の重圧など意にも介していない超絶妖気持ちの妖怪は、私たち紅魔館の面々があの妖怪2人の住みかを含め、コルベルシア家勢力の侵略行為とは全く関係がないのも含めて色々、淡々と語り始めた。

 多角的な情報収集とは一体どんなものなのか、私たちの情報を得ていたのならば何故もっと早く現れなかったのかなど疑問点はあったけど、今聞く事でもない。

 

 まあ、後述の疑問点についてはコルベルシア家勢力が、幻想郷で侵略行為を働いているせいだろうと推測が出来た。振る舞いからして彼女も幻想郷の住人な上に、この場の誰よりも強い力を持っているならば、それを排除する役目を負っていてもおかしくはないのだから。

 

「そうかい……私ともあろうものが、奴らの謀に見事嵌まってしまったとは、心底情けない!!」

「同感ですよ、萃香さん。そもそも今考えてみたら、わざとらしく紅魔館と言う単語を出して奴らが逃げていった時点でおかしかった訳で」

「賢者様が言うのなら全て事実なのだろうな……くそっ!」

 

 自分たちよりも力の強い妖怪から言われたからか、はたまた知り合いのよしみで信用出来ると判断したからかは分からないけど、2人と生き残っているその仲間たちは紅魔館の面々に対する誤解を完全に解いてくれたと同時に、コルベルシア家勢力への怒りを倍増しに表し始めた。

 

 こちらとしても、幻想郷へ来る前から色々とやられてきた経験があるが故に彼女たちへの共感も相まり、同じく倍増しで怒りが増大してきた。咲夜は、コルベルシア家については話しか聞いた事がなかったものの、今回の件でより強く仇なす存在と認識したらしい。

 

 レミィは言わずもがな強い怒りを露に、フランに至ってはリィ(愛する妹)が命を投げ出そうとまでしたのもあり、怒りが限界突破して恐怖しか感じない笑みを浮かべている。

 

「奴らに嵌められていたとは言え済まないね。後、ここの門番妖怪と白翼の吸血鬼にも一言謝罪を伝えておいてくれ。本来なら直接行くのが筋だろうが、当分は顔を合わせない方が良いだろうからねぇ」

「私も同じく、申し訳ありません。他の鴉天狗の仲間も含め、今回の件は妖怪の山に周知させておきます」

「ええ、落ち着いたら伝えておくわ。それと、色々あってこっちも妖怪の山で大暴れしたのは申し訳なかったわね」

「うん。私も、お姉様たちと一緒に暴れてごめんなさい」

 

 一通り怒りを表した後は、彼女たち妖怪の山側と私を含めた紅魔館側で、お互いに戦い傷つけあった事に対する謝罪合戦が始まった。

 

 多かれ少なかれ誰もが損害を被った上双方に少しの得すらない戦闘ではあったけれど、事の発端がコルベルシア家勢力の謀なのもあり、後腐れもさほどなく謝罪は受け入れられたのでひとまずは安心と言っても良い。

 

 ただし、この事を気絶しているリィはまだ知らない。加えて、気絶から覚めた後にどの様な身体・精神的な影響が残るのかが分からない以上、私たち()何とも言い難い思いを抱える事となるだろう。

 

「さてと、これにて私や妖怪の山の面々は一時引き上げます。ある程度落ち着いた頃、また色々と話をしに来ますわ……レミリア」

「ええ、分かった……ああ、それと1つだけ言っておく事があったのを忘れてたのだけど、良いかしら? 紫」

 

 それらに加え、実質的に用を成さなくなったリィの首飾りの強化についても考えながら居ると、レミィが空に開いた気味の悪い何かに入って去ろうとする妖怪()に、何か伝えようと呼び止めた。

 

 内容はまだ明らかにされてはいないものの、謝罪合戦が終わった後に紫や萃香や文と言った幻想郷の実力者がコルベルシア家勢力の撃滅云々を話し合っていたのを、レミィが耳に入れてその時は呼んで欲しいと、参戦の意思を示そうとしているとすぐに確信した。

 

 途中、コルベルシアとの単語が出る度にレミィとフランの表情が負の感情で歪み、軽く話し合っていた3人の方を見つめる視線を目に入れれば、館の面々なら誰であろうと断言する事は可能だろう。

 

「もし、コルベルシア家勢力に撃滅戦を仕掛ける時は呼んで。紅魔館は幻想郷側として、少ないなりに出せるだけの戦力を出すから」

「無論よ。頼りにしているわ」

 

 案の定、レミィの口から出たのは私の確信通りの文言であった。幻想郷に来てから1日近くしか経っていない、いわゆる新参者の頼み事を紫はあっさりと了承してくれたけど、それ程紅魔館の戦力に期待を寄せている表れと見るべきか。

 

(ふぅ……さて、その時はどう防衛しようかしらね)

 

 となると、レミィとフランに召喚悪魔たち数十人を加えた一大戦力が館を空ける今回の様な流れが、時期は不明なものの近い内にまた来る訳だ。頼りになるリィが欠けている時に、である。

 レミィがこの事を全く考えていないとは思わないものの、つい先程までやり合っていただけに、似た様な事態が起こらないかとの不安感が拭えない。

 

 リィが万全の体調であればどうにでもなったのだけど、最大級の暴走を起こしたから回復のために最低でも1週間近くは眠り続けるはずだし、目を覚ましたとしてもしばらくは身体的にも精神的にも、かなり負の影響が残ったままだと思われる。

 

 仮に、目が覚めてすぐに事が起こった場合でも頼めばやってしまいそうな気はするが、当然そんな状態で戦わせるなんて例え何が起ころうとも出来ない鬼畜な行為だ。むしろ、リィが自分の意思で無理を押して戦おうとした時に、何がなんでも必死に止めなければならない。

 

「パチェ、咲夜。私たちが居ない間、持ちこたえてくれてありがとう。本当、貴女たちにも感謝してもしきれないわ」

「私からもありがとう。パチュリー、咲夜」

「どういたしまして。まあ、7割はリィのお陰なのだけど……それはともかく、レミィもフランも無事でほっと一安心ね」

「私も、お嬢様方がご無事で戻ってきてくれて嬉しいです」

 

 そして、紫たちが去ると同時に中庭に伏していた黒翼の妖怪……鴉天狗が一瞬の内に気味の悪い何かによって飲み込まれ、周りが静かになれば、お互いに労いの言葉をかけた後に簡単に見聞きして経験した出来事の説明を行った。

 

(……)

 

 結果、私たちが来る前からコルベルシア家勢力が行っていた、度を遥かに超えた暴虐な振る舞いの数々を知り、心底不愉快な気分を抱く羽目になった。

 しかも、最初から嫌がらせを兼ねて自分たちの侵略行為の糧とするために、暴虐な振る舞いと並行して数々の虚構を信じ込ませる工作を行っていたらしい。

 

 で、それがあまりにも巧妙だったのと状況やタイミングがこちらにとって悪かったために、妖怪の山と呼ばれる場所の近辺で召喚悪魔が全滅する程の戦いをレミィやフランが強いられ、紅魔館にもその関係者が攻め込んで来る事にもなった様だ。

 

「ふざけてるわね。あの性格や振る舞いも、変わるどころかより悪い方向に向かっているみたいだけど、どうすればそうなるの?」

「どうでしょうね。まあ、いずれ近い内にコルベルシア家勢力は滅ぶ事が確定した訳ですが」

「本当にそう。間接的に妖精メイドを数人害す状況を作り、リーシェの精神を崩して暴走させ、挙げ句騙した幻想郷の面々と激突させてまとめて葬り去ろうとした……万死に値するわ」

「ふふっ。その時は、どうやって壊そうかなぁ……!」

 

 だから、最後まで話を聞いた時には今の心の内を表せる程に強い言葉があったら即使いたいと思う程、激しい感情が沸き上がってきていた。私自身が想像する以上に、紅魔館の皆との暮らしが私の心を支えてくれているのだと実感出来た一幕と言える。

 

 しかし、それはそれとして戦闘時でもないのにずっと負の感情を抱き続けるのは、精神衛生上あまりよろしくはない。人間でさえそうなのだから、精神に重きをおく妖怪であるレミィやフランでは言わずもがなだ。

 

「ふぅ……レミィ、フラン。とにかく、撃滅戦で相対するまでは出来るだけ抑えておきましょう。精神が参るし、リィが目覚めた時に心配させるだろうから」

「確かに。これから色々と他にやるべき事があるのに、私が参ったらそれこそ終わりだものね」

「……うん。リーシェだって、目覚めた時にこんな私を見たいだなんて思わないもんね」

「そうですよ。お嬢様方が倒れられたら、紅魔館は大変な事になりますから」

 

 なので、いざその時が来るまではコルベルシア家勢力に対する負の感情を抑え、精神的に参らない様にしておこうとレミィやフランには提案しておいた。無論、私や咲夜も同様である。

 

 そうして、4人で深呼吸などを行いある程度心を落ち着けてからは、疲れているとは言え動ける私たちが今やるべきことをするため、館内へと戻っていった。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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