「お姉様、とうとうこの時がやって来たね」
「そうね。出来るなら、リーシェが目を覚ます前に事が済むと良いけど」
神秘の影響力低下による事象の回避のため、幻想郷へと移住してから1週間が経った今日、遂に待ち望んでいたコルベルシア家勢力の撃滅戦がもうすぐ始まるだけあって、私の心は高ぶっていた。
元々、幻想郷に来る遥か昔から数々の嫌がらせや紅魔館への襲撃事件などを画策して実行した敵対者だからなのもなくはないが、何と言っても間接的にメイド妖精さんを害し、美鈴を重傷に追い込ませ、リーシェに命までかけさせた今回の事態の黒幕なのが非常に大きい。
更に言えば、私たちの
私やお姉様、リーシェだって幻想郷に来る前に数々の理由で、人間を殺したり他の吸血鬼や悪魔を殺した経験は数え切れない程あれど、流石にコルベルシア家のそれは許容範囲を遥かに逸していた。今回は、一時敵対関係となった妖怪の山に住む
「へぇ。これは、確かに紫が一目置くだけはあるわね」
「ん? えっと、貴女は妖怪の山の住人さん?」
撃滅戦の本拠地として提供した紅魔館の地下室にて、お姉様と一緒に緊張を感じながら会話をしていると、こっちに歩いてくる緑髪で頑丈そうな日傘を持った妖怪が、私たちに声をかけてきた。
ここに居るなら撃滅戦の参加者なのだろうけど、相対しただけで分かる凄まじい妖気を放っている。あくまでも推測に過ぎないけど、暴走していない普段のリーシェや私、お姉様が彼女と1対1で対峙したら、上手く行っても勝率は3割が良いところか。
「いいえ、違うわ。私は『
「そうなんだ。私、フランドール・スカーレットって言う吸血鬼で、紅魔館で暮らしているの」
「同じく、紅魔館で暮らしている当主のレミリア・スカーレットよ」
一緒に戦うかどうかは分からないものの、同じ戦いに身を投じる味方同士なので当然無視はせず、お姉様と一緒に自己紹介を行った。
どんな理由で参加しているのかは分からないけど、敵なら思う存分叩きのめせると考えての参加なのだろう。短くも交わした会話から勝手に推測しただけに過ぎないので、間違っている可能性はそこそこ高い。
(随分とまあ、精鋭を揃えたよね……)
にしても、見渡す限り私やお姉様たちを入れて100人にギリギリ届く程度らしく、これだけ見れば少ないと言える。しかし、10人は私やお姉様と同等かそれ以上の実力者であり、それ以外の面々も咲夜や美鈴、パチュリーに劣るも決して弱くはない実力の持ち主である様だ。
奴らの戦力がどの程度なのかは不明だけど、仮に200年以上前の紅魔館襲撃時と同じか若干上回る位の戦力であるとしたら、問題なく叩き潰せると断言しても良い。とは言え、幻想郷の侵略を企てて実行に移した以上は、個々の強さも数もそんなものではないのだろうけど。
「皆様、この度はコルベルシア家勢力の撃滅戦へのご協力、感謝致しますわ。今から戦闘の割り振りを行いますので、耳を傾けて下さいな。後、新たな協力者も居るため、戦況の説明も行う事をご了承下さいな」
お姉様や幽香と自己紹介からの流れで会話を交わしつつ、1人頭の中で想像を巡らせていると、良く通る声で紫が地下室に居る全員に向けて呼びかけをしているのに気づいたため、3人で耳を傾けて話を聞く体勢を整えた。
(あぁ……うん、ざまあみろって感じだね)
が、紫の口から語られた幻想郷勢力対コルベルシア家勢力の戦況はもう既に、相手側が悲惨極まりない領域にまで達していて、幻想郷の実力者がどれだけ恐ろしいのかをお姉様共々思い知る事となった。
人里へと攻め込んでいた敵は修羅と化した
更に、その際に運良く逃げおおせた敵は別の味方と合流し、懲りずに地底と呼ばれる場所にも襲撃を仕掛けようとしたらしいけど、鬼の四天王と呼ばれる
(なるほど……やっぱり、200年以上前とは違うんだね)
とは言え、これで余裕を持てるかと言われれば違うらしい。それは、未だにコルベルシア家を含む4つの吸血鬼一家の当主直属の軍勢が、本拠地やその周辺に半数程度残っているからとの事。
幻想郷の賢者を以てしても容易ではないと言うならば、私たち紅魔館勢力のみでコルベルシア家勢力全部と対峙した場合、数が少な過ぎて行き着く未来は地獄となるのが容易に想像出来る。
「最後に、レミリアとフランドール率いる紅魔館組と風見幽香、貴女たちはコルベルシア家の本拠地へと向かってもらいます」
主に私やお姉様たちに向けての戦況説明が終わり、戦闘の割り振りもトントン拍子に進むと、最後に侵略者のトップであるコルベルシア家の本拠地へと攻め込める事が決まった。
それと、幽香もコルベルシア家の本拠地へと一緒に攻め込むと決まったのだけど、その瞬間に笑みを浮かべて喜びを表していた。
コルベルシア家本拠地に割り振られる戦力量自体は1番少ないものの、幽香と言う頼もしすぎる味方が存在している。更に、いざとなれば紫一行が援護出来る態勢は整えてくれるらしいから、不安感などない。
「あら、一緒みたいよ。よろしく」
「ええ、こちらこそ」
「うん、よろしくね」
そして、各々割り振られた場所近くへ通ずる大きなスキマへと入っていくのを見届けた後、私たちも軽く挨拶を交わしながら紫に促されるままにスキマへと入っていった。
ただ、やはり妖怪の山から紅魔館へと向かうためにスキマを経由する経験を1回しているとは言え、あらゆる方角にある目玉に見られるのは気味が悪くて仕方がない。
お姉様も表情が気味が悪いと言いたげだし、幽香も『相変わらずの場所ね』と言葉を漏らしているし、召喚悪魔さんたちに至っては遠くに見える光に向かって早く脱出したがっているから、私だけではないらしい。
「よし、もうそろそろだね……『
10秒程度飛行し、出口の目印となる魔力光が近づいてきた段階で、念のために私は全員に探知偽装効果も持つ防御結界を展開させた。物理的・魔法的防御はともかく、副次的な意味があるかないかは正直敵の強さのみならず、状況任せの面があるものの、ないよりはあった方が良い。リーシェからプレゼントされた魔導書にも、そう記してあった。
「あら、出た場所は運良く身を隠すのが容易な森みたいよ」
「うん、丘の上にあるのがコルベルシア家の館……いや、城かな。当然の如く警戒者と結界まであるし、守備態勢はバッチリだね」
「みたいね。流石は侵略者のトップなだけあるわ」
結果、スキマの開いた出口の先は身を隠せる森の入り口付近、コルベルシア家のもはや城と化していた丘の上の本拠地が見える場所であった。ここであれば、副次的な効果が効力を最大限に発揮され、余程の無茶を行わなければ敵の目を欺き続ける事も可能だろう。
「さてと……私の大切な花を滅茶苦茶にしてくれた、裁きを下してやるわ!!」
しかし、今回の目標はコルベルシア家勢力の撃滅である上、城があるのが視界良好かつ監視の目が厳しい丘の上だったから、どのみち姿を現す必要がどこかで存在している。
「えげつない威力のレーザーね……フラン、私たちも行くわよ!」
「うん、分かった!」
故に、幽香が目の前の木々すら安易に消し飛ばす程に強力な熱と衝撃を伴うレーザーを放ち、警戒していた吸血鬼もろとも城を含めた敷地全体を守る結界と敷地内に通ずる門の一部を粉砕したと同時に、私たちも姿を見せて後へと続いた。
ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。
幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?
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1人
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2人
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3人
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追加しない方が望ましい