目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話もフラン視点です


侵略者撃滅戦(前編)

「ああもう! 邪魔な事この上ないなぁ!」

 

 えげつない威力を誇る先制攻撃を仕掛け、城の敷地内へと突入していった幽香の後に続いた私とお姉様たちは、慌てて出てきた防衛吸血鬼や悪魔たちを順当に始末しつつ、徐々に城内へ通ずる2つ目の門へと近づいていた。

 

 本来なら、こんなどうでも良い奴らの相手をする体力も時間も惜しい。さっさと城内のどこかに居る当主のコルベルシア夫人やその家族、側近たちの下に向かって事を済ませたいと言うのが、私の本心である。

 

 ただ、いくら有象無象と言っても本拠地を守る吸血鬼や悪魔たちなだけあり、実力はそれなりに高い。目的である3人や確実に居る側近と相対している時に襲われれば、いくら私たちや頼もしい味方である幽香であっても絶対に安全が保障される訳ではないから、今は本心を理性で抑えている。

 

「ちっ! 例の計画、本当に意味があったのか!?」

「さあ? ですが、せめて他の厄介な住人か()()()()が死ぬかして――」

 

 そんな感じで戦いを続けつつ、聞き捨てならない発言をした敵の『目』を破壊しようとしたのだけど、その前に紅いオーラと衝撃波を纏う程の速度で飛んできたお姉様のグングニルが、彼らを貫いて殺した。

 

 かなり近くを飛んだ影響で私が少し後方へ押され、地面を見たらグングニルが突き刺さった場所にクレーターが出来ていて、どう考えても今の相手には過剰すぎる。どちらかと言えば、コルベルシア夫人レベルの敵と戦う時の威力だ。

 

 でも、美鈴に咲夜、パチュリーにこあたちのみならず、リーシェに向けたあの発言を聞けばそうもなるだろう。あまり普段の態度には表さないけど、お姉様は私と同じかそれ以上にリーシェを愛しているのだから。

 

「ごめんなさいね、フラン。看過出来ない発言が聞こえたものだから、つい」

「ううん、大丈夫だよ! それよりも、早く城の中に入ってアイツら皆壊そう!」

 

 で、お姉様からの謝罪を受け入れた後は、周りで行われている戦闘の様子にも気を配りつつ、隙を突いて城内へ通ずる門を火柱で結界ごと破壊、私とお姉様で召喚悪魔たちの前後に陣取る形で城内へと雪崩れ込んだ。

 少しやり過ぎて結構な範囲が崩壊したけど、敵の本拠地だしどのみち事が済んだら紫辺りに抹消されるだろうし、お姉様や召喚悪魔たちも怪我とかしてなさそうだから、気にしなくても良いか。

 

 そして、幽香もほぼ同時に破壊した城門から突入、威力が抑えられたレーザーを放ったり、やたら頑丈かつ妖気を纏う日傘で敵を殴りつけたりしながら、私たちよりも先に己が道を切り開いていった。

 

(ちっ、そう易々と行かせてはもらえないか!!)

 

 あまり先に行き過ぎないでと呼びかけようとも思ったけど、フォーオブアカインドも加えて対処を始めざるを得ない位に、敵の攻勢と魔法的トラップによる色とりどりの弾幕が激しくなっている。なので、結局は何も言えずに終わった。

 

 けどまあ、巻き付いてきた魔法の鎖も力任せに引きちぎれたり、単に日傘で殴りつける一撃すら脅威的な攻撃力を誇る上、防御力も非常に優れていると言える彼女が、簡単にやられたりはしないだろう。そう思い、今は眼前の戦闘に意識をほぼ全て向けた。

 

「よし、やっと先に進め――」

「くたばれ! フランドール……!!」

 

 召喚悪魔たちやお姉様と協力して戦い、紅魔館で言うエントランスと思われる場所の敵を一掃し、3方向に分かれている道の真ん中へと進もうと足を数歩踏み込んだところで、突如現れた吸血鬼……忘れもしない長男吸血鬼『ロフルス』が斧で薙ぎ払う光景が目に入ってきたので、間髪入れずにレーヴァテインで受け流した。

 

 良く見たら、お姉様の方には長女吸血鬼『サティー』の方が槍を手に持って襲いかかっていたけど、最小限の動きで避けた上で手痛い反撃を与えていた。やはり、お姉様の方が一枚上手である様だ。

 

「ふふっ、ありがとう。わざわざそっちから出てきてくれるなんて、探し回る手間が省けて助かったよ!」

「ちっ……!」

 

 当然、私の方も斧による薙ぎ払いを受け流すだけでなく、バランスを崩したロフルスの胴体にレーヴァテインを叩き込んで反撃、吹き飛ばしたところに間髪入れずに3つの分身から爆炎弾を放って包囲爆破する追撃を行った。

 

「ぐぅぅぅ……この程度とは言えんが、耐えてやったぞ!!」

「へぇ……うん、確かにそうみたい。正直、貴方を甘く見てた節があるかな」

 

 が、私の想像を超える猛特訓をしたのか、何らかの強化が施されているのかは謎なものの、ダメージは与えられても戦闘不能に至らす事は出来なかった。けど何にせよ、強くなっているのだけは純然たる事実なので、あの時の感覚で居ると痛い目を見るだろう。

 

「だから、夫人や側近たちと戦う時まで温存しておこうと思ったけど、出し惜しみはもうしない。持てる全ての力を以て、貴方を壊す!!」

 

 と言う訳で、私はすぐに『狂気の啓示』を使用して温存していた全ての力を解放、更にレーヴァテインに纏わせる炎の威力を底上げし、瞬間的にロフルスの懐へと飛び込んで斬り払おうと仕掛けた。

 

 これは、反射的に張られた結界と受け流そうと構えられた斧によってある程度威力が殺されるも、全力のレーヴァテインは同じく全力のお姉様のグングニルとまともに鍔迫り合いが可能な程に強力な武器となる。

 

 後は、そもそも私だってあの時よりは遥かに強くなっている故に、強くなったとは言えロフルスに完全に防げる道理はなかったらしい。結界を破壊し斧をへし折った上で、無視出来ない傷を負わせる事に成功した。

 

「嘘だろ……出鱈目すぎるぞ、化け物め!!」

「アハハ! 自分だって同じ化け物な癖に、何言ってんの?」

 

 そして、へし折られた斧を魔力で再現したロフルスが当時の強さで考えた場合、あり得ない程の速さや魔法を駆使しつつ接近戦を仕掛けてきたが、回避するか斧の変則する軌道を読んで適切な向きに構えたレーヴァテインで衝撃を受け流した。

 

 結構トリッキーな戦いを仕掛けてくるロフルスに、自分でも涼しげな顔で対処出来ている事に内心驚いている。本当なら、実力差を加味してももう少し面倒な戦闘となっていたはずだからだ。

 

 やはり、相性が絶望的な聖教会の聖女2人との死闘、敵同士だった時の咲夜との戦い、他にも積んだ数々の戦闘の幾つかに対しては複雑な思いはあれど、今に至るまで経験しておいて良かったと強く実感せざるを得ない。

 

 特に、時々行う手合わせで近接戦闘が苦手なリーシェが見せてくれた、防御や回避を主とした立ち回りや魔法は、私にこの上ない力を与えてくれている。目が覚めたら、リーシェの1番喜んでくれる方法でお礼をしてあげなければ。

 

「そりゃ、意思強き聖教会の聖女や聖魔騎士団、お前たちの様なただひたすらに下劣な奴らから大切な人や物を守るために努力してきたんだから、当たり前だよ!!」

「くっ、このぉぉぉ!!」

 

 で、そんな事を頭の中で思い浮かべれば、リーシェが命をかけた大魔法の発動寸前に見せた表情が勝手に頭の中を埋めつくし、目の前の奴を見ているだけで心の中で燻っていたありとあらゆる負の感情が激しく燃え始めた。

 1週間前にコルベルシア家の奴らのせいで、私がこの世で最も愛している1人の妹の、大切なたった1つの命が理不尽に失われかけたのだし、これ自体は致し方ないとは思っている。

 

 勿論、奴が主導して幻想郷勢力と紅魔館を激突させた訳ではないのは何となく分かるけど、それ自体には嬉々として賛成していそうな光景が目に浮かぶ。

 それに、生かしておけば再び私たちや幻想郷へと牙を剥き、誰も想像すら出来ない程の盛大な地獄を作り上げてしまう可能性もないとは言えない。

 

 てか、そもそもこんな(完全な対立)状況で殺すつもりで襲われれば、こちらから積極的に反撃を仕掛けざるを得ないだろうけども。

 

(落ち着け、落ち着くんだ私……)

 

 こんな感じで色々な思いや考えが頭を駆け巡ってはいても、それらに呑まれ過剰すぎる拷問や殺戮を行わずに居れる程度には、理性はしっかりと働かせている。

 強いて言うならコルベルシア夫人やその側近たちは、多少なりとも苦しんでもらうかも知れないが、まあその辺は状況に左右されるだろう。

 

「はぁっ、はぁっ……ええい! こんなもの、どうしろと――」

「どうもしなくても良いよ。何故なら貴方はもう、私に全てを壊されるのだから」

 

 実力差から戦況はかなり有利になりながらも驕らず、感情の高ぶりを出来るだけ抑えつつ戦いを進めていくと、奴の動きが色々と考えなくても攻撃を受け流せると言える程に緩慢なものへと変化してきた。

 

 私の攻撃による負傷や、自分の繰り出す攻撃に使う魔力などによって体力がかなり減少してきたのだろうが、当然手を抜いたりはしない。追い詰められた者による必殺の一手が、追い詰めていた者に大きな影響を与える事象が、さほど珍しくはないためだ。

 

「燃えて燃えて、灰になって……さようなら『終炎の世界樹(フレア・オブ・ユグドラシル)』」

「ぬぉぉ……がっ!?」

 

 故に、薙ぎ払ったレーヴァテインで吹き飛ばし、回避の難しい状況を作り出してから、奴に対して最高の火属性魔法を叩き込んで止めを刺す構えを取った。無論、余計な範囲の破壊や味方を巻き込まない様に出来る限りの配慮は済ませている。

 

 最後の抵抗と言わんばかりに結界を多重に展開し、何とか魔法の中心地からは外れる事は出来たらしいけど、巨大な樹の形をした火柱から舞い落ちる『木葉』までは回避が出来ず、それによって発生した爆炎や爆風に結界ごと()()されていくのが僅かながら確認出来た。

 

 その際に城の中で、かつ奴1人に使う規模と威力の魔法ではなかったと今更ながら思ったけど、良く見たら何故か結構な人数の敵も巻き込めていたし、色々していた配慮自体も完全に成功していたので結果的には良しとしよう。

 

「ふぅ……」

 

 ある程度の時間が経って燃える『木葉』も落ちきり、巨大な樹の形をした火柱も消滅した時、そこには誰の存在すらもなかった。

 同時に、お姉様の方も城外で見せた地面が砕けてクレーターが出来る程の威力を誇る、紅いオーラと衝撃波を纏うグングニルの投擲をサティーに繰り出し、完全に止めを刺していた。

 

 こうして、突如現れた因縁の2人との対決は、私やお姉様の勝利で終わらせる事に成功した。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

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