目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です

※違和感の解消を理由とした改稿を行いました。今話の流れ自体に変更はありません


賢者の頼み事

 防寒対策もせず、外に出るには厳しくなってきた初冬のとある日、私は()()()()()()()()と言う課題について、フランやリーシェと話し合いつつ頭を悩ませていた。

 

 紅魔館の食料庫で保存してある、普通の料理やお菓子に使う各種食材や綺麗な水は切り詰めて1週間分、別の特別倉庫に保存中である私たち姉妹の生命維持に必要不可欠な人間の血液など、それら特殊な食料に至っては5日分を切る少なさだと言うのも理由の1つである。

 

「うーん……調達場所の質はともかく数が乏しいのは、私や姉様2人だけでは如何ともし難い」

「ええ。だから普通の料理やお菓子に関しては目処が立つまで、消費を控える必要があるわ。あくまでも、私たちにとってはほぼ娯楽だし」

「確かに! どっちでも生きて行けるが故に普通(人間)の食事を強く好む美鈴とこあ、普通の食事が必要不可欠な咲夜の方を優先するのは当たり前だもんね! で、後は妖精さんたちにも我慢してもらって……」

 

 しかし、何より普通の食料や特殊な食料が少なくなってきた際に、それを調達する事が()()()()()()()場所が現時点で『人里』のみと言う悲惨極まりない状況である方が、悩みに悩む理由としてはかなり大きかった。

 

 ただ、つい数ヵ月前にコルベルシア家勢力が幻想郷で散々やらかしてくれたお陰で、人里を含めた多数の場所に未だに爪痕が残っていると紫から聞いている。そんな中、調達のために外出すれば変な面倒事に巻き込まれかねない。

 

 更に言えば、人里とそこに住む人間たちは幻想郷における神秘の影響力維持に不可欠な存在と言っていたので、普通の食料調達はもとより血液の調達もこちらから()()()に行った場合、ほぼ確実に人里は勿論の事、紫との関係は大きく悪化する。

 だから、万が一人里から調達をするとなった場合は威圧感を出来る限り与えぬ様に低姿勢で交渉を持ちかけ、向こうにも相応の利益をもたらす取引とする必要があるだろう。

 

 まあ、普通の食料の話はともかく人間の血液が関わってくると、途端に話を聞いてくれなくなる可能性がかなりあるので、出来るなら他の調達先も確保出来れば良いのだけど。

 

「ふぁぁ……失礼。その問題でしたら、直近数ヵ月は既に解決済みです。その後も定期的な幻想郷外の人間の提供、他の通常食材はその時々にもよりますが、提供は確約しましょう」

 

 などと考えながら話し合いを続けていると、妙に眠たそうにした紫が問題は解決済みであると口にしながら、床に開かれたスキマから生える様にして登場した。いつからか、私たちの話し合いを耳にしていたらしい。

 

(ふぅ、助かったわ……でも)

 

 にしても、リーシェの暴走を半永久的に封じ込めた事に続き、紫は紅魔館の食料問題までも一挙に解決してくれたけど、ここまで来ると確実に何か裏があるだろう。もしかしたら、私たちに何かやらせたい事がある可能性だってある。

 

 勿論、ここまでしてもらっている以上はある程度の事はやぶさかではないけれど、そうは言っても限度はある。仮に、幻想郷移住当初の様な事態と同等かそれ以上の厄介事が舞い込んでくるのであれば、色々と考えなくてはいけない。

 

「紫、一体何を考えているのかしら? いくらなんでも、無償でここまでしてくれた訳ではないわよね?」

「ええ。ご明察の通り、紅魔館の面々にやってもらいたい事が出来たからですわ」

 

 内心で警戒しながら問いかけると、私たちにやらせたい事があると言う予想自体は確かではあったが、その内容は厄介事と呼ぶには及ばないが面倒なものだと判明した。簡潔に説明すると、スペルカードルールと呼ばれる決まりに乗っ取った、異変と言う騒動を引き起こして欲しいと言うらしい。

 

「スペルカードルールに異変ね。詳しく説明をよろしくお願いするわ」

「無論、そのつもりです」

 

 曰く、まずはあらかじめ考えておいた技名とそれに見合う技を考え、技名を記した紙(スペルカード)を1枚ないし複数枚用意、使用する場合は戦闘前にそれを何枚使うかを宣言する。

 

 攻撃よりも()()の美しさを重視しているため、相手を殺す事に特化した様な攻撃は繰り出してはならない。例としては、回避不可能な術技や不意打ちが挙げられる様だ。

 

 そして、相手か自身どちらかの体力や気力が尽きるか、宣言したスペル()を全て先に攻略された方が負けとなり、その時点でそれ以上の攻撃は不可能となるとの事。あくまでも、そこそこ危険の伴う遊戯の域を出ない様に気を遣われているらしい。

 

 なお、起こす異変の内容については、解決者との戦闘時に前述のルールを遵守すると確約してくれれば口を出すつもりはなく、ある程度の被害なら許容するとも言っていた。

 他にも色々と説明は受けたけれど、そのどれもが私たちや館の皆にとって多かれ少なかれメリットはあり、異変の主犯となるのを断る理由が存在しない。

 

 と言うか、幻想郷にこのルールが普及してくれれば大妖怪同士の大規模な戦争は抑制され、その余波か何かで妖精メイドに害が及ぶ事がなくなる訳である。勿論、だからと言って全てに無警戒でいるのは違うけど。

 

「まあ、私は受けるべきだと思うよ。お姉様」

「話を聞く限り、愛するレミリア姉様にフラン姉様、館の家族たちに許容出来ない害は及ばなそうだから、私としては良いと思う」

 

 何より、フランやリーシェがこれに否定的ではないと言うのは大きかったため、紫に異変の主犯を担うと頷いて意思表示した。

 今この瞬間、スペルカードルール下で使える技をいくつか作り、幻想郷に私たちの存在を知らしめるだけの異変をどうするか考えなくてはならなくなった訳で、とても忙しくなりそうだ。館の皆にも、随分と苦労させる事になると思う。

 

「それで、期限はあるのかしら? 事が事だから、準備する時間をもらいたいのよ」

「ありませんわ。ただ、強いて言うなら来年の春以降にしてもらえればありがたいです」

「ふーん。それと、異変と言う形で対立する都合上、やはり異変後の紅魔館と幻想郷の面々との関係が若干不安なのだけど」

「大丈夫です。場合によっては、私や他の面々が間を取りなしますから」

「なるほどね」

 

 その後は、異変を起こすにあたって懸念すべき事柄を私やフランがいくつか伝え、紫がそれに対して答えていく流れがしばらく続いた。

 どう言う訳か、このやり取りにリーシェが一切口を出さずに笑みを浮かべているだけなのが気にはなったけど……感じていた疑問点を、私やフランが先に全部言ったからだろうか。

 

「受け入れてもらえて良かったです……あっ、伝え忘れました。可能であれば、異変後まで霧の湖を除いた場所への外出は控えて下さいな。後、人間と各種食材は明日か明後日に藍に持ってこさせますから、その時はよろしくお願いしますわ」

 

 そうして、するべきだと考えた質問を全て終えると、相も変わらず眠たそうな紫は最後に異変後まで外出は控えてと一言言い残し、スキマに入って去っていった。

 理由は一切言わずに去っていったけど、普通の食料や人間の血液などを用意してもらえる事となった以上、無理に外出する必要性もなくなったし、まあ深く考えなくても良いか。

 

「さてと、スペルカード云々は後回しにして……まずは異変の内容から考えないと。ある程度なら被害も厭わないとは言ってたし、出来る事の幅はそこそこあるわ」

「うん。とは言え、召喚悪魔さんたちとか使って幻想郷に攻撃を試みるとかは、色々な意味で駄目だよね」

「ええ。確かにその通りだけど、そうなると選択肢が狭まるわね。うーん、どうしたものかしら」

「レミリア姉様とフラン姉様の助けになりたいのに、ロクな案が出て来ない……」

 

 思考を巡らせつつ、紫が去った後はひとまずどの様な異変にするかの話し合いを始めたものの、頭に浮かんでくる案がどれもこれもしょうもなく、何をどうしようか全く決められないでいた。

 

 そう言えば、食料問題について話し合っていた時間も含めると、現時点で軽く2時間は過ぎている。小休憩でも入れていれば話は別だったかも知れないけど、これだけ長く話し続けていれば集中力も低下し、思考に影響を及ぼしていてもおかしくはない。

 

 と言う訳で、一旦異変についての話し合いは止めて休憩し、姉妹3人で何か別の事でもしようと口を開こうとした私であったけど、それが実際に口から言葉として出る事はなかった。

 

「失礼します。お嬢様方、少ないですがお菓子と淹れたての紅茶をお持ちしました。それと、今回はコーヒー好きの妖精メイドが淹れたコーヒーもございますので、よろしければお飲み下さい」

 

 何故なら、いつもの時間に咲夜が持ってきた紅茶やコーヒーから立ち上る湯気を見て、頭の中に明確な異変の光景が浮かんできたからである。

 幻想郷の空を紅く色付けた魔法の霧で満たし、太陽光を遮り、昼夜問わずに私たちが出歩ける様な環境を作り上げる……名付けるとするなら、『紅霧異変』と言ったところだ。

 

 無論、それだけ大規模なものとなるとかなり難しいだろうけど、魔法に精通しているパチェやリーシェの力を借りれば可能であると断言しても良い。とは言え、まだ考えなくてはならない事は沢山あるが。

 

「レミリア姉様……? もしかして、何か良い案でも浮かんだ?」

「ええ! だけど、長い時間話し込んで疲れたから、詳しい話は食堂で休憩してからにするわね。後、2人も一緒に休憩行きましょう」

「うん、分かった」

「ふふっ、流石はお姉様!」

 

 頭の中で思考を巡らせつつ、私的に区切りの良いところまで来れたのと、そんな私を見たリーシェから声をかけられたのをきっかけとして、思い付いた事のメモを取ってからひとまず長めの休憩をする事に決め、声をかけた。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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