目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話を入れて2話、どれだけ多くとも4話で紅霧異変の章へと進みます。

後、現在アンケートを行っていますので、気が向いたら回答して頂けると助かります。


次女の願い事

 美鈴が保護した怪我を負った人間さん2人をパチュリーたちが治療し、人里の使者が引き取りにやって来た日から、今日であっという間に3ヵ月経った。

 

 あれからと言うもの、紫さんから霧の湖以外の場所への外出許可をもらったりはしていないため、私は勿論の事館の家族の誰かが遊びに行ったりは全くない。

 

 逆に、人里から紅魔館に誰かが遊びに来ると言った事も、場所が場所な上に妖怪の館と言うのも相まって一切ない。ただまあ、人間さんを保護して治療したお礼として最高に美味しいと銘打った和菓子を贈りに、慧音さんが昨日館にやって来た位はある。

 

(良い感じかな……)

 

 そして、時折遊びに来ているチルノや大妖精曰く、人里内では私たち紅魔館側に好印象を抱いてくれる人間さんが少ないながらも出始めたとの事なので、交流はほぼなくとも現時点ではかなり望ましい展開になっていると言っても良い。

 

 加えて、異変を起こすのに必須な魔法の紅い霧の術式構築も順調に行えていて、このまま何のトラブルもなければ1ヵ月半から2ヵ月で紅霧異変を起こせるところまで来ていた。

 私も出来るところは頑張ったけど、ここまで早く出来たのはパチュリーの各種魔法技術や知識が尊敬の念を抱くレベルであるからだ。他にも色々助けられているし、本当に感謝でしかない。

 

「うわっ!? ビックリしたぁ……」

「えへへ……リーシェ、暇なら今日は私に付き合って!」

 

 頭の中でそんな事を考えつつ、読んでいた魔導書を閉じて椅子から立ち上がって後ろを振り向いた瞬間、至近距離にフラン姉様の顔があったため、思わず声をあげて驚いてしまった。

 

 良く見たら、フラン姉様は私がいつも髪の手入れをする時に使うくしや髪飾りらしきものを手に持ち、更に綺麗に畳まれた服を1着と各種小物類を持った青髪の妖精さんたち3人が、普段あまり見せない様な満面の笑みを浮かべている。

 

 この瞬間、私がこれから何をされようとしているのかがおおよそ理解出来たけど、1枚につき1つの願い事を叶える『(かな)(がみ)』を差し出されたため、頷くのは確定した。

 が、それはそれとしてこれから何をするつもりなのかは聞いておくべきだとは思ったので、今すぐ実行するとしよう。

 

「確かに暇だけど……一体、何するつもりなの?」

「えっとね、青髪の妖精さんと一緒に作った服を着てもらった上で、どうしてもやってみたい髪型があるから、それを試すの! リーシェの事、もっと可愛くしてみせるからさ!」

 

 すると、案の定私の理解した通りであると判明し、何とも言えない気持ちが心の中を駆け巡った。かなり昔の出来事だけれど、青髪の妖精さんたちに頼まれて、肩まで露出している綺麗なドレスを着た時の記憶が甦ってきたためだ。

 

 しかし、今日はあの時とは違ってフラン姉様が主導しているのに加え、とある髪型を試したいとも言ってきているから、どうされるのかとか時間はどれ位かかるのかとかは、全く想像つかない。もしかすれば、服の方は断った方が良いのかもとすら思えてくる。

 

(……)

 

 けれど、期待を込めて頼み込んでくるフラン姉様からのお願いを断る事は、叶え紙を差し出された時点で出来なくなっていた。まあ、例え差し出されなかったとしても、色々な思いから断るだけの勇気は私にはなかったけども。

 

 にしても、数年前の誕生日プレゼントで贈った3枚の内の1枚を今使ってくるとは、余程強い願い事であるらしい。まあ、私の服作りに姉様自身も介入する位だから、少し考えれば分かる事ではあったが。

 

「髪型試しは当然良いし、持ってきてもらった服に着替えるのもまあ、良いから……その、フラン姉様と青髪の妖精さんたちは部屋の外に出てて」

「はーい! じゃあ、楽しみにしてるね!」

 

 少し緊張しながらもそのお願いを受け入れ、部屋から一旦全員出ていってもらってから着替えを始めた訳だけど、渡してもらった服の全容を見て、私は顔どころか全身が火照っていくのを感じた。

 何故なら、それが色や装飾が違うだけのフラン姉様と同じ丈の半袖な上に、スカート丈まで同様の長さだったからである。半袖の服かミニスカートどちらかのみであれば百歩譲って良いとしても、両方着なければいけないのは、はっきり言ってかなり厳しい。

 

 無論、私が肌を少しでも露出する様な格好が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、フラン姉様のいつもの服装が変なものと言っている訳では()()()()()。むしろ、とても似合っているとしか言えないだろう。

 

 だが、それを私がしてみるとなった場合は話は別である。愛する館の家族からの頼みであっても、長袖では辛くなる真夏であったとしても、嫌なものはやはり嫌なのだ。

 

(ふぅ……頑張れ、頑張れ……!)

 

 とは言うものの、最終的に私の意思で約束したも同義な以上は嫌だろうが何だろうがとにかく着替え、フラン姉様たちにその姿を見せなければならない。気合いを入れ、頑張る事に決めた。

 

「わぁ……いつもの格好も可愛いけど、今の格好も凄く可愛いよ! リーシェ!」

「やはり、リーシェさまはこの色合いの服が良くお似合いですね!」

「……」

 

 こんな風に、頭から湯気が上がるかと思う位の恥ずかしさをこらえながら何とか頑張って着替え、小物類を身につけた後にフラン姉様たちを部屋に招き入れた訳だけど……私の姿を目にした瞬間の反応のお陰で色々な感情がごちゃ混ぜになり、声を発する事すら難しくなってしまう。

 

 けど、青髪の妖精さんたちが手を取り合って喜ぶのを見て、フラン姉様から抱きしめられたり頬擦りされたりして、とっても嬉しくて幸せなのもまた事実である。だから、まだこの格好のままで居ても良いかなと、そう思い始めていた。

 

「さてと、次は髪型試しやるから椅子に座って!」

「うん……」

 

 半袖とミニスカートと、紫さんのくれた髪飾りと同じ可愛い鳥さんが刺繍された、お手製のショルダーバッグ以外は殆んど同じなこの格好の披露を終えた後は、フラン姉様による髪型試しが始まった。

 

 正直、髪に関してはしっかりと手入れが出来ているかのみを気にしているだけで、今までは髪型がどうとかは全く興味がなかったものの、フラン姉様が私の髪を使って色々とやっているのを見て、少しは興味を持って試してみた方が良いのかも知れないと思い始めている。

 

 まあ、私の趣味がどうこうと言うよりは館の家族が喜んでくれたり、褒めてくれそうだからと考えたが故の思いであるが。

 

「リーシェって髪長いのに、ちゃんと手入れされてて綺麗なのが凄いよね! それと、髪型なんだけど……似合う奴に出来そうになかったから、実質髪を梳かしてただけになっちゃった。ごめんね」

「ううん、別に大丈夫」

 

 そんなこんなで思考を巡らせながらのんびりする事10分と少し、髪型試しは何だかんだ言って満足いかなかったらしく、いつもの感じで落ち着く事となった。

 なお、今後も自分の時間を削って研究を重ね、似合う奴が出来るように頑張りたいと宣言していたため、その時は思う存分付き合ってあげたいと思う。

 

「でさ、その……リーシェ。無理を言うのは百も承知なんだけど、今日1日だけで良いからその格好で私との時間を過ごして欲しいの。駄目かな?」

「えっ」

 

 で、用意された服着替えと髪型試しも終わり、これでようやく終わりなのかと思ったのだけど、そこで思わず呆けてしまう位に衝撃を受ける程のお願いをされた。

 

 言ってしまえば、たった30分足らずですら私にとって緊張感と恥ずかしさがつきまとうこの格好を、1日もして過ごすなど一体何の罰かと思う位には嫌だと口に出したくなった。

 

(フラン姉様、そんなに私のこの格好が気に入ったんだ……)

 

 しかし、私の両手を握りつつ顔を近づけ、何故か今すぐ泣きそうな目でこちらを見つめながら頼み込んでくるその姿を見て、断った場合の泣いて悲しむ顔を想像した結果、断るだけの気力が大幅に削り取られていった。

 

 更に言うならば、このお願いからは微塵も悪意は感じず、ただ純粋にこの格好をした私との一時を今日だけでも良いから楽しみたいとの思いしか感じなかったのは大きかった。1日だけ私が抑えに抑えるだけで、フラン姉様が幸せになってくれるのならば安いものだと断言しても良い。

 

 と言うか、叶え紙を渡した時点で精神を回復不能な程に破壊するだとか、物理的に不可能な願いでなければ拒否権などそもそも私にはないのに、わざわざ気遣って聞いてくれるだなんて、なんと思いやりのある優しい姉様なのだろうか。

 

「うぅ……本当に、今日だけだよ。今日だけだからね」

「本当!? やった、やったぁ!!」

 

 そう思いながら、緊張感と恥ずかしさを抑えつつそのお願いも聞き入れると言った瞬間、翼を大きく動かしながら大喜びし始めた。何と言うかもう、見ているだけで全身が心地よい空気に包まれていく様な仕草としか思えない。

 

 ここまで来ると、今見せたフラン姉様や青髪の妖精さん以外の家族にも見てもらうべきとも思い始めてきたけど、その辺りはひとまず保留にしておく。私の希望でこの格好をしている訳ではなく、誕生日プレゼントで贈った叶え紙を使って、フラン姉様が希望したが故の状況だからだ。

 

 まあ、その辺はどこかのタイミングで見せる事にはなるとは思うから、私の体力と根性さえ持てば館の家族を仲間外れにする心配はないとは思う。

 

「良かったですね、フランさま! じゃあ、私たちは邪魔しては悪いので、これにて失礼します!」

「うん! 青髪の妖精さんたちも、本当にありがとうね!」

 

 こうして、青髪の妖精さんたちが部屋を去っていくのを鍵として、この格好でフラン姉様と過ごす一時が始まる事となった。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

※アンケートの完全なオリキャラと言うのは、名前つきの作者オリジナルキャラクターの事です。質問文が修正出来ないため、後書きにて追記致します。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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