地下にやって来た異変解決者2人の同時スペル宣言に対抗し、私は4つ目のスペルである
綺麗な紋様を描きつつも白から赤、赤から緑と変わるにつれて加速度的に増える鱗弾を放つ
「秋から冬の落葉樹を連想する弾幕、何とも風情が……おっと、危ない危ない」
「流石に4つ目だけあって、彼女のスペルの回避難度もかなりのものね! 私たちが宣言してなければ、もっと厳しかったわ!」
勿論、発動中のスペルが全く通用していない訳でもなく、2人に結構な緊張感を持たせる程度には影響を与えられてはいる。
それに、想定以上だったとは言っても何らかの連携は取ってくる事自体は予想済みだったから、不利な状況への焦りとかはあったけど、動揺したりとかは殆んどなかった。
(本当、この2人って凄いんだなぁ……)
にしても、こう言った場合に起こり得る好ましくない弾幕同士の干渉を一切発生させず、むしろ弱点を補う形でより高度な技へと昇華させながら、ルールには抵触しない弾幕の嵐を
私が同じ事をやろうと思ったら、最良は普段から練習し合ってる姉様2人か魔法の研究開発でお互いに理解が深いパチュリー、次点で弾幕ごっこの練習付き合いがある咲夜か美鈴かこあでないと厳しいだろう。
なお、妖精さんたちは相性の面では申し分なくても、実力差とかがあり過ぎて変に負担をかけた上でその気がなくても痛い思いとかをさせそうだから、気遣いのために泣く泣く除外している。
「あらら……これも攻略されてしまいましたか。でもまあ、文さんとアリスさんの優れた合わせ技を相手にしている以上、無理もないでしょう」
「へぇ、随分と私たちの事を買ってくれてるじゃない」
「みたいですねぇ。正直、萃香さんや私と戦った吸血鬼異変の時と違いすぎて、戸惑いが隠せません」
そして、更に不利な状況に追い込まれながらも集中力を発揮して時間切れまで避け続け、2人も私の弾幕を時間切れまで避け続けたところで、文さんが弾幕ごっこ前の時と同じ様にまたしても謎の発言を口にした。
吸血鬼異変、萃香さんと呼ばれている謎の人物、1回目の時と同じく私が文さんや見知らぬ萃香さんと会って戦った事があると匂わす発言、脳内で
(……)
そう言えば、私が初めましてと挨拶をした時もアリスさんは普通に返してくれたけど、文さんは驚いたとも取れる結構複雑な表情を一瞬だけ見せ、挨拶を返してくれていた。
私にはとても嘘で出来るものには見えず、会った上で全力でやり合った経験が本当に存在する可能性が高い。となると、それがあった時と言うのは私が暴走した影響で抜けた記憶、幻想郷に来てから目を覚ますまでの間となるだろう。
(うーん……深く触れない方が良いかも?)
ただ、レミリア姉様やフラン姉様はその時の事を大まかに教えてくれこそすれ、細かいところまでは決して教えようとしなかった。もしかすると、私に知られたくない何かがある可能性が極めて高い。
けれど、姉様2人が私に対する悪意をもって隠し事をするなど絶対にあり得ないので、秘密にする理由は十中八九私への気遣い故だと思われる。
ならば、向こうから教えてくれるならともかく、こちらからわざわざ探りを入れてせっかくの気遣いを無に帰す、愚かとしか言い表せない真似はしない方が賢明だ。
「それはまあ、今までの様子からして当然ですよ。さてと……そろそろ失礼いたしますね」
と言う訳で、今後その件についてはレミリア姉様かフラン姉様から触れてこない限り、私自身は考えるのも触れるのもやめようと決めると同時に、文さんやアリスさんから距離を取った。
姉様2人に初披露した後、順次披露した館の家族たちから手放しで褒めてもらえた
初披露時の様に最後の切り札として宣言しようかとも考えたけど、フラン姉様は
「どうぞ、私たちの舞をその身に焼き付けていって下さい」
「「っ!?」」
そして、2人の方へと向き直ってからカーテシーを行うなどして、どこからどう見ても分かりやすい様に宣言してから、耐久型スペルを発動させた。
(絶対に、容易に突破されてたまるものか……!!)
だが、これを入れれば残り2つしか私の使えるスペルがない状況で安易に突破させるのは、敗北への道しるべを自分から望んで辿る事と同義になる。
それだけならまだマシだけど、以降に2人と相対する館の家族たちにのしかかる負担が増え、大きく迷惑をかけてしまう事を考えた場合、それ
無論、勝ってより姉様たちの役に立ちたいとの思いを捨てた訳ではなく、むしろ更に強くなっていったが。
「くっ! この尾を引く鳥、動きを阻害する軌道で舞って来るのが嫌らしいですね!」
「迎撃魔法陣の尋常じゃない展開速度を見るに、耐久スペルの様ね。この子、今までどれだけの強さの敵……と言うか、どれだけの数の敵と1度に戦った経験があるのかしら?」
そんな思いが通じたのか、少し経つと今までにない位に文さんとアリスさんを追い込んでいく光景が、目に入ってくる様になった。
例えば、縦横無尽に私の放った弾幕と弾幕の間を抜けつつ、必死に高密度の通常弾幕を危険と判断したものにぶつけて相殺し続けたり、盾と槍もしくは剣を装備した3体の人形を巧みに操り、可能な限り最小の動きで被弾を回避したりなどである。
耐久型のスペルである事は、アリスさんが迎撃魔法陣の展開速度から先に気づいた様だけど、着眼点が流石は優れた魔法使いだとしか言い表せない。だからと言って、パチュリーに魔法で敵う存在だとは思わないけども。
「アリスさん! この間、人里の上空で見せていた
「あぁ、魔理沙に付き合わせた例のお遊び、文も見に来てたのね。防御用じゃないけど、この際致し方ないわ」
「ありがとうございます!」
「さてと……いつもと役割違うけど、弾幕の迎撃をよろしく頼むわ! 戦操『ドールズウォー』!」
すると、中盤に差し掛かってきたタイミングで文さんにスペル宣言を頼まれたアリスさんが、盾や槍、剣やクロスボウなどを装備した12体の重装人形を更に召喚し、自身も弾幕を放って私の弾幕の迎撃を試み始めた。
(あれ、本当に人形だよね……?)
扱い慣れていると言わんばかりに剣や槍で弾幕を斬り突き、盾を都度適正な角度に持ち替えて受け流し、味方が捌ききれなかった弾幕をクロスボウで撃ち抜いたりと、どれもこれも人形とは思えない立ち振舞いだけでも、私はもう驚愕を禁じ得ない。
そこに、本人の弾幕による必死の迎撃や回避を加えた態勢が構築された結果、目に見えて状況が2人へと傾いていってしまうのも致し方ないだろう。手を少したりとも緩める余裕を与えない程度には場を保てているのだから、良しとするべきだ。
(弾幕ごっことは言え、探知能力全開は流石に負担が大きいかぁ)
しかし、終盤に突入して時間切れが近くなってくると、能力の全開使用による負担がそこそこの領域に達した様で、こんな状況でも疲労に加えて眠気まで感じ始めてきた。
けどまあ、根性とかで耐えなくても弾幕ごっこを続行する余裕があれば、レミリア姉様やフラン姉様の言い付けに背いた事にはならないと思う。何なら、練習の時だって同程度の疲労や眠気はあったし、尚更そうだと断言しても良い。
「お見事です。私たちとの舞、楽しんで頂けましたでしょうか?」
「そりゃもう、体力がごっそり持っていかれる位には楽しめたわ……」
「白翼の吸血鬼……いや、リーシェさん。私も同様の意見です」
「そうですか、なら良かった」
そうして、アリスさんや文さんの尽力も相まり、お互い時間切れまで防ぎきられながらも体力を大きく削る事には成功し、簡単な会話を含めたやり取りを交わした後は、最後のスペルのための準備を始めた。
とは言っても、今でも変わらず大好きな亡き母様から授かった愛用の雷弓を、雷の力を糧とした形成術式を組んで本物同然の状態で再現するだけだから、大して時間はかからないのだけど。
「その弓は……なるほど、遂に最後のスペル宣言が来ますか」
「はい、今日の弾幕ごっこで使える私の最後のスペルです。けど、決して勝たせやしませんよ……
失敗する要素もない故に雷弓の再現を当然の如く成功させ、会話のために詰めていた距離を再び離してから、私は高らかにスペル宣言を行った。
今まで手を抜いていた訳ではないけれど、これを乗り切られれば負けると言う正真正銘後がない状況なだけに、入る気合いも桁違いである。
「凄まじい威圧感……最後のスペルとは言え、弓を構える前と後で雰囲気が違い過ぎない!?」
「何せ、あれは彼女の本領を表すものですからね。あくまでも遊戯の域を出ない決闘であろうと、弓を構えてこちらを見据えるリーシェさんは、大妖怪に相応しい驚異ですよ」
アリスさんや文さんもそれを感じ取ったらしく、今まで積み重なってきた疲労など知らんと言わんばかりの動きで小矢弾や雷レーザー、波動を纏う大矢弾を避けていった。
パチュリーとこあを倒し、地下の妖精さんたちを相手して体力が結構削られているのに凄いと思ったけど、良く考えてみたら文さんのみがスペル宣言可能な状態だから、疲労すら感じない位には必死にもなるだろう。
「耐久スペルで体力を削られてる分、このスペルの回避がキツい……っ!」
「タイミング的に今が最適……ならば、私も最後の切り札を切りましょう。塞符『天上天下の照國』!」
時間切れまでおよそ3分の1を切った頃、文さんが最後のスペルを宣言して迎撃や回避にほぼ全力を割き始めた事により、当たりそうな弾幕の数が大きく減少し始めてしまう。
その分、私の方へと飛んでくる弾幕は非常に少なくなっているので、回避するのは非常に容易になったけど、そんなものは気休めにすらならない。時間切れまでに数回当て、何とかスペルの強制解除を狙わないと、負けが確定となってしまうからだ。
更に、スペル宣言時より減りはしたけど、アリスさんが操る盾を装備する3体の人形が文さんを守る様な布陣を取り、危険と見た弾幕を受け流す技巧の披露までも始めたため、余計に戦況は芳しくなくなってしまった。
(勝たせや、しないっ……!!)
私に全幅の信頼を寄せてくれた館の家族たちのために勝利を届けたい、全て終わった後に一言だけで十分だから褒めてもらいたいと、ただそれだけのために頑張ってきた。こんな状況でも、当然勝利の望みは捨ててはいない。
「あっ……」
しかし、無情にもその思いが達成される事はなく、大矢弾を放ってからすぐに時間切れがやってきてしまった。つまり、私は負けた訳である。
無論、アリスさんや文さんの体力を大幅に削り取り、先に控える妖精さんたちや姉様2人に楽をさせる事自体には成功しているので、最低限の役割は果たしたと言えるだろう。
だから、相手に対する思いも負けた悔しさも、弾幕ごっこが終わってからたった数秒で綺麗さっぱり消え去った。今はもう、私の前に負けた
「お見事としか言い様がありませんね。ではどうぞ、先に進んで下さい」
「ええ、ありがとう。もし機会があれば、その時は貴女と魔法談義をしたいわ」
「えっと、私は色々と取材をさせてもらえたら嬉しいなと思ってます。無論、強制は出来ませんけど」
「そうですね。
こうして、文さんが自分のスペルを解除したのを確認し、一言二言交わして2人が進んでいったのを見送った後、負けた妖精さんたちやパチュリー、こあが大図書館に居るのを能力で把握したため、労いと謝罪の言葉をかけに歩みを進めていった。
ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。
幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?
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1人
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2人
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3人
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追加しない方が望ましい