目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


紅霧異変の決戦(前編)

「あんたたちが主犯ね。空を覆い尽くす赤い霧、迷惑だから今すぐ消してくれる?」

 

 フランが異変解決者としてやってきた鬼の萃香を、私が鴉天狗の文や人形師のアリスを撃退してからすぐ、少し緊張しながらもやって来た人間2人と対峙、その時に備えて構えていた。

 

 ここまで緊張している理由の1つに、紅白(博麗)の巫女が今まで私が相対した相手の中でもかなり上位かつ、私にとって()()()()()()を秘めているからと言うものがあった。

 まあ、博麗の巫女は外の世界で言う聖魔騎士団の聖女に、完全でなくとも類似性のある役職なので、当然の話だろう。

 

「お断りよ。やめろと言われただけでやめる位なら、最初からこんな事やってないわ」

「お姉様の言う通りだよ! 目的を完遂するまで、この霧止めさせないからね!」

「……そう」

 

 後は、巫女に劣れど相応の実力を持つと思われる白黒魔法使いとの相性が、外から見る限りでは非常に良さそうだと実感したからと言う理由が存在していた。

 

 つまり、2人のコンビネーション(助け合い)がお互いの強みを十分に発揮させ、場合によっては昇華させる環境が整ってしまう訳で、厄介極まりない。実力差が余程開いていない限り、当然の話として付いて回る。

 

 とは言え、それなら私もフランとの相性は愛する姉妹なのもあって抜群だし、条件は同等……いや、その他の細かな要素を考慮すればこちらが有利である。故に、緊張すれども臆してはいない。

 

「なら、容赦なく叩きのめすしかない様ね……魔理沙、気を引き締めなさい。あの2人、並大抵ではいかなそうよ」

「ああ、分かってるさ……霊夢、一緒に異変解決と行こうぜ!」

 

 頭の中でそんな風に考え、紅白の巫女……霊夢から霧を消せとの要求を断り、彼女が白黒魔法使いの魔理沙と行ったやり取りが終わった後は、文やアリスの時と同様にスペルカードを使用可能な枚数を含め、弾幕ごっこに必要な会話へと入る。

 

 少しは時間を取られるかとも思ったけど、1人3枚ずつ2人で合わせて6枚のスペルカードを使用可能とする魔理沙の案に反対する理由もなかったから、すぐに話は終わった。

 

「よっしゃ、まずはこいつで行くぞ! 魔空『アステロイドベルト』!」

 

 互いに宙へ浮かび、萃香が疲労困憊の文やアリスと共に流れ弾の影響をほぼ受けない場所に向かった事を確認した後、魔理沙が元気良くスペル宣言を行う事で、2対2の弾幕ごっこが始まった。

 

 最初に発動したそれは、青色と赤色の通常星型弾を規則的に放出しながら、小さな黄色と緑色の星型弾を私やフランから見て横方向から流すと言う内容であった。

 

 通常星型弾の密度は高い上、比較的低速で流れてくる小さな星型弾が地味に行動を制限する軌道を取ってくる様で、少し気を抜けばあっという間に押されてしまう事だろう。

 

(まずいっ!?)

 

 そんな時、霊夢がフランに向けてさっきよりも沢山の弾幕を飛ばしてきた事に気づいた。それだけではなく、最も適切な(嫌らしい)場所へとのおまけ付きだ。

 

 不意打ちではないため、フランの実力なら回避不可能とは思えないが、今はそこへ魔理沙の星型弾も加わっている状況である。万が一の未来も一瞬だけだけど、見えてしまっていた。

 故に、余裕が出来た一瞬を見切り、私に向けられたそれを回避しながらの援護を実行に移す。

 

「ありがと、お姉様」

「どういたしまして。しかし、あの2人の連携は本当に厄介ね」

「うん。きっと、余程長い時間かけて互いに信頼関係を構築してきたんだと思う!」

 

 結果、自分が多数の弾幕に当たりかけながらも援護は上手く行き、その後は魔理沙のスペルが時間切れになるまで、フランと協力しながら回避し続ける事に成功した。

 

 とは言うものの、同時に霊夢と魔理沙の相性の良さが見た感じよりも優れていると、はっきりと実感させられた一幕だった。恐らく、昔から家族同然の付き合いでもあったのだろう。

 

 でも、それならば私とフランだって同じ様なものだ。むしろ、500年近く本当の家族として仲良く幸せに過ごしてきた分、あの2人よりも優れていると自負している。

 

「でもね、それなら私とお姉様だって負けないもん! 禁忌『カゴメカゴメ』!」

「ふふっ。むしろ勝っていると言っても良いわよ! 神術『吸血鬼幻想』」

 

 なので、フランが嬉々としてその事に触れつつスペル宣言をしたのと同時に、私も乗っかってスペル宣言を行った。これについては無論、運命は見えないと確認した上での行動ではあるが。

 

「なるほど、私たちはまさに籠の中の鳥ってか!」

「みたいね。姉の方のスペルも加わって厄介だし、1人で挑んでたら危なかったわ」

「だろうな。でも、霊夢ならそれでも何とか出来るだろ?」

 

 自分で口にするのもあれだけど、宣言してからある程度が経った頃、2人分(私とフラン)のスペルによる高密度弾幕で、連携能力が非常に高い霊夢と魔理沙を苦戦させ、完全ではなくとも攻撃に割く力を激減させる事に成功した。

 

 ただ、消滅ではなく()()であるが故に、一定数の弾幕はどうしてもこちらにやって来るのに加え、相手に向かっていった弾幕は相殺や軌道逸らしにより、密度が低下したところを上手く避けられている。

 

 が、私たちも余裕をもって回避し続けられていて、お互い強制宣言をさせるに至っていないため、戦況としては膠着状態だと言ったところだ。

 

(なんて奴らなの……でも、まだ諦めてはいないわ!)

 

 にしても、ルール内で本気を出し、なおかつフランとの連携を試みてすら互角以上に持ち込めない状況に、私も内心驚きを禁じ得ない。警戒はしていたつもりなのだけど、全然甘かったのだと感じた一時であった。

 

「はぁ、面倒ばかりで嫌になるわね! 神技『八方龍殺陣』!」

 

 で、当然の如く警戒度を大きく引き上げ、周りの状況把握に体力と集中力をより割き始めてからしばらく経過すると、唐突に苛立ったかの様な様子を見せた霊夢が、かなり嫌なタイミングでスペル宣言を行った。

 

(ちっ! 偶然……いや、必然か!)

 

 フランも一緒に居て、対抗手段も技術もあるので絶望的ではないものの、考え得る限り最も的確に弾幕を放ってきている故に対処しづらく、厄介な事この上ない。

 霊夢が能力を持っているかどうかは分からないけど、未来を見ているとしか思えない立ち振舞いはもはや能力だと言っても差し支えないだろう。

 

「ふぅ、やっと乗り越えたわ。魔理沙、大丈夫?」

「おう! 霊夢のスペルのお陰で、被弾は1回だけで済んだからな!」

 

 そんな風に高速で思考を巡らせながら放ち続けるも、最終的には迎撃や回避に終止力を割かれてしまっていた影響で霊夢にはあと少し及ばず、魔理沙には1度しか当てられずに時間切れまで粘られて終わる結果となってしまった。

 

 なお、途中で宣言された霊夢のスペルについては、私たちのスペルが時間切れとなった後も全て避け切る事は出来たものの、能力使用も相まってそれなりに体力を消費している。

 

「しかし、霊夢をあそこまでマジにさせるなんて凄い奴だよ。お前ら姉妹は」

「うん、ありがと。あっ……ちなみに、私の名前はフランドールって言うの! 一緒に戦ってるのはお姉様の……」

「紅魔館当主かつ、異変の元凶のレミリア・スカーレットよ」

「なるほどな。それと、私は霧雨魔理沙でこっちの少し愛想良くないのが、博麗霊夢って巫女だ」

「魔理沙、あんたねぇ……まあ良いわ」

 

 すると、魔理沙が私たちに対して好意的な言葉を投げかけたのをきっかけとして、何故か弾幕を避けながら自己紹介が交じった会話が始まってしまった。

 

 吸血鬼異変の時みたいな命を取るか取られるかの戦闘を行っている訳ではなく、霊夢や魔理沙に対して思うところも特にないけど、お互いに一応異変の元凶と解決者と言う立場である。つい先程と比べ、緊張感が薄れてきているのはどうなのだろうか。

 

 でも、別にこう言う会話を交わしてはいけないルールはないし、私を含めて誰も勝負を諦めたり手を抜いてはいないから、まあ問題はないと言っても良い。

 

「さてと、この勝負は霊夢と私が勝たせてもらうぜ! 恋風『スターライトタイフーン』!」

「あら、それはこっちの台詞よ! 私とフランが勝つわ!」

「うん、そうだね!」

 

 そんなこんなで、やり取りが始まってから時間が過ぎると、気合いを入れ直した魔理沙が2つ目のスペルを宣言したため、私とフランも同じく気合いを入れ直して回避に臨んだ。

 

 密度自体は1つ目よりも高くはないが、私たちの後ろに投げる様にして展開された複数の魔法陣より星型弾、魔理沙本人から放たれる小さな星型弾と、挟まれる形かつ不規則である。

 

 なので、気を遣わずに避ける事が出来る程に簡単なスペルだと思ったら大間違いだ。その間に霊夢が、何らかの札を模した追尾弾や通常弾、鋭い針型の弾をところ狭しとばらまいてきているのだから尚更だろう。

 

 更に、星型弾の密度が低下する魔法陣の外側に照射されているレーザーは、他のレーザーや本人の弾幕に対して触れても一切干渉せず通り抜けるとも判明した。

 故に、一定時間以上居た場合被弾が確定する事となってしまうため、そこでの回避は即座に選択肢から消える。

 

(さて、どう行動すれば押し込める……?)

 

 避け続けるのに必要な体力や魔力、予想外を減らしていざと言う時に困らない集中力を維持する余裕はまだ私にあるし、フランは言わずもがなだ。

 

 しかし、スペルカードルールの性質上、それが助けにはなっても相手が2人居るのも相まって、戦況を切り開くより効果的な切り札とはなり得ない。

 フランとの連携の高レベル維持、使うスペルカード選びと使用タイミングの優れた判断、これら2つの要素が揃った状態が効果的な切り札だとなり得る。

 

「そろそろ頃合いかしら。紅符『スカーレットマイスタ』!」

「奇遇ね。私もそろそろ頃合いだと思ってたところよ! 回霊『夢想封印 侘』!」

 

 顔の側を星型弾が通るヒヤヒヤした場面がありつつも、被弾せずに魔理沙の2つ目のスペルを時間切れまで避けきってすぐ、頃合いだと判断した私はスペル宣言を行った。

 

 ただ、同時に霊夢もスペル宣言を行ってしまい、弾幕の密度の面で有利を取れなくなってしまう。見た感じ上手く合わされた様で、判断を間違えたと思わざるを得ない。

 

(ちょっ……さっきまでの追尾弾よりも追尾性が高い!)

 

 しかも、通常弾で動きを制限されているところに、主に私狙いで結構面倒な追尾機能を備えた札型の弾が飛んで来るため、回避難度がより上がってしまっていた。

 今に至るまで、リーシェの切り札魔法を筆頭とした各種誘導魔法を実際にこの目で見ていなければ、きっと過剰に驚いていた事だろう。

 

「霊夢、待ってろ! 今……うおっ!?」

「魔理沙、お姉様の邪魔はさせないからね! 禁弾『過去を刻む時計』!」

「まあ、そう易々と行かせちゃくれないよな!」

 

 同時に、この状況下で魔理沙が霊夢の援護に力を更に割こうとしたのが見えるも、フランがスペル宣言をしてまで阻止してくれたお陰で、内心ヒヤヒヤしていた私の心が落ち着いてくる。

 

 完全なるお遊びならそれも余興として楽しめるかも知れないけど、流石の私も1人であの2人を相手取るのは厳しく、こっぴどく負ける可能性が上昇してしまう。

 

 異変を起こしている立場であり、フランもまだ元気な以上はわざわざ数的不利になる必要もないから、状況でそうせざるを得なくなる事なくこのままで推移して欲しい。当たり前だけど、いざと言う時は1人でやり合うのも厭わないが。

 

「この姉妹、強いとは思ってたけど想定以上に強いわね」

「ああ。私はもとより、本気になった霊夢のスペルですら普通に食い付かれるなんてな。驚いたぜ」

「ええ。そうなると……うん、切り札を出すわ」

 

 そんな流れで、私と霊夢はお互いにスペルが時間切れとなるまで有効打を与えられず、間隔を置いてフランも時間切れとなるまで魔理沙を釘付けに出来た訳だけど、妙に胸騒ぎがし始めた。霊夢が魔理沙との会話中、切り札を出すと言っていたのを耳に入れたからだ。

 

 纏う雰囲気や力、表情や細かな仕草までもが先程までとは大きく違っていて、まるで別人に入れ替わったかとしか言い表せない。

 

 どんな内容かは当然の如く不明なものの、こう言う場合は想像を遥かに超える強力な切り札な可能性が極めて高いので、フランに構える様に促しつつ、私も霊夢に視線を向けて構える。

 

「これが私の奥義……『夢想天生』!」

「「っ!?」」

 

 そして、私の方を向き直った霊夢が言葉を紡いだ瞬間、彼女の姿や気配そのものが結構薄くなったのを見て感じた。




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