目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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博麗神社の大宴会(前編)

 紅霧異変が紅魔館側の敗北で終わってからちょうど2日経った今日、姉様2人やその他妖精さんたち23人と共に、博麗神社で行われる宴会に参加するための準備を、太陽が完全に沈んでも未だに行っていた。

 

 理由は、私が参加するなら自分も行くと名乗った妖精さんや、盛り上がりに触発され直前に参加を決めた妖精さんが沢山出た結果、やる事が増えてしまったからだ。

 

 時間的には既に宴会は始まっているはずで、いくら行くも帰るも自由だとしても、盛大に幻想郷を騒がせた私たち(主犯)が遅れていくのは、姉様2人が変な印象を抱かれないか心配である。

 

 私がそうなるだけならまだしも、連想的に館の家族が変な印象を抱かれれば堪らないから、自分の準備を既に終えている姉様2人だけでも、ここは任せて先に向かってて欲しい。

 

「レミリア姉様、フラン姉様。良ければ――」

「あぁ、なるほど。でも大丈夫よ。リーシェの考えている様な事は起こり得ないもの」

「そうそう! お姉様がそう言うんだから、焦らず信じて待ってようね!」

 

 なので、一部を除いて思っていた事を口に出し、促そうと考え実行に移したら、言い切る前に速攻でレミリア姉様に全て見破られ、フラン姉様に頭を撫でられながら焦らず待てと優しく諭された。

 

 加えて、特に仲良しな妖精さんたち数人にも調子が良くないのかと誤解され、心配のあまり雰囲気を壊しかける領域にまで来てしまったため、勘違いさせた事を謝った上でこれ以上は考えるのをやめて待つと決める。

 

「ありがとう。こんなにも気に掛けてもらえて、私とっても幸せだよ」

「フランと同じで大切な妹なんだから、当たり前よ」

「まあ、リーシェの事は何でも分かってるし!」

 

 あからさまに不安ですと態度に表したつもりはなくても、私と数百年単位で暮らしてくれている皆にとっては、隠せない無意識下での微かな動きを読み取る位は造作もないのだろう。

 まあ、異変の時が初対面の相手でも私の抱く感情だけとは言え、即見抜けていたと考えれば、もしかしたら微かではないのかも知れないが。

 

「レミリアさま! 妖精メイドたち全員、準備が終わりましたー!」

「ええ。さてと……宴会、楽しめるだけ楽しむわよ!」

「「はーい!」」

 

 ここ数日、家族の皆に何かしらもらってばかりいる現実を噛み締めていると、まとめ役の妖精さんから準備完了の報告がされたため、レミリア姉様の掛け声と共に少し急ぎ目で館を出発した。

 そうは言っても、飛ぶのが1番遅い妖精さんに合わせているので、飛行速度は遅めに抑える。

 

(うぇぇ、何この人数……本当、運と姉様たちに感謝でしかないなぁ)

 

 宴会の開催理由からして当たり前ではあるが、異変の際に解決者として来た実力者の反応は全て存在しているし、未知の反応も含めると軽く30人は超えていた。

 人数的には、移住以前のパーティーなどを考慮すると中程度にあたるものの、やはり慣れないものは慣れない。

 

 だが、反応の中にチルノや大妖精が存在し、なおかつ姉様2人に加えて沢山の妖精さんたちが一緒に参加してくれている。会場の現状を事前に知れた点も相まって、心構えを持つ目的での能力使用は正しかった。

 

「霊夢、魔理沙。沢山連れて来たわよ」

「あら、遅かったわね。それにしても、凄い数の妖精……想定外ね」

「確かにな。でも、多少会場が手狭にはなったけど、賑やかになって良いじゃないか」

「ええ。沢山来た時の備え自体はしてたし、この妖精たちは統率が取れてそうだから」

 

 そんなこんなで飛ぶ事数分、他の参加者の邪魔を出来る限りしない様に気を使いつつ、ライトアップされ目立っていた神社の境内へと順次降り立つと、多数の妖怪さん集団に混じっている特に警戒すべき人間さん2人に、先に降り立ったレミリア姉様が声をかけていた。

 

 会話を聞くに、腋の露出した巫女服を纏った方が霊夢さん、如何にもな魔法使いの帽子を被った方が魔理沙さんらしい。姉様2人ともそこそこ気が合っているみたいだけど、弾幕ごっこで何かしら通じ合う箇所があったのかも知れない。

 

「リーシェ、皆でこっち来て一緒に楽しもう! 紹介したい友達も居るからさ」

「意外だね。リーシェちゃん、こう言う場所は嫌いだと思ってたから、来ると思ってなくてビックリしたよ」

 

 すると、少しひんやりとした何かの気配を横から感じると同時に声をかけられたので、思考を中断してその方角へ顔を向けたところ、チルノと大妖精が妖精さんたちを掻き分けて来ていた事に気づいた。

 

 姉様2人と霊夢さんたちとのやり取りを見ていたからか、至近距離に来られるまで全く気づけなかったものの、それはどうでも良い。2人が私の姿を確認するや否や、誘いに来てくれた事実のみが重要である。

 

 ただ、レミリア姉様の深い考えによる幻想郷の実力者への私の紹介や、姉様2人が私と行く宴会を楽しみにしていると言った要素から、今すぐ行く事は出来なかった。

 無論、自分自身が姉様2人と一緒に居たい気持ちが大きいので、それらがなくともすぐに行くつもりはなかったが。

 

「2人共ごめん。私はすぐには行けないけど、出来るだけ早めに行くから待ってて欲しいな」

「了解! 大ちゃんも、それで構わない?」

「うん。じゃあ、また後でね。リーシェちゃん」

 

 と言う訳で、チルノと大妖精には謝った上で後で向かうと確約し、2人と友達な妖精さん5人を先に連れて向かってもらった。

 

 その際、紅魔館外で初めて出来た友達とはしゃぐ妖精さん、そんな彼女たちと同じく楽しそうにするチルノや大妖精、彼女たちの関係者ならほのぼのする光景を見せてくれたけど、宴会に参加してなければ見れなかった訳だ。

 

 絶対にあり得ない事ではあるけれど、もしエルが今でも紅魔館に家族として居てくれていたなら、今の様な光景を毎日見れたりしただろうか。

 

「皆、放置してごめんね! それと、リーシェ。今からリーシェの紹介を何人かの実力者にするんだけど……大丈夫? もしお願い出来る?」

「勿論、大丈夫だよ」

 

 過去の思い出に浸りながらそんな光景を見続けていると、一旦会話の区切りついたらしいフラン姉様にお願いされたので了承、残った妖精さん全員と共にレミリア姉様たちの待つ場へと向かう。

 

(……)

 

 で、フラン姉様による私の紹介が始まった訳だけど、案の定レミリア姉様が口を挟む間すらない程に熱弁(自慢)し始めた。実力者の人たちに至っては若干引き気味になりつつも、紹介の体は成しているため、しっかり耳に入れてくれている様だ。

 

「相変わらずの溺愛ぶりね。無論、私もリーシェの事は大好きよ」

「ありがとう。だから、姉様2人の妹として生まれてこれて良かったって思えてる」

 

 私と言う存在がとても大切に思われていると実感出来るから、嬉しい事は嬉しいけど……現時点では、チルノと大妖精を除いた幻想郷の住人からの期待値を正直あまり上げたくないとも思っているから、そこだけは引っかかる。

 

 まあ、フラン姉様のあの笑みと私の気持ちのどちらを取るべきかと問われれば、今の状況を鑑みても()()()()()()()笑みの方だと答えられる。なので、期待値云々は心の中に秘めておく事にするけど。

 

「それじゃあ、リーシェ。何か一言とかある?」

「えっと、皆様、今後ともよろしくお願いいたします」

「ええ、よろしく」

「おう、よろしくな!」

 

 身振り手振りを交えた紹介がようやく終わると、フラン姉様から一言を求められたため、取り敢えず丁寧な挨拶をしておいた。今の雰囲気に合致するかどうかは分からないけど、皆の反応は悪くない。

 

(何故……?)

 

 しかし、6人の中の1人……傘を持った緑髪の妖怪さんだけが、何故か笑みを浮かべて私を見ているのは気になる。紹介時からその兆候はあったけど、挨拶をしてからそれが明確に分かる様になった。

 

 それが興味を持ったが故の仕草なのは分かるけど、私には全く今の挨拶のどこに興味を持つ要素があったのかが理解出来ない。ただ、家族に害が及ぶ様な事がなければ別にどうでも良いので、声は特にかけないでおく。

 

「さてと、役者は揃った事だし……改めて、私らで宴会始めようぜ! 自己紹介は、まあ途中にでもすりゃあ良いか」

 

 そんなこんなで色々考えながら行った私の挨拶が終わり、魔理沙さんが持っていたお酒と見られる飲み物が入ったグラスを掲げた事で、私たち紅魔館側を加えた実力者グループ内での宴会が始まる。

 

 で、妖精さんたちのテンションが高潮してきているお陰か、掛け声が想定を遥かに超える大きさで思わず耳を塞いでしまう。

 私の普段が普段だから仕方ないにしても、これでは流石に妖精さんたちに申し訳ないから、早めに慣れて煩わされない様になりたい。

 

「ねえ、貴女の持ってるその本……」

 

 しっかりと食事前の挨拶を行い、目の前に広げられた数々の美味しそうな和食を手に取ろうとした瞬間、アリスさんに話しかけられた。万が一に備えて持ってきた魔導書に対し、興味を惹かれた様である。

 

 一瞬、頭の中で面倒だから適当にかわそうとの考えがよぎったものの、わざわざ話題になりそうな物を自分の判断で持ってきた故の結果である。中身を見せろと言われている訳でもないし、ここは可能な範囲で受け答えをするべきだ。

 

「これですか。愛する家族を守るための最新魔法が記してある、自作の魔導書です」

「なるほど。リーシェとって、館の住人たちはとても大切な存在なのね」

「はい。私の命よりも遥かに大切で愛しくて……まあ、実際には皆が悲しむので、扱いはほぼ同等を心がける感じでいますが」

 

 普段よりも強く、館の(家族)への愛しさを感じながら問いかけに答えると、アリスさんは何かに対して納得したかの様な仕草を見せた。で、いつの間にか側で話を聞いていた文さんまでもが、何故かほぼ同じ仕草をしていたのは、流石に少し気になる。

 

 可能性としては対峙した当初、私が2人に対して怒りを抱いた理由を察したと言うのが大きいだろう。だとしたら、結構危ない奴だと思われていそうではあるが、それならそれで好きにすれば良い。

 

 館の家族や友人、友人と親しい人や恩人など、いくつかの例外を除く警戒対象や興味関心のほぼない他人からどう思われていようと、全く気にならないのだから。

 

「しかし、お前って妖精にしては本当強かったよな。相当鍛えてるだろ?」

「はいっ! 紅魔館の門番補佐をレミリアさまに任されている以上、鍛えて強くならなければ話になりませんから!」

「門番か。そりゃ強い訳だぜ」

「それに、他の妖精たちも幻想郷の普通の妖精と比べれば強いし、忠誠心に至っては天狗と同等以上に強固だったしね」

 

 とは言うものの、愛する家族について真意はどうであれ褒めてくれているのを見聞きすれば無条件で嬉しいし、とても誇らしい。褒められている門番の妖精さんが、感情を抑えきれず喜んでいるのなら尚更である。

 

 しかも、そのお陰か相対的に私へ向けられる興味が減少し、他の妖精さんたちや姉様2人との会話に割ける時間が増加していた。出されている美味しい和食の数々も合わせて、先入観で来ない選択肢を選ばなくて本当に良かった。

 

 もし来なければ、姉様2人の本当に嬉しそうな笑顔、楽しそうにはしゃいで遊ぶ妖精さんたちの姿は見られなかったし、むしろ悲しそうな顔をさせてしまうところだった訳だから、そう思うのも当然と言えば当然か。

 

「おーい、リーシェ! 結構経ったけど、もうそろそろ無理かー?」

 

 思考を巡らせつつ、鍋からよそった『味噌汁』を味わっていた時、遠くからチルノが私を呼ぶ声が聞こえてきた。どうやら、いつの間にかそれなりの時間が経っていた様だ。

 

 そんな感覚はなかったのだけど、姉様2人や妖精さんたちとの交流はどれだけ低く見積もろうと、私にとって魔法研究を決して下回る事はない程に幸せを感じる一時だ。体感経過時間と実際の経過時間にズレが生じるのも、致し方ないだろう。

 

「ごめん。約束したから、行ってくるね」

「謝らなくても良いわ。行ってらっしゃい」

「ふふっ……楽しんできてね、リーシェ!」

 

 と言う訳で、姉様2人含めた宴会に来た家族全員に謝り、アリスさんたちの方にも頭を軽く下げてから、チルノたちが居る方へ足を運んでいった。

 




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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