目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はフラン視点です


賑やかな人里巡り

 和菓子屋『和ノ雲』でお菓子を食べたりして楽しんでいた時、霊夢や魔理沙に声をかけられた私たちは、その場の流れでお店を立ち去った後も、2人も加えて人里巡りを行っていた。

 

 当初の予定よりも人数が増えてしまった分、お姉様やリーシェと会話する時間が減ってしまってはいるものの、不満などは微塵も感じていない。

 

「何か、予想以上に人数増えたよね。お姉様」

「ええ。でも、増えてくれたのが霊夢と魔理沙だったから、かなり都合が良かったわ」

 

 理由としては、増えた2人が幻想郷で異変解決者として名を馳せていて、向けられる負の感情が更に激減している上、付き合いは短いものの魔理沙とは仲の良い友達であり、一緒に居て楽しいと思えているからである。

 

 無論、だからと言ってお姉様やリーシェが楽しそうで幸せそうにしていなければ、例え霊夢や魔理沙に対してでも多かれ少なかれ、不満を抱いていたと思う。

 

 とは言え、あまりにも酷いなどの要件を満たさなければ、お姉様やリーシェが行動を起こす前に私がでしゃばるつもりはない。計画者ですらないのだし、当然の帰結だと言える。

 

「リーシェ。お前って、姉2人の事をどう思ってるんだ?」

「遥か昔から、どんな時でも不変の愛情を注いでくれている、とっても愛しくて、心の拠り所で、いざと言う時に命を投げ出す事すら厭わない程に、大切な存在と思っています」

「うぉっ、確かにこいつは凄いな……でも、お前が死んだらレミリアもフランも泣くぞ。気持ちは分かるが、自分の命は大切にしろよ」

「重々承知しています。あくまでも、()()ですから」

 

 と思っていると、リーシェが魔理沙の問いかけに強すぎる意思のこもった答えを返す光景が、私とお姉様の目と耳に入ってきた。言い付けを守りつつ、今まで以上に私とお姉様を慕ってくれているみたいで、感動のあまり目に涙が浮かぶ。

 

(……それさえなければなぁ)

 

 が、問いかけた魔理沙が気圧される程の想いの強さに『根源の力』封印による副作用が加われば、本当にちょっとした事でも影響を受けて精神状態が悪化する可能性が高いと、高らかに宣言されているも同然である訳だ。

 

 今考えてもしょうがないのは分かってるが、私たちのせいで苦しむリーシェなど見たくもないし、ふとした時に頭に浮かんでしまうのも仕方ない。

 

「フラン姉様、どうかしたの? 大丈夫?」

「あの、もしかして体調が良くなかったりします?」

「ううん、考え事してただけだから大丈夫! ごめんね!」

 

 とは言っても、そのせいでリーシェや大妖精から変な心配をかけられてしまったので、反省した上でこれ以上考えるのは止め、今は人里巡りを楽しもう。

 

(ん?)

 

 すると、前方から、実年齢はもとより見た目でも私たち姉妹、チルノや大妖精より年が下に見える女の子が1人、こちらを目指して走って来ているのに気づいた。

 結構リラックスしていたのと敵意がないせいで、全員が気づいた時にはかなり近くに居たものの、ぶつからずには済んだのは幸いだ。

 

「あの、私たちに何か……?」

 

 で、その子供は私やお姉様の周りを謎にぐるっと回ってから、リーシェの問いかけを無視して私たち姉妹をじっと見つめると言う行為をし始める。

 

 表情を確認してみたら、敵意がないどころかむしろ今まで見かけた人里の人間たちと比べて非常に好意的と感じたが、まるで理由が分からない。勿論、それ自体はありがたいが、心当たりがないだけに思考が巡りめぐっていた。

 

「助けてくれてありがとね! 私のお兄ちゃんとお母さん、今はとっても元気にしてるよ! じゃあ、ばいばーい!」

 

 ただ、その理由は女の子が去り際に残していった言葉によって、 いつぞやあった人里の住人保護が関係していたと理解出来た。大切な存在を殺されれば実行したのが誰であれ憎い様に、自分の親兄弟を助けてくれた相手であれば、私たちの様な妖怪であっても好意的になるだろう。

 

「何かしたっけ?」

「実際に治療したのは私たちじゃないけど、紅魔館で人里の住人を2人保護したって時があったじゃん」

「あー……うん、そんな事あったね」

 

 ちなみに、お姉様は同じく子供が何故そう言葉を発したのかが理解出来た様だけど、リーシェは完全に忘れているのか首をかしげていたので、簡単に解説してあげた。

 そこでようやく思い出したものの、どうでも良いと言わんばかりの返事を返してきたのはまあ、基本他人に無関心な性格からしてしょうがない。何事もなく、すぐに解決した事柄だから尚更か。

 

「妖怪に襲われてた住人の保護で恩を売ったのかと思えば、その後に異変を起こして不安と恐怖を与えて……あんたたちの行動原理が分からないわ」

「ふふっ、運命の導くがままにって奴かしら」

「はぁ。でもまあ、異変みたく厄介な面倒事を起こさなければ、()()()()()好きにやって良いけど」

「へぇ、結構寛容なのね」

 

 そして、今の光景を見た霊夢が若干呆れ顔になっていたけど、ここ1年の私たちの行動を鑑みたらそうもなるだろうと納得した。

 

 なお、住人の保護は言ってしまえば紅魔館にとっての損得を考えた結果の判断で、異変を起こしたのも紫からの依頼を受けただけなのだけど、わざわざお姉様との会話に割り込んでまで伝える必要もないので言わない。

 

「おぉ。結構な大所帯だな、チルノ」

「えっと、あたいと大ちゃんでリーシェたちに人里の案内をしてたんだ! 霊夢と魔理沙は、後からくっついて来ただけだけど」

「そうなのか。まあとにかく、楽しそうで何よりだ」

 

 お姉様と霊夢のやり取りを見たり、周りの風景を見たりしながら歩いていると、先導役のチルノや大妖精の足が『寺子屋』と書かれた看板のある建物の前で止まった。ほうきで掃き掃除をしていた(チルノや大妖精と親しい)妖怪……慧音に声をかけられたからだろう。

 

 霊夢や魔理沙ともそれなりの親交がある様で、チルノや大妖精程ではないものの会話も弾んでいる。まあ、かたや幻想郷でも指折りの異変解決者、かたや人里の守護者として名を馳せている妖怪(半妖)なのだし、どこかで繋がりが出来ていてもおかしくはない。

 

「ようこそ人里へ。にしても、格好が物凄く暑そうだが……」

「どちらかと言えば暑いです。けど、日光対策もありますし、私自身肌を露出する格好が猛烈に嫌いなので、薄着にはなりません。耐えられる程度ではありますから」

「なるほど、それなら強制は出来ないな」

 

 そんな事を考えていた時、ふとリーシェの夏着とは思えない暑そうな装いが気になったのか、慧音が歓迎の挨拶をした後に心配そうな表情をしながら声をかけていた。

 

 直接関わったのがあの時以外ない割には、まるで友達を心配するみたいな振る舞いなのが気になったけど……チルノや大妖精と仲良し故に、話を色々聞いているからか。考えつくとしたらそれしかない。

 

「リーシェ。これからも君の館の妖精共々、チルノや大妖精たちと仲良くしてくれるか?」

「そのつもりです。私自身は言わずもがな、妖精さんたちがとっても楽しそうで……幸せそうですから」

「そうか、良かった……是非ともよろしく頼む」

 

 今はまだ単なる知り合いに過ぎない関係だとは思うけど、私としては慧音の振る舞いはとても好ましく思える。お姉様も、恐らく似た考えに至っている事だろう。

 

 ただ、何だかんだで友達になったとしても、お互いのすべき事やリーシェの性格などと言った要素から、2人が揃って人里や紅魔館で遊んだりする機会は少なそうだが。

 

「さてと、時間を取ってしまってすまない。2人共、リーシェたちをしっかり案内してあげるんだぞ」

「はい! えっと……皆さん、待たせてごめんなさい! 今から行きます!」

 

 お姉様や魔理沙、霊夢と他愛もない会話をしながら思考を巡らせていると、慧音とのやり取りを終えた大妖精からの声がかかったので、軽く会釈をしてから全員でこの場を後にした。

 

(うん、やっぱり来て良かった!)

 

 にしても、ここを合わせても2か所しか訪れておらず、各々の場所での滞在時間もさほど長くはないものの、現時点での満足度は結構高い。

 

 まあ、今まで見聞きした経験がないものが殆んどな、新鮮味のある賑やかな場所、大好きな家族や交流のある面々とのお出かけと言う要素が加わって、満足感を得られないはずなどないか。

 

「この様子だと、妖精メイドたちだけで遊びに行かせても問題なさそうね。多少トラブルはあるかも知れないけど、運命は悪い方向を向いていないし」

「うん! 他にも色々問題はあるけど、館の皆の力を借りれば何とかなるもんね!」

「そうだね、フラン姉様」

 

 で、寺子屋前を立ち去ってからは、道行く人々や里の雰囲気を楽しみつつ魔理沙たちと会話したり、平行して館の住人の人里巡り云々についての話し合いをお姉様やリーシェと行っていた。

 

 吸血鬼異変が終わって少し経つまで考えた事がないのも相まって、安全云々とは別の方向で難しい問題が立ち塞がっているものの、皆の力を合わせればいずれ解決可能な問題である。

 

「フラン! 人里、楽しんでくれてるか?」

「勿論だよ! ねっ、お姉様もそうでしょ?」

「ええ。貴女たち2人の案内のお陰でもあるわ。ありがとう」

「それなら良かった!」

「えへへ、楽しんでもらえたなら良かったです!」

 

 仮にもし、自分たちだけで無理そうだったとしても、魔理沙や霊夢を含めた幻想郷の友人、または知り合いが数人今の私たちには存在している。だから、あまり深く考え過ぎる必要はないだろう。

 

「あの……もし良ければ、この中で少し私とお話してもらえませんか?」

 

 そうして更に歩き続け、大通りに面している『鈴奈庵』と書かれた建物の前を通り過ぎようとした瞬間、中から出てきた紫色の髪と花の髪飾りをつけた人間に声をかけられた。どうやら、私やお姉様やリーシェと話をしてみたいらしい。

 

(うーん……話をしてみても良いかな)

 

 目的は不明なものの彼女からは現時点で負の感情を感じず、お姉様が少し興味を示しているのに加え、私自身も話をするのを嫌とは考えていない。なお、リーシェは興味なさそうにしてはいたものの、一応聞いてみたら好きにして良いと言ってくれている。

 

「レミリアたちの好きにしてくれて構わないぜ。私らは勝手についてきてるだけだし、その間適当に本でも読んで待ってるさ」

「あたいと大ちゃんも同じだぞ! と言うか、どのみちここには寄るつもりだったし!」

「ふーん。その割には最初、通り過ぎようとしてなかった?」

「あー……恥ずかしながら、阿求さんに声をかけられるまで私もチルノちゃんも、忘れてたんです」

「ははっ、お前ららしいな!」

 

 そこへ更に霊夢や魔理沙、案内役のチルノや大妖精も私たちの好きにしてくれても良いと意思表示をしてくれたため、彼女……阿求のお願いを受け入れ、皆で一緒に建物の中へと入っていった。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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