目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今日もフラン視点です


御阿礼の子

「えっと、私は稗田阿求と申します。自己紹介が後になってしまってすみません」

「別に気にしなくても良いわよ」

 

 皆と一緒に鈴奈庵へ入り、私たち姉妹だけ更に奥の部屋へと案内された後、すぐに阿求から色々と説明を受けたのだけど、あまりにも予想外で驚いていた。

 

 何故なら、声をかけた目的が『幻想郷縁起』と呼ばれる幻想郷に住む人ならざる者の解説書に私たちの事を記すためで、同時に見せてもらったそれには多くの妖怪や神などの情報が、結構詳しく載っていたからである。

 

(労せずして恐れを得れる……か。本当にまずい箇所を隠せば、情報提供に損はなさそうだね)

 

 妖怪や神個人の私生活やアピールを取り入れるなど最近は変わりつつあるらしいが、元々妖怪などから身を守る資料として作られただけあって、危険度に合わせたちょうど良い塩梅で恐れを抱かれる、双方にとって実に都合の良い仕様となっていた。

 

「さてと、何から話そうかしら? 名前とか簡単な奴は文の新聞で得られるだろうし」

「悩む位だったら本人に質問した方が楽だよ、レミリア姉様。と言う訳で阿求さん、何か聞きたい事があれば遠慮なくどうぞ。時と場合によってはぼかしたり、答えたりしないかもですけど」

 

 お姉様も実物の幻想郷縁起を見てそう思ったのか、完全にノリノリで情報提供をする意思を示したため、ひとまず私も色々と考えるのは止めた。

 性質上、最初からかなり踏み込んだ話になるのが想定されるし、どう答えを返すか思考を巡らす方に力を必要性が高いのだから当選だろう。

 

 しかし、最初の質問は予想に反して、生まれてから今まで500年近く歩んできた軌跡についてだった。

 虚を突かれた形になったけども、能力や弱点などの問いよりは一部を除いて答えやすかったので、お姉様やリーシェと一緒に色々と振り返りながら話をする。

 

「姉様、もうそろそろ話を戻そう。阿求さん困ってるよ?」

「あら、結構一方的に話込んでしまった様ね。申し訳ないわ」

「構いません。しかし、『文々。新聞』にも書かれていた通り……いや、正直それ以上の()()()ですね。まさか、あれで結構控えめとは予想出来ませんでした」

「ふふっ……まあ、今までが今までだからなぁ」

 

 なのだけど、流れでリーシェの強すぎる自己犠牲精神についての詳しい話をしてから、私とお姉様の気分が高揚し過ぎたのかいつの間にか、当初の目的が頭から抜けた上に話が脱線していた事に気がつく。しかも、気づけたのは自分たちの力ではなく、リーシェに諌められたお陰だった。

 

 幸いにも、阿求本人が困りはすれどイライラする様子は見られなかったから、もう少しだけ続きを話そうかとも思ったけど、流石に諌められても続けるのは違う。

 それに、お姉様も話の脱線を修正して軌跡解説に戻った訳だから、妹自慢を続けたい欲求を抑えて私も解説に戻らなければならない。

 

「ありがとうございます。お三方、終わりなき事象に対して良くそこまで頑張れますよね」

「ええ。自分の身を守るのは勿論、いつか迫り来るかもしれない館の皆への脅威に備えて、更に磨いていく必要もあるから。それを考慮しても、リーシェはちょっとアレだけど」

「だよね。でも、それ故に自身の能力の扱い方は1番凄いから……うん。流石は自慢の妹!」

「……えへへ」

 

 と言う事でさっさと話を戻し、一部をぼかした上で私たちの能力や『吸血鬼』の弱点などについてを説明したり、()()()()()()()に妹自慢を入れたりした。

 

 が、頭を撫でた時にリーシェが見せた笑顔が相当可愛く、そう時間も経たない内に抱いていた決意は揺らぎ、大幅に脱線してでも愛する妹自慢をしたい欲求に駆られたが、本人に諌められた手前そうする訳にもいかないので、何とかこらえる。

 

(私たちの解説、どうなるのかな?)

 

 同時に思ったけど、妹や姉自慢はもとより話の結構な部分に館の家族自慢が含まれている。一体、阿求はこれをどう幻想郷縁起に落とし込むのだろうか。

 

 まあ、他の妖怪たち……幽香や萃香の項目を見る限りだと話の半分程度は削られた上で、残りを誰が見ても分かりやすい表現に変えられる流れとなるだろうが。

 

「さてと、ありがとうございました。もしかしたら今後、他の館の方々にもお話を聞きに伺うかも知れないです」

「そうなの? じゃあ、阿求の事は周知しておくけど……本人の意思は尊重して。酷く嫌がってるのに無理やり話を聞き出したりしたら、問答無用で追い出すわよ」

「勿論、心得ています」

 

 少し先の事を想像しながら3人で一緒に説明を続け、公開可能な情報を全て出し切ったところでお姉様が一転して真顔となり、最後に阿求へ忠告を行った。普段はあまり表に現す事はないものの、内心では誰よりも館の皆を想っているが故の発言なのが、ひしひしと伝わってくる。

 

 けど、今までのやり取りからして後日阿求が紅魔館の皆に話を聞きに来たとしても、お姉様の心配する様な事はほぼ起こらないだろうし、あまり心配し過ぎない様にしよう。

 

「随分長かったのね。阿求との話は終わった?」

「ええ。大分待たせてしまって、ごめんなさいね」

「私と魔理沙なら特に気にしなくても良いわよ。それと、チルノと大妖精なら外でかき氷食べてるわ」

「待つ限界っぽかったしな。それよりも小鈴、本5冊借りてくぜ!」

「えっと……あっ、分かりました! 期限までに返して下さいね!」

「1週間後だろ? 分かってるさ」

「相変わらずの本好きね、魔理沙は」

「まあな。してみると案外楽しいもんだ、読書ってのはさ」

 

 最後のやり取りが終わり、案内された部屋を出てからは随分待たせてしまった事を謝り、『小鈴』と呼ばれる女の子との話していた霊夢と魔理沙、外でかき氷を食べ終えそうだったチルノと大妖精に声をかけて人里巡りの続きを再開した。

 

 にしても、魔理沙が借りた本の中に地下の大図書館でも見かけた高難度の魔法解説書があったけど、人里の中にある鈴奈庵に置いておく理由が謎である。

 

 相応の実力と知識の魔法使いでなければ書いてある用語の意味を理解する事は難しく、そもそも普通の人間や力の弱い人外であれば特殊な例外(能力・術技持ち)を除くと、タイトル含めた文字を読む事すら非常に困難だとパチュリーが言ってた代物だからだ。

 

 とは言え、当然何を置こうがそれは鈴奈庵の主の勝手であり、特に私たちがどうこう言う必要も権利もない。

 

「大ちゃん、次はどこに行く?」

「うーん……里長さんの紙芝居とか、騒霊3姉妹の音楽祭は今日じゃないし、後はお土産屋さん位しかないけど……」

 

 そんなこんなで歩いていると、私たちを先導していた2人が突然ちょっとした広間みたいな場所で止まり、次の行き先が少ない事で悩み始めた。お土産屋以外だと里の中を歩き回るだけとなり、それでは私たちが楽しめないと考えているらしい。

 

(責任感凄いなぁ。リーシェの大切な友達でもあるし、別にそこまで求めてないのに……いや、それ故なのかな?)

 

 しかし、そうだとしたら間違いである。霊夢や魔理沙はともかく、私たちにとっては見るもの全てが目新しく、単に歩き回るだけでも結構楽しめているからだ。

 

 と言うか、お姉様やリーシェと一緒のお出かけが出来ている時点で、単なる散歩になったとしても楽しい一時と思える。まあ、流石に棒立ちのまま話もせず居ろと言われれば無理だけど。

 

「そんなに気を遣わなくても、私と姉様2人にとっては全部新鮮なものだらけだし、構わないよ。ね、そうでしょ?」

「ええ。短期間に何回も来てるなら別だけど、今日が初めてだからね」

「そうだね。チルノと大妖精の気の向くまま、行きたいところを案内してくれればそれで良いと思ってるかな」

 

 なので、同じ事を思っていたお姉様とリーシェに続いて、案内役の2人の負担を軽くするための言葉をかけると、ほんの少しだけ雰囲気が和らいだのを感じた。分かってくれた様で何よりである。

 

「よし! 取り敢えずあそこのお土産屋寄るか!」

 

 で、その後は案内された小さなお土産屋へと入り、並んでいた商品の値段も含めてしっかりと吟味し、特に気に入ったタオル類やアクセサリーなどを手にとって店主の下に向かい、購入した。

 

 本当なら美鈴や咲夜、パチュリーにこあたちにも買ってあげたかったものの、今の私たちにそれをするだけのお金はない。魔理沙たちに助力をお願いすれば可能だとは思うけど、流石にそこまではする気になれなかった。

 

 それに、良く考えたらお土産を買わずとも、友達と人里で沢山遊んだり会話をしたりして既に楽しんでいる。ともなれば、今買ったお土産を配る程度は大した事ではないし、むしろそっちの方が喜んでくれそうである。

 

「お姉様、リーシェ。今買ったもの全部、美鈴たちにあげない? 私たちはもう十分な位楽しんだしさ」

「ふふっ、確かにそうね。良いアイディアだと思うわ」

「うん、私も異論はない。けど、あげられなかった家族たちへの補填が……まあ、私が頑張れば済む事か」

 

 そんな訳でお土産屋を出た後、頭の中で考えていた事を提案として話してみたところ、何の迷いもなく了承してもらえた。何だかんだ、姉妹3人で考える事は一緒みたいだ。

 

 無論、紅魔館には妖精メイドさんたちを含め100人を超える住人が居るため、買ったお菓子込みでも全員に均等に配るのは不可能と言う問題があるけど、その辺は致し方ないと割り切った。

 

(頑張らないとね)

 

 だから、その分私たちが紅魔館独自でお金を得られる流れを構築し、焦らず出来る限り早めにある程度貯蓄に余裕を持たせられる様に、努力しなければならない。

 

「チルノちゃん。リーシェちゃん、凄く眠たそうだよ」

「あー……確かに! 今まで耐えてたのが限界近くなってきたって事はじゃあ、今日はここまでかな?」

「だと思うぜ。まあ、真昼間にこれだけ歩き回れば、吸血鬼だし当然か」

「その割に姉2人は元気そうだけど……とんでもない力を持ってるわね」

 

 心の中で決意を固めていると、チルノたちの会話からリーシェの眠気が限界へ達しかけていた事に気づく。恥ずかしながら、楽しさのあまり気を配りきれていなかった様だ。

 

 眠いなら伝えてくれれば良いのにと思ったけど、私とお姉様が楽しそうにしている上他にも4人居れば、本人の性格上我慢してしまうのもしょうがない。なので怒ったりはせず、帰った後に今日みたいな状況でも眠ければ言って欲しいと、軽く伝える程度に留めておこう。

 

「皆、私たちに付き合ってくれてありがとう。今日はここで終わりにさせてもらうわ」

「私も楽しかったよ! じゃあね!」

「ふぁぁ……チルノも大妖精もありがとう。霊夢さんと魔理沙さんも、姉様2人を楽しませてくれてありがとうございました」

 

 そして、リーシェ抜きで人里巡りを楽しむ考えは微塵もなかったため、今日はここで切り上げると皆に伝え、付き合ってくれたお礼の言葉を述べてから私たち3人は人里を立ち去っていった。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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