目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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イタズラ3妖精

「さてと。いきなりで悪いけど、こっちから質問させてもらうね」

「分かったわ。何でも聞いて」

 

 怖がり妖精さんを大泣きさせた、奇っ怪なイタズラを敢行した3人組の妖精さんを追い詰め降参させた後、私は何よりもまず彼女たちに質問を投げかけた。

 内容は、目の届かない敷地内でイタズラの有無、これらの行為が自分たちの意思決定か否かと言うものだ。後は、おまけで能力の概要についても尋ねてみている。

 

 その際、無駄に怯えさせたりして変な方向に状況が進むと嫌なので、私自身の立ち振舞いには気を遣っているものの、これが妖精さんでなければこんな面倒な事はせず、探知してからすぐ問答無用で捕まえた後に窓から投げ捨てていただろう。

 

(大丈夫だろうけど……)

 

 当たり前だけど、返答によっては彼女たちへの警戒度をあげるか、最悪当主の末妹としての権利を行使する必要が出てくる。

 ただ、経緯がどうであれ愛する家族へ強制力を持った命令を下す行為は、私にとって苦痛を伴うものだ。相手が妖精さんなのも、それに拍車をかけていた。

 

 だから、お互いのためにも悪意ありの一線を超えた行為や、超えてなくても酷い怪我をさせたり心を酷く痛めつけるイタズラをしていないのを願うばかりである。

 

「返答ありがとう。一応聞くけど、その話は全部本当?」

「この状況で嘘をつく必要なんてないし、全部本当よ!」

「うんうん。イタズラをより楽しむために、色んなところから情報を仕入れてきたもんねー」

「そう。だからこそ、さっきの子の反応は想定外も良いところだった」

「「あはは……」」

 

 けどまあ、3人の『瞳』を見るに自分たちの意思で、私や美鈴や怖がり妖精さん以外にもレミリア姉様や一部の妖精さんに対し、バナナの皮もしくは擬きを主として使ったイタズラを決行、その反応を見て楽しんでいただけと言う話は本当なのだろう。

 

 であるなら、敷地内へ侵入する少し前から今までずっと、各々が備えていたと言う能力を巧みに使いこなし、主目的を達成する寸前まで至れたのは本当に凄い。

 

 応用の利く『光』の屈折制御能力、融通がかなり利く音の遮断能力、制限はあれど高精度かつ極低負担の生物探知能力……こんな上手く扱えているのは、私が魔法に使う時間と同等かそれ以上の時をかけた成果だと思っている。

 

(……ふふっ)

 

 同時に、隠密に非常に向いたこの力を扱っているのが悪意を持つ誰かではなく、無邪気な彼女たちで良かったとも思えてきた。今回のイタズラを容認した訳ではないけれど、これからも是非その性格のままで居て欲しい。

 

「よし、質問はおしまい。私が一緒に居てあげるから、今からさっきの妖精さんに謝りに行こう」

「分かったわ」

「皆がそう言うなら」

「同じく、異論はない」

 

 そして、聞きたい事をあらかた聞き終えてからは軽く一言二言交わしつつ、当初の目的を達成するために能力を使って怖がり妖精さんの居場所を捉えると、3人をそのまま連れていく。

 

 途中、他にイタズラを仕掛けられたレミリア姉様や一部の妖精さんたちにもしっかり謝らせるべきかとも考えたが、話を聞いてから見回りをお願いした鳥さんを通して様子を見るに、軽く一言二言交わす位で良さそうだ。

 

 後は、バナナの皮入りゴミ袋を持ったフラン姉様が一緒に居る件についてだけど、一応姉様の特徴を交えて聞いてみたところ、やってはいないとの答えが帰って来た。もしかしたら、イタズラ現場にたまたま居合わせ、頼まれるかして後片付けを手伝った後なのかも知れない。

 

「あっ! 咲夜から、リーシェも謎バナナまみれに……って、その妖精たちは誰? 結構仲良さそうだし、もしや友達?」

「リーシェさま、お友達増えた?」

 

 何だかんだ、お互い自己紹介をそっちのけにする位会話を弾ませながらいると、駆け寄ってきたフラン姉様たちから先に声をかけられたので、今まで聞いた話を出来る限り分かりやすく説明し始めた。

 

(まあ、そりゃそう言う反応にはなるか)

 

 この状況では当然の流れなんだとは思うけど、まさか私が紅魔館各所で頻発していたバナナの皮イタズラに関わった犯人、住人ではない妖精さんを連れていたとは思わなかったらしく、何とも印象に残る驚かれ方をされてしまう。

 

 加えて、その後3人組のイタズラ妖精さんの方へ近寄り、これから何かしますと言わんばかりの視線を向け、時が止まったのかと錯覚する程に動きがなくなってしまった。見る人が見れば、睨み合っていると考えるに違いない。

 

「バナナに呪われたとかじゃなくて良かったぁ。これで安心してバナナが食べれる!」

「ふふっ、そう言う前に食べ始めてるじゃん。相変わらずだよね」

「うん! でも、こんなに美味しいのに館の皆があんまり食べないから、話が合わなくてちょっと悲しい」

「そっか。何かごめん」

 

 とは言え、すぐに肝心の怖がり妖精さんが明らかにホッとした表情をして、懐から取り出したバナナの皮を剥いて食べ始める光景を見れば、負の感情を抱いてはいないと分かったので良かった。

 フラン姉様も、レミリア姉様たちへのイタズラについて特に思うところもないらしいし、尚更だ。

 

 想定される最悪の結末が来るかもと焦り、身構えた身としてはこれ以上ない展開である。可能ならこのまま仲良くなってくれれば嬉しいけど、あくまでもそう思うだけでこちらからしゃしゃり出るつもりは毛頭ない。

 

 自身の大分変わっていると思われる考えを押し付けるのは良くないし、そうでなくとも友達は誰かに強制されてなるものではなく、自然となるか本人同士の話し合いなどを経てなるものだからだ。

 

「えっと、許してもらえたって事で良いの?」

「わたしはね、許すもなにも最初から怒ってないよ! 腰を抜かす位に怖かったけど!」

「直接何かされてないし、一線を越えていなさそうだから私も同じかな。でも、だからと言ってまたして良い訳じゃないけど」

「勿論、謝った以上もうやるつもりはないわ。バナナの皮を用意するのも大変だし」

「確かに。いくら大好きな食べ物でも、1度に沢山食べるのはキツかった」

「バナナ好きなの!? じゃあ、お友達になろ!」

 

 もし介入するとしたら、内心で友達となる事を望んでいて、かつ私に仲介して欲しいと依頼してきた時だけだろう。下手を打てば関係が崩れる可能性がかなり高い故に緊張感が凄いものの、いざとなれば全力で事に挑むつもりでいる。

 

(賑やかだなぁ)

 

 まあ、フラン姉様は言わずもがな、そんな姉様よりも他人と仲良くなる能力が優れている怖がり妖精さんなら、すぐに自分の力で凄く仲良しな友達になれるはずだ。

 そうなれば、十中八九私の介入など必要なさそうだし……難しい事は今は考えず、ありとあらゆる不調を消し去ってくれる眼前の光景を脳裏に焼き付けておこう。

 

「あっ……リーシェさま、ごめんなさい!」

「ごめん。話に夢中になるあまり、貴女の事を忘れてた」

「大丈夫。それと、私の事は呼び捨てで構わないよ。妖精さん」

「分かった。だったら、私たちの事も呼び捨て……いや、愛称で呼んで」

「えっと……それなら、3人がお互いを呼ぶ呼び方と同じでも良いかな?」

「うん。私がルナ、オレンジがかった金髪の妖精がサニー、濃い茶色長髪の妖精がスター。今までのやり取りで分かってるかも知れないけど、一応伝えとく」

 

 完全に蚊帳の外状態となりながらも姉様たちのやり取りを眺める事体感で数分、その場の流れで3人のイタズラ妖精さんとの自己紹介を簡単に済ませた。知り合いからではなく、短い間のやり取りで友達として認めてくれたのは嬉しい。

 

(なるほど、そう言う事だったんだ)

 

 しかし、彼女たちの中でも亜麻色に近い金髪の妖精さん……ルナが妙に会話に積極的だった理由が、私と趣味嗜好に類似点が多かったからとその後のやり取りで聞いた時は、納得でしかなかった。自分も、話の合う人との会話は楽しいと思えている訳だからだ。

 

 なお、その情報の仕入れ先は同じ妖精故に交流のあるチルノや大妖精、3日前に文さんを通して完成を知った幻想郷縁起からとの事らしい。

 

 今までは興味が全く湧かなかったから、姉様2人の項目だけ見て私の項目は見ていないが、自分がどう解説されているのかざっと目を通す位はしてみようかとは思えてきた。今度遊びに誘われた時にでも、忘れなければ確認してみよう。

 

「へぇ、そんな事が出来るなんて凄いね。お姉様にもバレず、リーシェにすら成功させるなんてさ」

「ええ! でも、途中からは手も足も出なかったわ。私たちの能力が全く通用しないなんて驚きよ」

「だろうね。全力で警戒態勢に入ったリーシェって、そう言う類いの能力や術技持ちに滅法強いし」

「うぇっ……」

 

 で、そのついでとはなったものの、すぐ後にフラン姉様や怖がり妖精さんとも、ほぼ同様の自己紹介をしてもらった。私に言った時と同じく、フルネームではなく愛称呼びをお願いしていた事から、短いやり取りの間で友達認定してくれた様である。

 

(眠い……)

 

 これで後は、今のと流れがほぼ同じ感じでレミリア姉様や一部の妖精さんたちと、軽い謝罪を含めたやり取りをしてもらうだけになったのは良いものの、よりによってこのタイミングで急な眠気が襲いかかってしまう。

 

 時間が時間だから仕方ないにせよ、再び必要となった入浴も済ませていないし、達成すべき重要事項がまだ1つ残っている以上、本来ならまだ寝るつもりはない。わりかし強めではあっても、1時間程度なら耐える事が可能な位だから尚更だった。

 

「リーシェ。眠たいなら、早く寝なきゃ駄目だよ!」

「フランさまの言う通りだよ、リーシェさま」

「あー……うん。それなら、ルナたちをレミリア姉様とイタズラされた妖精さんに会わせて、軽く謝らせておいて。後、お風呂はもう1度入ってくるから」

「分かった、任せて。それと、お風呂は入るにしても軽めで、上がった後に魔法研究とかしたら怒るからね!」

 

 しかし、眠気がしたと同時に速攻でそれを察知したフラン姉様から、可愛くも少し恐怖を感じる笑顔を見せられ釘を刺されたため、軽めの入浴後はすぐ寝なければいけなくなってしまう。

 

 勿論、釘を刺された事に対して別に不満などないし、ルナたちも『それならしょうがない』と言ってくれたから、ここはその通りにするつもりだ。

 

「じゃあね。今度はゆっくりお話でもしよう」

 

 と言う訳で、フラン姉様と怖がり妖精さんにルナたち3人の事をお願いし、若干の申し訳なさを感じながら私はこの場を後にした。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

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