ルナたちと新しく友達になってから1ヵ月半が経ったある日の昼間、私は『魔法の森』と呼ばれる場所をのんびり歩いていた。彼女たち3人が住みかにしていると言う大木を利用したツリーハウスへ、遊びに行くためである。
他の友達が住んでたり、
有害な
(日傘がほぼ必要ないのは嬉しいけど……)
ここへ更に、不思議な『力』による
けれど、飛行阻害以外はもらった魔法地図兼注意書きを元に対策が組めはするし、そもそも環境が面倒な程度でルナたちと楽しく遊ぶ予定を変えるつもりはないから、このまま向かっていく。
「ようこそ我が家へ! 昼間なのに、遊びに来てくれたの?」
「うん、そうだけ――」
「じゃあ、上がって上がって! 靴は脱いでそこの棚に入れておいてね!」
自分の足音と息遣いと風の音のみがハッキリ聞こえる静寂の中、もらった魔法地図を頼りに歩き続ける事40分、風のドーム内部にある目的地に到着し家の扉をノックしようとした瞬間、出てきたサニーに歓迎を受けた。
加えてすぐ後、奥の方で何かしていたルナとスターも私の方を見るなり、作業の手を止めてまで歓迎してくれて、本当に嬉しい限りだ。
(わぁ……!)
で、歓迎の挨拶を終えてから即、自室を含めて家の中を案内してもらったのだけれど……全ての場所に、自然物由来のものが沢山あっで凄い。広さの割に物が多めだが、紅魔館とはまた違う落ち着いた雰囲気が非常に自分好みで、ゆったりくつろぐのに良さそうな場所だと感じた。
更に、魔理沙さんの助力によって敷地内では魔法の森特有の環境による不快な要素を完全に排除、森の入り口にちらっと見えた『香霖堂』経由で仕入れた趣味に使う道具も揃っていて、暮らすには結構快適との事。
唯一、家へ帰るために私と同様歩く必要があるのはどうにもならなかったらしいが、そもそも普通の人間さんでなければ注意すべき事象が極端に少ない上道中にはそれが一切なく、諦めても問題はなかったみたいだ。
(うん。流石、逞しい妖精さんたちだね)
暮らしづらい要素があって困っているのなら、上手く手を回して助けてあげようと思っていた私だったものの、この様子ならむしろ何もせずにいた方が正しそうである。と言う訳で、今から思考を完全に楽しく遊ぶ方面に舵を切らせよう。
「リーシェ。何をしたいか、リクエストある?」
「お酒を飲む事以外なら、内容はルナたちに任せるよ。外で遊ぶのも、中で遊ぶでも、単にのんびりするだけでも大丈夫」
「分かった。確か、嗜む程度が限界なんだっけ?」
「うん。姉様の誕生日とか、特別な日は別だけど」
3人による案内がひと通り済んだ後は、何をしたいかのリクエストを求められたけど、その辺は別に決めていなかったので丸投げした。無論、そうするからには話し合いがどれだけ長引こうとも、決して不満を言わず抱かず居る事を誓う。
考えるのが面倒な訳ではないが、自分が選ぶとなると十中八九家の中で出来る事ばかりになってしまい、外遊びが大好きなサニーとスターを仲間外れにしかねないから致し方ないだろう。
「じゃあ、私たちのイタズラ会議に参加して、一緒に意見とか交わし合ってもらわない? 信頼出来る友達となら、きっと楽しくなる」
「良いけど、それだけじゃ退屈しちゃうと思うし、魔法の森大冒険も入れたいわ! 環境はちょっとあれだけど……」
そう考えていると、少しテンション高めなルナとそれに便乗したサニーにより、長引くどころか30秒足らずと言う短い時間でこれからする事が決まった。余程、貴重な時間を考える時間に充てたくない様である。
「ふふっ……ありがとう。私もだよ」
「……? まあ、どういたしまして。後、会議中の飲み物はコーヒーで良い?」
「良いよ。えっと、2人はどうする?」
「私はリンゴジュースでお願い!」
「取り敢えず、私は水で良いわ」
だとするなら、3人が非常に仲良し故なのは言うまでもないけれど、友達になったばかりの私が輪に加わったとしても、考えがほぼ変わらずにいてくれるのは嬉しいものだ。
改めて宣言する事でもないとは思うが、こんな関係を崩さぬ様に、これからも自分の立ち振舞いには気をつけていかなければならない。
(勇気あるなぁ……)
ルナが皆の飲み物を用意し、リビングで軽く一息をついてから『イタズラ会議』と呼ばれる話し合いが始まったものの、序盤で今度の対象者があの文さんであると分かり、驚いてしまった。
理由は知らないけど、初めて1人で外出をしようとした際に姉様2人から、面倒極まりない事態になるから絶対に入るな近寄るなと、口を揃えて言う『妖怪の山』を住みかとしている妖怪さんだし、当然の話だ。正直、少し心配に思えてくる。
「完全成功が目標なんだし、やっぱり隠蔽に特化した方が良いよ。そう言えば、自分の能力を維持出来る時間って短いの?」
「私は常時発動もやれば出来るわ。2人はどう?」
「スター程じゃないとは思うけど、それなりに長く使える自信ならあるわ!」
「集中して本を読む時とかに使ってて鍛えられてるから、サニーみたく長い時間使おうと思えば使えはする」
「そっか。答えてくれてありがとう」
だったら止めた方が良いんじゃないかと言われそうだけど、イタズラの内容が水風船を不意打ちで投げつけるだけと言う可愛らしいもので、なおかつルナたちが非常に楽しそうにしていたから、とてもじゃないけど止める気にはなれなかった。
むしろ、うっかり行き過ぎたりしない様に釘を刺しはすれど、少しでも成功確率を上げるために後方から応援したい気持ちが芽生えている。
勿論、実際に応援すれば間接的に参加したとみなされ、無関係で居られなくなるのは間違いないけども……まあ、その辺はどうでも良いか。
「へぇ、決行は2週間後? ルナたちって、本当に慎重派だね」
「まあね。ここ最近、イタズラの成功率がすこぶる悪いから、考える時間を増やしてみたんだ」
「そうなのよねー。でも、魔理沙に加えてリーシェも協力してくれるなら、きっと成功するわ」
「スターからのプレッシャーが半端ないなぁ。まあ、出来る限りの力は尽くすよ」
そんなこんなで、最終的に今回計画されたイタズラへ私も協力すると決まったところで、この会議は幕を閉じる事となる。
合間に関係ない内容の会話を挟む相当長い話し合いではあったものの、美味しいコーヒーも相まって普通に楽しく過ごせた。眠気もお陰様か全くせず、まだまだ余裕で遊ぶ事すら可能だ。
「さてと、魔法の森大冒険行きましょ! 眠気の方は大丈夫?」
「うん、今日は大丈夫だよ」
「なら良かった。無理してまで遊んでもらっても、嬉しさ楽しさが半減しちゃうもの。こんな魔法までかけてもらったから尚更ね!」
「あはは……家族と友達全員から、これでもかって位言われてるし、その辺は凄く気を付けてる」
なので、もう既に魔法の森大冒険モードへと突入している3人と一緒に、
なお、これは自作ではない生活系魔法を流用しただけであるため、万が一私が開発したものと誤解されないための補足も忘れない。開発を頑張ったであろう魔導書の執筆者さんに、大変失礼なのだから。
「これ、飛ばなくても上手く姿勢を変えればちょっと浮けるのね! 普通に妖力で浮くのとは違う感覚で面白いわ!」
「それに、うっかり転んでも泥だらけとかにはならなそう」
不快要素が皆無となったからか、道中お互いの『
(……)
実にほのぼのする光景で、わざわざ遊びに出向いて良かった訳だけど、良く考えたら今まで遊びに来てもらってた際、大なり小なり不快に思わせていた事になる。普通の人間さん身体や精神への影響は大した事がないとは言え、もう少し出向く回数を増やすべきだろうか。
いや、それより私が居なくても自由に使えたりする様に、直接ないし魔導書の貸し出しなどを行って魔法の会得を支援する方が先だ。例え少しでも気分良く遊びに来てもらえるのなら、全部ではないにしろ自分の時間をあげる程度は躊躇いなくやろう。
「本当、相変わらずね! 普段は『
「あっ、そうなんだ。誰かから教えてもらったの?」
「魔理沙よ。一応、生活魔法って分類の魔法らしいわ」
「へぇ……うん。魔理沙さんなら、ひと安心」
けれど、心の中で固めていたその決意は話の流れで打ち明けた瞬間、眩しい笑顔のサニーが発した一言によって、一切必要ではなくなる事となった。流石は魔理沙さん、フラン姉様やパチュリーが褒める魔法使いなだけある。
なお、使えるはずの水守の羽衣を今日の大冒険に使わなかった理由は、防御にも使えるのに加えて属性が水と光、つまり私にとって相性が非常に悪いものであるが故に、万が一がありそうで怖いかららしい。私の身体を気遣ってくれて、感謝感激でしかなかった。
(ふふっ……良かったね。皆)
しかし、生活の快適性向上と一定の防御性能を両立させた魔法を教えられたと言う事は、魔理沙さんにとってもルナたちは大切な友人なのだろう。
まあ、妖精さんの中でも結構なイタズラ好きである点は賛否両論かも知れないが、見た感じ彼女は妖精さんと波長が合いそうだから、当然の帰結だと断言しても良い。
「あっ、魔理沙だ! おーい!!」
思考を巡らせながら、ルナたちと過ごすこの一時を楽しんでいると、少し遠めのところで何かしている魔理沙さんを発見した。
と同時に、サニーが喜んで駆け寄って行ったため、私たちもそれに続いて走って向かった。
ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。
幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?
-
1人
-
2人
-
3人
-
追加しない方が望ましい