目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今更で申し訳ありませんが、幻想郷の住人に名前付きのオリキャラを追加するのはしない事としました。


幸せな心地

 テンションの特に高いサニーに続いて何かをしていた魔理沙さんのところへ駆け寄った私たちは、その流れで一緒に道を外れたところにあるキノコの群生地帯へと足を運んでいた。

 魔法の森にのみ生えるらしい、魔法や魔道具の研究開発などに有用かつ必要だと言うキノコの採取の手伝いをサニーが申し出た事で、そのまま行う流れになったからである。

 

「ルナ、この土色キノコが目的の奴かな?」

「えっと……模様が微妙に違う。これは擬きの方」

「……本当だ。流石はルナ、魔理沙に何度も付き合ってるだけあるね」

 

 今日はルナたちとの楽しい会話をしながら、見るものほぼ全てが未知なこの森を歩いて見て回り、眠気次第で家で遊んで終わると考えていただけに、これは予想外の展開だった。魔理沙さんに会ってキノコ狩りを手伝う、事前に聞いてなければ分かるはずはない。

 

 こんな風に、気まぐれで遊びの内容が大きく路線変更される流れになった訳だけども、特に不満などは感じていない。私を友達と認めてくれたルナたち3人が、心から幸せで楽しくしている光景を見れさえすれば、それで良いと考えている。

 

(あれ? 魔理沙さん、もしや無防備……いや、違う?)

 

 ふと、サニーと話す魔理沙さんが目に入った時、私たちとは違って人間さんにも関わらず、パッと見森の環境に対する一切の防御手段を講じていない事に気づいた。なのに、体調を崩している様子が微塵も感じられないのは何故だろうか。

 

 不思議に思って能力で見たところ、純粋な魔力の量は大きく減少してはいたものの、それを埋める程に良質かつ多量な(嫌な位強力な)水の力、次点で光や火の力で満ち満ちている事が判明した。

 十中八九、無意識に活力源かつ害なすものに対する守護の壁として、魔理沙さんの身体が相性の良い属性の力へと、魔力を変換しているのかも知れない。

 

 となれば、キノコの瘴気(胞子)含めた森の環境が人間特効なのを加味しても、体調が悪い時に余程どぎつい濃度かつ極長時間暴露しなければ、普通の場所と変わりない生活が送れるに違いない。まあ、そう思ってても心配に思う気持ちは拭えないし、一応タイミングを見計らった上で本人には聞いておこう。

 

「ん? ああ、なるほど。自分で言うのもあれだが、こう見えても私の耐性は妖怪並だから大丈夫だ。流石に、そこら辺のキノコを見境なく食ったりしたらヤバそうだと思うが」

「そうですか。えっと、やせ我慢してません?」

「疑り深いな。リーシェって、そんな奴だったか?」

「うーん……何だかんだ、フラン姉様とパチュリー経由で魔理沙さんとは付き合いありますし、少しその辺りの事情が気になるだけですよ」

「そうか。まあ、心配してくれてありがとうな」

 

 そんな訳で聞いた結果、魔理沙さんは慈愛の眼差しを私に向け、感謝の言葉を送ると同時にまるで子供をあやすが如く、優しく頭を2度撫でてきた。案の定、私の心配は全く必要なかったらしい。

 

(……うぅ)

 

 命よりも大切な私の家族や友人を除いた赤の他人……ではなく、付き合いが何かと多い()()()()に初めてされた行動であるものの、正直言って()()()()()()()()()

 理由としては、私が撫でられた時を含めた行動や雰囲気の中に、今でも変わらず忘れた事などない、居なくなる寸前の大好きな母様を想起させる部分が存在したからである。

 

 館の家族や友人以外に撫でられる事自体珍しいのに、まさか幸せな一時の記憶の想起が起こるなんて、予想外にも程がある。魔理沙さんとの相性が、比較的良いとでも言うのだろうか。

 

「やべっ……何かすまん、泣かせるつもりはなかったんだ!」

「分かってます。その、貴女は何も悪くないですから」

「良かった……訳ねえよな、これ」

 

 あんな形で母様が居なくなると、井の中の蛙だった当時は考えられなかったのもあるけど、今更ながら本当に馬鹿だったと思う。元気な内に、自分の時間を半分以上割いてでも沢山甘える選択肢を取らなかった過去の私を、思い切り殴り飛ばしてやりたい。

 

「リーシェ、大丈夫? 魔理沙が何か嫌な事してきたの?」

「ううん、違う。たまたま撫でられてた時に、もう2度と姿や声すら見聞けない大切な人との記憶が、急に甦ってきただけ。むしろ、嬉しかったかな」

「そう。いきなり泣き始めるから、ビックリしたわ」

「……誤解させてごめんね、スター。皆も、ごめんね」

 

 思い出の想起で高ぶった感情が時間と共に落ち着き、声をかけてきたスターを含め要らぬ心配をかけた皆に謝った後は、心機一転してキノコ探しを再開した。幸せな思いをさせてもらったお礼に、沢山見つけて喜ばせられれば更に嬉しい。

 

(よしっ!)

 

 そんな私の思いが通じたのか、先程よりも擬きではない本物のキノコを見つけられる頻度が、僅かながら増えてきた。結局、それでも皆より駄目なのは変わりないけど、いくつかまとめて採り、報告する度に喜んでくれる皆は本当に優しい。

 

 しかも、体感的には大分長い時間過ぎたはずなのに、珍しく眠気や疲労感が全く感じられないため、魔理沙さんを含め何だかんだその辺に敏い皆に気を遣わせずに済んでいる。

 

 館の家族との一時には劣れど気分が高揚している故か、前日に睡眠を沢山取った故か、森の環境などの要素が重なった故かは不明なものの、都合が良くてありがたい。私としても、まだまだルナたちと遊んでいたいのだから。

 

「いやぁ、お前らのお陰で助かったぜ。ありがとうな!」

「どうって事ないわ! じゃあ、私たちはこれで行くわね!」

「おう、楽しんで遊べよ」

 

 他愛もない会話を楽しげに交わし、更に長い時間がかかりつつも、各々持たされたかご一杯に目的のキノコを採り終えると、魔理沙さんにそれを手渡して挨拶を行い、私たちは元気良くこの場を立ち去った。

 

(さて、次はどこかな?)

 

 さんざん歩き回るなどして、体感的に長時間経ったために忘れそうになったけど、魔法の森大冒険としてはもらった地図上で見て、現在は2割にすら満たない割合の達成率だ。『アリス邸』や『香霖堂』、『森水(りんすい)の大洞窟』や『霧雨魔法店』などの大きい場所、他の細かなスポットも加えれば枚挙にいとまがない。

 

 無論、全部回るのは決定事項ではあるが、どう考えても今日中に回りきるのは不可能なため、どこかキリの良いタイミングで切り上げる必要はあるだろう。夜中はともかく、太陽が出ている間の長時間外出は館の家族、特に姉様2人や美鈴に凄い心配されてしまうから尚更そうだ。

 

 まあ、そうは言っても眠気やだるさは皆無で、ルナたちの気分も最高潮なこの状況下で帰るつもりなどないけども。

 

「ありがと。私の気まぐれに長々と付き合ってくれて嬉しかったわ」

「どういたしまして。私も楽しかったし……それで話変わるけど、次の行き先は決まってる?」

「まだ遊んでくれるのね! うーん、どうしようかな……」

 

 時折休憩を挟みつつも歩き続け、未だ元気ハツラツなサニーに次の行き先を尋ねたところ、少々考える時間を置いてから、森の入り口付近でちらっと見かけた香霖堂へ向かうと決まった。

 現在地から距離的にはさほど離れていなかったので、寄り道をし過ぎない限りはすぐに着くはすだ。

 

(店主さん、どんな人だろう?)

 

 ルナたちが自分の家関係でお世話になり、いつの間にか姉様2人や咲夜も寄った事があり、その上で咲夜が定期的に買い物をしに行く選択を取る程のお店とは知っていたから、個人的に森の中では1番気になる場所であった。

 お金は多めに持ってきてはあるものの、買い物出来るかは売ってる物の値段次第だけどまあ、取り敢えず到着してから考えよう。

 

「こんにちはー! 来たよ、香霖!」

「君たちか。いらっしゃい……おや? その子は紅魔館の……」

「友達のリーシェよ! 今、一緒に魔法の森大冒険してるの!」

「そうかい。にしても、外出を好まない人物だと方々から聞いていたから、ここで会うとは思わなかったね」

「本当、ビックリしたわ! 何せ、外嫌いなのに私たちのためにわざわざ来てくれたんだもの!」

「ふむ……」

 

 少し急ぎ足で歩き続け、そう時間も経たない内に目的である香霖堂へと到着した後にすぐに店内へ入ると、のんびりお茶をすすっていた温厚そうな銀髪の男性店主さん……サニーに『香霖』と呼ばれた彼から出迎えられた。立地が立地だから、相当暇だったのかも知れない。

 

(……)

 

 周りを見渡すと、かなり古びていた外観に違わぬ内装の店内、初めて見た気のしない不思議な道具やガラクタ、とても強力そうな魔道具、他にも興味をそそる色々なものが沢山目に入ってきた。聞こえてくるオルゴールの綺麗な音色とゆったりした曲調も相まって、雰囲気はより様になっている。

 

 で、これらの物品の近辺に値札ないしそれに類するものが見当たらない事から、店主さんと一対一での交渉で値段を決める形式なのは確実だ。正直言って、この類いの交渉経験の一切ない私には面倒でしかなかった。

 

「初めまして。僕は森近霖之助、この古道具屋の店主をしている者だ」

「えっと、既にご存知みたいですが一応……初めまして、リーシェと申します」

「丁寧にどうも。君の望むものがここにあるかは分からないが、ゆっくり吟味していってくれ」

「はい。是非ともそうさせて頂きます」

 

 でも、先程のルナたちとのやり取りの様子、今の私とのやり取りで霖之助さんは第一印象通り、温厚かつ丁寧な人だと分かる。商売人かつ販売の形式上、ある程度はふっかけてくるだろうけど、交渉がしやすそうなのは幸いだ。

 

 それとは別に関係のない事だが、森の環境的に良く暮らせているよなと一瞬思ったけど、彼は慧音さんと似た感じの気配を放っている。種族的に影響を受けにくい性質を持っているはずだし、問題なさそうだ。

 

「守護のブレスレットにネックレスに……そんなに沢山魔道具欲しいの? 自分で凄いの作れるのに必要?」

「うん。館の妖精さん用を、取り急ぎいくつかね。自作の奴だけだと、どうしても時間がかかり過ぎて」

「なるほど。家族のためなら、自分の時間とお金を惜しげもなく使うところ、凄くリーシェらしい」

「えへへ……喜んでくれると良いな。あ、でもお金足りるかな?」

 

 色々考えながら、改めてこのお店に並べられたものを良く見て回り始めた訳なのだけど、まさか出来る限り早くどうにかしたくてしょうがなかった問題が、全てではないにせよ解決に大きく前進させられる魔道具が沢山あるとは思いもしなかった。

 

(今年の運、使い果たしちゃったかも)

 

 自分の興味の赴くまま、面白そうとか便利そうなものを買おうかと最初は思っていたものの、そんな考えはすぐに消え去った。妖精さんたちが好きな時に安心して人里などへ遊びに行き、楽しく幸せに過ごせる手助けが出来るなら、時間はもとより持ってきたお金を全部使う程度安いものだ。

 

「どれどれ……うん、他の商品を買える程度の()()()()()()()()。君が欲しいのなら、だが」

「えっ? でも、凄い魔法技術が使われてる魔道具なのに、入手とか絶対――」

「僕の自作だから心配要らないし、こちらとしても都合の良い価格だからね」

「そうですか」

 

 なんて思ってたら、棚に置かれていた7つの防御系魔道具を全て買えるどころか、加えて他の商品も買えそうな位の余裕があると、霖之助さんが私に教えてくれたので、迷いなくお金を手渡して買った。

 足りない以外の理由で買わないつもりはなかったけど、いざ更なる幸運が舞い込んできたとなれば、それはそれで嬉しい事である。

 

「良かったね、リーシェ。欲しいもの全部買えて」

「うん。運良くお金が余ったし、休憩終わったら何か買ってこうかな?」

「ふふっ、それは良い事ね。でも、無理して買う必要はないわ」

 

 そうして、自分が興味をそそられる物品を買おうとする思いが復活してきたのだけど、スターが休憩したいと言ってきたため買い物を一時中断、霖之助さんの計らいで居間に案内してもらった。

 要所要所で休憩を挟んでいたとは言え、それ以外の時はほぼ全開で楽しくはしゃいでいたから、疲れが溜まっていてもおかしくはないだろう。

 

 古びた壁掛け時計が指す時間も午後4時半を過ぎているし、私も少し疲れていたから、休憩が終わったら目星をつけているものを数個買い、今日は冒険を終わらせるべきだ。また別の日に改めて、行けなかったところに行けば良い。

 

「あの……お楽しみのところすみません。リーシェお嬢様、そろそろ帰ってきてもらえませんか?」

 

 などと思っていたのだけど、休憩を終わりにしようとしたこのタイミングで何故か香霖堂に美鈴が現れ、帰って来て欲しいとお願いしてきたため、それはまたの機会となりそうだった。

 

(あー……うん、今すぐ帰ろう)

 

 なお、来た理由を聞いたら、姉様2人とクレイナ似の妖精さんから私の様子を見に行き、あわよくば帰ってくる様に促して欲しいとお願いされたからとの事。特に、クレイナ似の妖精さんは半泣き状態らしく、今は姉様2人と一緒に待っている様だ。

 

「ごめんね。そう言う訳だから、もう帰る」

「うん、分かった。また今度、冒険の続きしよう」

「了解! それが理由なら仕方ないわ!」

「慕われてて良いわね。まあ、分かる気がするかなー」

 

 と言う訳で、もう少しだけ待って欲しいとお願いするのは止め、ルナたちに謝った上で霖之助さんに挨拶してから、美鈴と一緒に紅魔館へと帰っていった。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

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