目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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末妹と魔理沙

「ようこそ、私の部屋へ。楽しんでいってくれると嬉しいな」

「おう、ありがとな。リーシェ」

 

 数日前、数々の出来事と半年程の時間を経て晴れて友達となった()()()を、私は今日自分の部屋に招待していた。無論、フラン姉様との予定がない事を確認済みだ。

 

 赤の他人ないしちょっとした知り合い程度の相手なら、招待はおろか例え頼まれても、完全なプライベート空間となっている自室には入れたくない。見られて恥ずかしいものの類いは置いていないが、その辺は関係ない。

 

 ただ、チルノや大妖精を筆頭とした大切な私の友達であれば、話は別である。お願いされれば自室に入れたりするのは勿論、自分から誘う事だってやぶさかではないが。

 

 なお、魔理沙で例えれば霊夢さんやアリスさんの様な、友達の友達に該当する人妖、紫さん一行の様な恩人が相手な場合は、状況に応じて対応を変えるつもりだ。

 けど、部屋に入れる事自体は嫌ではないし、自分から誘う可能性もある程度は存在している。

 

「何と言うか、やたらベッドの数が多くないか?」

「これ? 増やしてもらったの。私の寝相とか関係なく一緒に寝たがる、妖精さんたちのためにね。1番仲の良い子なんか夜型に変えてきたから、ビックリしたよ」

「そりゃ驚くわな。まあでも、懐かれるのは良い事だろ?」

「うん。本当に、とっても幸せ」

 

 部屋の広さは姉様2人の自室を超えるものの、内装に拘りをあまり持っていない故に面白味には欠けている。人里や香霖堂で買った遊び道具などは主に妖精さんたちの部屋へと置いているため、人によっては少し退屈な場所と思うだろう。

 

 正直、もう少し何か置いておくべきかと心配に思ったけど、魔理沙は退屈そうな態度を見せる事はなかったから、このままで行く。

 まあ、遊び道具はなくとも自作の魔導書を含めた沢山の本、妖精さん特製のクッキーや咲夜の紅茶を多めに用意してあるから、私の不安は杞憂に終わる事となるだろう。

 

「しっかし、どんな生活してたら誘導陣術なんて代物を思い付くんだよ。 そいつを元にした魔法の欄……うわっ、エグいな。こっちの奴の方も見て良いのか?」

「うん、どうぞ」

「ありがとう……なるほど、こいつはお前らしい。何がなんでも守ってやるって意思を感じるぜ」

「まあね。でも、これが役に立つ時って即ち……」

「大切な家族や友人、自分の危機だもんな。役に立つ時なんか、来ない方が良い」

 

 案の定、魔理沙はまるで妖精さんの如くキラキラした瞳で、用意した魔導書を見ながら、楽しそうにしてくれている。

 私はそんな彼女の様子を眺めつつ、基本受け身での会話に徹するだけではあるけど、結構楽しめているから大丈夫だ。

 

 それに、あくまでもフラン姉様と居る方が楽しいと、魔理沙には思っていて欲しい。私の方は、その次か次の位置がちょうど良い。

 

 今日は何をして遊んだとか、プレゼントをもらって嬉しいとか、細かな事柄を真っ先に報告してくる時の、可愛くて幸せそうな表情や仕草を見れる点を考慮すれば、むしろ最高と言っても過言ではない。

 

 無論、友達になってくれた以上不快ないし退屈な思いをさせず、楽しんでもらう事には全力を注ぐ。

 愛する家族は言わずもがな、友達に嫌われると考えるだけでも怖くて震える質なのだし、当然の摂理だろう。そうでなくても、普通の事なのだけど。

 

「それじゃ、私が持ってきた奴も見るか?」

「魔理沙の魔導書? 良いの?」

「勿論だ。そもそも、見せたくないなら持って来ないさ」

「確かにね。じゃあ、お願い」

 

 一通り私の用意した自作魔導書に載っている魔法の説明を終わらせた後、今度は魔理沙が自作魔導書を見せてくれる事になったので、勿論頷いてお願いした。

 

 霊夢さんには劣れど幻想郷の住人の中では屈指の実力者、かつパチュリーも関心を寄せる程の魔法使いが書いたものなのだ。友達云々抜きにしても、気になる代物である。

 

(スッゴいなぁ……)

 

 分かってはいた事だが、そこに書かれている術式はかなり複雑で、並大抵の魔法使いには扱える代物ではなかった。故に、防御に回復に補助魔法、どれも状況をひっくり返せる可能性を秘めたものとなっている。

 

 攻撃魔法に至っては、八卦炉などのマジックアイテムの補助がなくとも、最大火力が凄まじいものが殆んどであった。無論、それらアイテムの補助があれば、推して知るべしだと言えよう。

 

「あー……うん、訳分からない。魔理沙が凄いって事だけは理解出来たけど」

「だろ? めげずに何年も頑張ってきた成果だしな」

 

 しかし、それらを上回る衝撃を、魔理沙が確立させた魔法調合・錬成術について解説している本を、ありがたくも見せてもらった時に受けた。私がその方面の知識や技術に疎いせいもあるが、それを抜きにしても高度なものだったからである。

 

 解毒・解呪・魔力回復・身体能力上昇などが可能な各種魔法薬、各種金属錬成に必須な材料と手順、自己防衛用の使い捨て低コスト魔道具作成、これらをたゆまぬ努力で成し遂げたのだ。

 

 本人は色々な人妖から直接・間接問わず支援を受けたお陰でもあると言っていたが、それでも十分凄いと断言出来る。

 私だって、初期こそ完全な独学で魔法を研究開発していたけど、強固な防衛態勢を即座に構築出来る魔法が出来たのは、他ならぬパチュリーやこあ、姉様2人による支援のお陰だ。

 

「でも、努力をし続けてきたって点なら、リーシェだって同じだろ。『ディスターサージ』だったか? あれなんか、努力の賜物の最たる例だと思うぞ」

「うん。サジタリウスの烈矢、これが効かないか完全に迎撃してのける敵が、いつ何時現れるか分からない以上、改良更新は続けないとだし」

「そりゃそうだ。でも、無理し過ぎて体調を崩したりしたら本末転倒だから、気を付けろよ。フランからも、口うるさく言ってくれって()()()頼まれてるし」

「あはは……」

 

 もし、今でも初期の頃と同じ感じで、魔法の研究開発・改良を1人で行っていたとしたら、こんなに早く最新世代の魔法が出来ていたとは思えない。

 

 何なら、サジタリウスの烈矢を筆頭とした、現在でも主力の防御魔法群が出来ていたかすら怪しく、愛する館の家族から笑顔が消えるどころか居なくなっていた可能性すらあった。

 

「魔理沙。今度また遊びに来る時、良ければアリスさんも誘ってきて。約束、守らなきゃいけないし」

「おう、分かった。場所はどうする?」

「私の部屋で良い。もしかしたら、パチュリーも一緒になるかも」

「了解。バッチリ伝えとく」

 

 幻想郷には私の知る中では2人、魔理沙は言わずもがなアリスさんも優れた魔法使いだと知っている。紅霧異変の時何気なく約束した事もあるし、それを守ると言う意味もあるから、魔理沙経由でお願いしておこう。

 

 弾幕を見るだけでもそうだけど、人形に命が宿ったと思わせる滑らかさで操り、何なら『上海』と『蓬莱』とアリスさんが呼ぶ人形2体に至っては、超複雑かつ難解術式の付与により自律1歩手前の領域まで到達させている。

 

 専門分野は多少違えど、そんな彼女が持つ魔法の技術や知識は私の魔法をより昇華させてくれるだろう。

 当然、その対価として私が持つ魔法の技術や知識などの開示が必要にはなってくるとは思うが、まあ良い。アリスさんなら、信用出来るからだ。

 

 無論、魔法の知識や技術などの面で今後も継続してパチュリーやこあ、姉様2人の支援を受けられる時は受けていくのも変わらない。

 私の趣味でもあるものの、愛する家族や大切な友達の笑顔と幸せを守るために、欠かす事の出来ないものなのだから。

 

「ん? おお、どうした? フラン」

「あっ。えへへ、バレちゃった」

 

 なんて事を考えていると、魔理沙が突然居ないはずのフラン姉様に声をかけ始めた。そのため、後ろを振り向いてみると本当にいつの間にか、笑顔を浮かべたフラン姉様が立っててビックリしてしまう。

 

 どうしたのかと聞いてみると、単に私と魔理沙が仲良くやってくれているか、気になって見に来ていたとの答えが帰って来た。妖精さん以外では初めての友達だから、だろうか。

 

「ごめん。楽しそうにするリーシェ見てたらさ、我慢出来なくなって……私も一緒に混ざっても良い?」

 

 すると、フラン姉様は自分の心に秘めていた思いを正直に、私へと伝えてきた。なるほど、こっちが本命の理由と見て良いだろう。

 しかし、最初に言った理由も嘘ではないのは確かなので、時間が経つにつれて後者に心が傾いていったが故に、本命が変わったと思われる。

 

「フラン姉様だったら、私は大歓迎。だけど、魔理沙はどう?」

「好きにしたら良いぜ。魔法の話は沢山したんだ、ここらで一息つくのもありだろう」

 

 この場に混ざりたがっているのがフラン姉様であり、魔理沙も好きにしても良いと言ってくれているので、私は姉様も加えてこの一時を過ごすと決めた。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。

幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?

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