オリジナルスペルが1つ登場します。
「まあ、そりゃ居るよな……」
春真っ盛りの推定冥界に入ってから、大幅に弱体化したレティを幻想郷に送りに行ったリーシェと一旦別れた後、異変の主犯が居るデカい屋敷の方へ咲夜と向かう途中、1人の妖精に足止めされていた。
私たちの間では春の季語も同義の存在となっている妖精、春告精のリリーホワイト。幻想郷が異変によって真冬だからこそ、この場所に導かれてもおかしくはない。
チルノや大妖精、光の三妖精にクラウンピース、紅魔館の一部の妖精メイドのように常時強い力を発揮する事は出来ないが、季節が春になると途端に妖精の範疇を超える力を発揮するようになる。
加えて、ここに幻想郷中の『春』が集まっているのか、私と咲夜の眼前に居るリリーが纏う力は尋常ではない。相手が妖精だと思って挑みかかれば、まず間違いなく痛い目を見るだろう。
「ふふっ、魔理沙! 向こうの方は真冬だったけど、こっちは最高の春ですよー! 今年は私の季節がやって来ないのかと思ったら、そうじゃないみたいで良かったわー!」
「そうだな、リリー。でも、ずっとこっちに居る訳にはいかんだろ?」
「まあねー。流石に、いつかは元通りになってくれないと……もしかして、魔理沙と咲夜は問題の解決をしに来たのー?」
「おうよ! 勿論、相手が相手なだけに一筋縄じゃいかないだろうがな!」
「私はそうね。魔理沙と同じ理由なのもあるけど、1番はお嬢様の指示があったから……と言うか、私の事を知ってるのね」
「勿論! 紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。他の人妖ならともかく、妖精たちの間じゃ楽園として有名だから!」
「確かに、お嬢様は妖精をメイドとして雇われるものね。楽園扱いでも不思議ではないわ」
それに付随してか、リリーの気分も常時絶好調どころかかなりの興奮状態であるため、このままスルーして横を通り抜ける事は無理そうだ。
いやまあ、最悪1回休みにさせるつもりであれば強行突破出来ない事はないが、現状それをしなければならない程切羽詰まった状況下には置かれていない。
だからこそ、隣の咲夜もレティを送りに行ったリーシェも、警戒こそすれ焦りなどが見られないのだ
(しかしなぁ……)
単純に色々と遊んだりしたいのか、高ぶる気分を抑え切れずにぶつけたくなったのか、はたまた異変に介入しようとしているのか、何にせよすぐにどうこう出来そうにはないだろう。
内容によっては、霊夢が異変を解決するまで足止めされる可能性だってある。あんな事を言った手前、現場にすら行けなかったと言う事態だけは避けたい。
幸いにもここには咲夜が居るし、そう時間が経たない内にレティを幻想郷に送り終えたリーシェもこっちに戻ってくる。だったら、ここは咲夜にリリーの相手をお願いし、代わりに私は先に霊夢の下へ向かうこととしよう。
「なあ、咲夜。リリーの相手を頼めたりするか? 私は先に行って、霊夢と一緒に戦うつもりなんだが」
「別に良いわよ。それにしても、私も超強化された妖精と戦うことになるとはね。リーシェお嬢様と言い、縁があるのかしら?」
「ん? そこで何でリーシェが出てくるんだ?」
「魔理沙と合流する前、凄まじい強化をされたチルノとリーシェお嬢様が戦ったのよ。まあ、1度も当たらず涼しい顔で勝ったようだけど」
「ははっ! まあ、リーシェだしな。じゃあ、咲夜。悪い、先に行かせてもらうぜ!」
「ええ、こっちも事が済んだらすぐに向かうから。霊夢と魔理沙のコンビなら、私が行くまでに終わるかもだけどね」
結果、咲夜にも了承してもらえたことだし、リリーもリリーで
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「咲夜、私の弾幕はどう!? 普段よりも、去年以前の春よりも湧き出てくる私の力、とくと味わうといいわー!」
「リーシェお嬢様と相対したチルノと同等……いや、それ以上の力ね。たかが妖精と侮れば、痛い目を見かねないくらいよ」
魔理沙からお願いされ、高ぶる目の前の妖精……魔理沙はリリーと呼んでいた彼女との弾幕ごっこを受け持った私は、想像以上に厄介なその力に集中力を高め、対処にあたっていた。
元となった
加えて、条件の達成が厳しければ厳しい程、達成率が高ければ高い程、その強化度合いは変わる。場合によっては、普段は弱くとも下手な妖怪すら凌駕する可能性すら秘めるのだ。
ただし、そうは言っても個人差はあるし、他にも挙げようと思えば細かい条件は沢山あるため、一概にこうだと断定する事は困難と言えよう。
(お嬢様方や館の主力陣は勿論の事、幻想郷の大妖怪相手に比べれば……なんて事ないわ!)
普段、どの程度の強さの妖精なのかを知らないから何とも言えないが、私が今相対している
白や緑、桜色に輝く大小も形状も様々な弾幕が、凄まじい勢いでばらまかれるのを見れば、それは良く理解出来る。
込められた力も弾幕ごっこの範疇には入るもののかなりのもので、当たり所によっては危険性も高い。
弾速も速いため厄介だけど、直線的かつ一定の規則性があるためか、避けやすいのが幸いだ。と言うか、リリーを貶すつもりはないものの、この程度で当たるようでは紅魔館のメイド長は勤まらない。
レミリアお嬢様とフランお嬢様は、1度殺し合いをしたにも関わらず私を側に置いてくれたし、リーシェお嬢様も屈託のない笑顔で、館の住人たちも私を褒め、力も含めて頼りにしてくれたのだ。
吸血鬼狩り時代を含め、灰色だった人生に彩りを与えてくれた館の皆の安寧と名誉のためにも、そう易々と当たってはいられないのだから。
無論、相手を侮る気持ちから来る油断のせいで当たるなんて事は、実力で追い込まれるのと違ってそもそも論ずるに値しない。
「わわっ、全然当たらないし咲夜の
すると、この状況を打破しようとしてか、リリーが1つ目のスペル発動を宣言した。お互いに3枚のスペルを宣言出来る事になっているため、まだまだ序盤も良いところである。
(強化条件に悉く当てはまった妖精が、これ程厄介とはね)
弾幕の形状こそ
また、弾幕を発射する本人も地味に位置を変えてくるため、数秒から十数秒毎に最適な避け方が変化してくるところも、厄介な点の1つに数えられる。
それでいて、沸き上がる力にかまけたごり押し戦法を取っている感じはほぼせず、厄介さと弾幕が織り成す美しさは私の知る実力者たちにも決して劣らない。
もし、チルノのように季節外れでも強い力を発揮出来る存在ならば、是非とも紅魔館で美鈴が休みの日に、門番妖精メイドをしてみないかと誘おうか。
「むぅ……やっぱり強い。あんまり手応えなさそうだわー」
「そんな事はないわよ。私が出会った妖精の中でも、今のあなたは最高クラスの力量。と言っても、本格的に弾幕ごっこをした妖精はあなた1人だから、最高も最低もないのだけど」
「そうなのー? 館の妖精メイドとかチルノ、大ちゃんとかとはやってそうなイメージだったけど、違うんだねー」
「やる理由もないもの。精々、妖精同士の弾幕ごっこを観戦して、アドバイスするとかくらいかしら」
見失って不意を突かれる事がないようにリリーを注視しつつ、当たる危険性のある弾幕にも注意を払い、それでいてこっちからの攻撃も忘れないでいることおおよそ1分半、彼女のスペルが時間切れで解除された。
1つ目のスペルでこれだから、後に控える2つのスペルは同等かそれ以上の厄介さである事は、ほぼ間違いない。フランお嬢様とリーシェお嬢様のように、一定時間の耐久を強いるスペルを持っている可能性も考え、動くべきだろう。
(……)
それにしても、幻想郷に来てからは短期間で種族的にとんでもない強さの妖精が、かなりの高頻度で見つかる。
今相対しているリリーに加え、現状付き合いのある霧の湖の二大妖精に光の三妖精。
その光の三妖精の内、サニーが言う『クラウンピース』や『エタニティラルバ』なる、私は会ったことはないものの存在していて、強いらしい妖精2人。
種族的に強い妖精の人数だけなら、紅魔館の妖精メイドの方が上回ってはいるけど、それは私が生まれる遥か昔からお嬢様が、時間をかけてこつこつ雇い入れたから。到底、数年単位でほいほい見つかるものではない。
幻想郷の環境は、基本的に弱い存在であるはずなのに何故か強くなってしまうような、私たちにはまるで理解出来ない何かがあるのかも。
「紅魔館のメイド長相手に躊躇してても意味はないよねー。楽しくて、高ぶる気分のままに、宣言してみせるわ! 開花『四色のフリージア』」
「だったら、こちらも遠慮なんてしない……奇術『エターナルミーク』」
ほんの一瞬、頭の中にそんな考えが浮かんできたと同時、リリーは相変わらず楽しそうな気分だと分かる表情を見せながら、2つ目のスペルを宣言する。
なので、私もそれに呼応する形で1つ目のスペルを宣言し、対抗する事に決めたのだった。
幻想郷の住人に完全なオリキャラを追加するとしたら、どの程度なら許容範囲でしょうか?
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1人
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2人
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3人
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追加しない方が望ましい