目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


レミリアとフランの決意

「フラン。もう1ヵ月経ったから、リーシェのところに血を届けに行くわよ」

「お姉様……まだ全然集まってないよ? こんなに少なくて大丈夫?」

 

 食事をもらえていなかったリーシェに人間の血を飲ませてからおよそ1ヵ月、お父様やお父様寄りの他のメイドたちにバレないように保存用の瓶にコツコツ溜めた血を、お腹が空いているリーシェに届けるべく、私はフランと共に動こうとしていた。

 

 前回は瓶一杯に集める事が出来たのだけど、今回は手の平サイズの保存用の瓶半分しか集める事が出来ていなかった。2週間前にしくじって、食事用の血を瓶に入れているところをお父様に見られてしまったためだ。本当はこの量じゃ全然足りないのは分かっているけど、これ以上はリーシェが死んでしまうかもしれないので待てない。

 

「本当は大丈夫な訳ないけど、もう1ヵ月も経ってるのよ。少しでも血を飲ませてあげないと、飢え死にしちゃうわ」

「だよね……」

 

 フランも私と同じような事を考えていたようで、こんな少ない量で大丈夫なのかと不安そうに聞いてきた。だから私は、本当は瓶一杯に集めたかったけど1ヵ月も経っているから、この量だけでも飲ませてあげないと飢え死にの危険があると言う。すると、悲壮な思いを抱いていそうな表情を浮かべながら、フランは納得をしてくれた。

 

「取り敢えず、今はお父様の就寝時間のはずよ。だから、普通に行けば今日も何事もなくリーシェに血を飲ませてあげる事が出来るけど……」

「お姉様……もしかして、アイツ? アイツが来る『運命』が見えたの?」

「今、リーシェに血を飲ませに行く時に見えうる運命のルート全てに居たわ。最悪よ、本当に」

 

 ただ、私には血が集まらない事より、どうしても気になってしまうとても大きな事があった。それは、能力で運命を見た際に()()()()()()でお父様が現れ、確実に相対するためだ。正直、相対する事自体は想定済みだったから良いけれど、時期がまだ早い。いざと言う時の合体技の完成度も60%程しかなく、その他にも不安要素があるから、後1年は今みたいな感じでこっそり血を集めてリーシェの下へと届け、私とフランはその時のために力を付けると言う感じで耐えたかった。

 

 しかし、あの時私が盛大にミスをしたお陰で全てが台無しである。これさえなければほぼ計画通りになっていたから、いかに自分が仕出かしたかが良く分かった。

 

(私の馬鹿! あの時血を入れるところを見られなければ……!)

 

 まあ、既に終わった事を嘆いていても変わらない。こうなってしまったのであれば、今打てる最善の手を尽くすのみである。

 

「フラン。今から私たちがやろうとしている事は決して褒められるような事じゃないわ。それでも、覚悟は出来ているかしら?」

「大丈夫だよ、お姉様! いつでもやれるように、覚悟は出来てるから!」

「そう。全く……親殺しを決意するとは、私たちも堕ちたものね。まあ、現在進行形で殺されそうになっている妹を守るためと言う大義名分があるだけ、まだマシかしら」

「周りはどう判断するか分からないけど……少なくとも私はそう思ってる!」

 

 最善の手を尽くそうと決意した後、一応フランにも覚悟は出来ているのかと、私は問いかけた。心に迷いがあると、いざと言う時に私たちは勿論の事、リーシェの身に危険が及ぶ可能性が大きく上昇するためである。

 ただ、フランはもう既に覚悟を決めていたらしく、いつでもやれると堂々と言い放ったため、私の心配は杞憂に終わる事になった。これなら、いざと言う時も問題なく事が進むだろう。

 

「さてと、フラン。準備は出来たかしら?」

「勿論だよ、お姉様! リーシェを救い出すために私、身を削る覚悟で行くからね!」

「随分と頼もしいわね! じゃあ、行くわよ! フラン!」

「おー!!」

 

 こうして私とフランは、リーシェの命を守るために親殺しの咎を背負う覚悟を持って、地下室へと向かうために部屋を出る事を決めた。

 

「……」

「……」

 

 いつも通る廊下なのに、今日に限っては魔境へと続く道のように感じた。時折私たちの側を通るメイドたちが隙あらば私たちの命を狙っている吸血鬼狩り、もしくは私たちとほぼ同格の人ならざる何かに見えてくる位だ。まあ、今から私たちがやる事を考えたら、そう感じたり見えたりするのも仕方のない事だけれども。

 

 そんなプレッシャーに耐えつつも歩みを進め、大図書館を通り抜けて地下へと更に下る階段を進み、地下室の出入り口である重厚な金属扉を開け、中に入った。

 

「姉様……」

 

 すると、今にも消え入りそうな弱々しい声で私たちを呼ぶ、リーシェの姿が見えた。やはり、あの程度の量の血を約1ヵ月に1度位では、衰弱するのは避けられない道のようだ。

 

「リーシェ! また血を持ってきたから、もう大丈夫よ!」

「辛かったよね……でも、大丈夫だよ! それも、今日中に解決するから!」

「えっ? それってどう言う事……?」

 

 そうして、衰弱しているリーシェになけなしの人間の血を飲ませながら、フランがこの辛い生活も今日までだから頑張ってと励ましていると……

 

「レミリア、フラン……やはり、そうだったのだな」

 

 お父様が私とフランを、氷のように冷たい瞳で見据えているのを目にした。

 




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