目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


姉妹と父親の戦い

「あの時、レミリアが保存用の瓶に血を入れていた行為……案の定、俺の言い付けを無視してリーシェに与えていたとはな。分かっているか? お前たちのした事が、どれだけ『スカーレット家』の体裁に傷を付けるのかがな」

 

 こうなる事自体は既に能力を使って『運命』を見ていたのに、実際に怒りなどの感情が籠った視線に、ピリピリすると錯覚してしまうくらいの魔力の奔流を前にして、私はかなりの不安に襲われた。

 

 リーシェを守りきれるだろうか。守りきれたとしても、私とフランが無事で居られるのか。多少の怪我であれば良いけど、事が済んだ後に姉妹3人で笑顔溢れる生活が送れない程の怪我を誰にも負わせないで居られるのだろうか。これらの他にも、色々と頭の中を不安が過って行く。

 

()()の体裁なんて、知るか……知るかぁ……知るかぁーー!!」

 

 数々の不安に私が1人苛まれていると、お父様の体裁云々発言に激昂したフランが『レーヴァテイン』を構え、お父様に迫る程の魔力を解放した。その際瞳は赤く塗り潰されたような色に、翼の宝石部分が妖しく輝き始めていると言う、今まで1度も見た事のない状態になっていたため私は勿論、あのお父様ですら驚いていた。

 

「くっ! どこにそんな力が……まあ良い。レミリアとフランに少し――」

「リーシェの受けた苦しみを、思い知れぇーー!!」

 

 そんな時、お父様が私たちに何かを言い終える前にフランが猛烈な殺意を向けながらレーヴァテインを全力で横に振り、仕留めようと攻撃を仕掛けた。

 

「ちぃ!!」

「この……!!」

 

 しかし、腐ってもスカーレット家当主である。フランの全力を魔法防壁で腕がへし折れながらも防御に成功すると、無事な方の手ですぐさま首をへし折ろうと攻撃を仕掛けてきた。

 

「フラン……! させない!」

「ぐあっ!」

 

 当然、そんな事はさせるつもりなど微塵もない私はすぐに全力を開放、即席のグングニルをフランの首を折ろうとするその腕に振り下ろした。即席であったから少し厳しいかとも思ったけれど、レーヴァテインを防いでいてこちらにあまり力を回せていない状態の魔法防壁を問題なく打ち砕き、腕を消し飛ばしてダメージを与える事は出来た。まあ、この程度なら短時間で再生は可能だろうから、今の内にフランを抱えて相手との距離を取る。

 

「フラン。貴女の気持ちはとても良く分かるけど、1人で行っては駄目よ。誰が欠けても、姉妹3人で仲良く暮らせなくなってしまうから」

「……ごめんなさい、お姉様」

「分かれば良いのよ。さて、協力してリーシェを自由にしてあげましょう!」

「うん……!」

 

 そして、私たちよりも上の相手に無闇に突撃しないようにフランを諭し、協力してお父様を亡き者にしてリーシェを守りきり、自由にしてあげるために頑張ろうと気合いを入れた後は身体能力に優れているフランを前衛に、私は魔法と能力を駆使してフランのサポートをする後衛として戦うと言う役割分担を咄嗟に決めた。

 

「フランが4人に増えた……しかも、分身の癖に本物とほぼ同じ強さだと!?」

「悔しいけど、お前の方が私よりも力は上……なら、数を増やすしかないよね?」

 

 すると、フランは出し惜しみせずに『フォーオブアカインド』を発動させ、本物と遜色ない力を持つ分身3人を加えた4人で四方八方から攻撃を仕掛け始めた。なので、私は能力を使って少し先のお父様の動きを予測し、フランたちに当てないようにしつつ最高のタイミングで魔法を放ち、戦闘をほぼ互角に進めさせた。

 

 時折、フランの包囲を抜け出して私の方に襲いかかってきた時は、全力に近い魔力を込めた『スピア・ザ・グングニル』を使った防御槍術で攻撃の威力を受け流すか、能力で攻撃の来るタイミングを予知して避けるなどして対処しつつ、隙を見て反撃するなどして少しずつ弱らせていく方針を取っていたところ、目に見えて4人のフランと私が協力した効果が見え始めた。

 

 ただ、時間が経つにつれて体力が落ちてきてから何度か顔スレスレに拳が通り抜けたり、フランの本体が力を維持出来なくなったせいで分身が消滅し、それの隙を突かれたりしてきてしまった。お陰でお父様にも相当のダメージを負わせたけど、私たち2人の方が疲労と負傷が酷く、このまま戦いが長引けばやられるのはこちらの方だった。

 

「随分と手こずらせてくれたようだが、そろそろ厳しいのではないか? 大人しくそこを退いた方が身のためだぞ? レミリア。フラン」

「ええ。確かにそろそろ厳しいわ……でもね、私たちが退いたらリーシェが死んじゃうから、退く訳にはいかないのよ!」

「私とお姉様、リーシェの3人で笑って暮らす日々を手に入れるんだから、ここで退く訳にはいかない! そして、大好きな妹を殺そうとするお前なんて……私には要らない! 死んじゃえ!」

「そうか。ならば致し方あるまい」

 

 そして、私たちが限界近い事を悟ったお父様が大人しく諦めた方が身のためだと忠告をしてきたけど、ここで退いてしまえば大好きな妹を見捨てる事になってしまう。リーシェはいざとなったら見捨てても構わないとは言っていたけど、そんなのは私が耐えられない。だから、当然の如く私はその忠告を断固拒否し、フランもそれに続いて忠告を拒否した上に死んでしまえとまで言い放つ。

 

 私たちのその返答を聞いたお父様は心底残念そうにため息をついた後、先ほどまでの戦いでは手加減をしていたと言われても納得してしまう位の魔力を放出し始めた。

 

(ふふっ、ここが正念場かしら。仕方がないから、合体技でも……)

 

 なので頭の中でそんな事を考え、未完成の合体技をやる事も考え始めていた。すると、私のすぐ横を青白い閃光が一瞬で通り過ぎたと思ったら、殺す勢いで攻撃を仕掛けてきたお父様の魔法防壁をあっさりと叩き割り、なおかつ胴体に大きな風穴を開けて貫通、強固な地下室の結界に当たって雷混じりの大爆発を起こした。お父様はまだギリギリ生きてはいるけど、この様子だとそう遠くない内に息絶えるだろう。

 

「「リーシェ!!」」

 

 この館で雷系統の魔法や技を扱う人物と言えば1人しか居ない。そう思って後ろの方を見ると案の定、雷弓を構えたリーシェが立つのもやっとな状態でそこに居たのを見た。あれだけ衰弱していたのに、私やフランの全力に勝るとも劣らない威力の攻撃を放てたのかと不思議に思っていると……

 

「姉様ごめん……もう無理……」

 

 リーシェが掠れた声でそう言い、操り人形の糸が切れたかのようにしてその場に倒れこんでしまった。

 




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