目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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レイブン家と隠された者

「へぇ……私に会いたいって吸血鬼が居るんだ。しかも、家族総出で」

「ええ、そうなのよ。相手がお父様と同程度だから無下にも出来ないし、貴女の意思が最優先なのは当たり前ではあるのだけど、出来ればお願いしたいかなって。どうかしら?」

 

 とある日の満月の夜、いつものように自室で『誘導陣術』を中心とした魔法の研究をしていた時、レミリア姉様がお願い事があるのと言いながら入ってきた。その時の顔が仕事か何かで疲れたような感じだったから、また数日前のようにハグとキスでもして欲しいのかと思ったらそうではなく、私に会いたいと()()()()()やって来た吸血鬼たちに会って欲しいとのお願いだった。

 

 何か残念な気分になりながら詳しく話を聞くと、その『レイブン家』と言う吸血鬼一家が少し前に館を訪れ、理由は不明だけど隠された者……つまり私に会いたいと来たらしい。それで、今はフラン姉様と美鈴が私の返答が得られるまで応対をしているとの事。

 

 正直面倒だなとは思ったけど、良く考えてみれば生まれてから今まで他の吸血鬼とまともな会話をした事がなかった。それに、能力を使って探知した2つの亡き父様に比肩する大きな反応と2つのそれなりな反応の存在が癇癪を起こして暴れだしては姉様たちは勿論、美鈴や館のメイドさんたちも困るだろう。

 

「大好きな姉様のお願いだし、生まれて初めて他の吸血鬼とのまともな会話の練習にもなるから良いよ。それで、今すぐ門の方に行けば良いの?」

「ありがとうね、リーシェ。それと貴女はここで待ってて。その吸血鬼たちを連れてくるから」

「分かった。待ってる」

 

 加えて、館の住人たち以外との会話の練習にもなる。そう言った理由から、私はレミリア姉様からのお願いを了承した。まあ、ロクな理由でなくとも、大好きなレミリア姉様やフラン姉様からのお願いであれば、大抵は了承するつもりでいたけれど。

 

 頭の中で思考を巡らせながらお願いを了承した後、椅子から立ち上がって今すぐ門に行けば良いのかと聞くと、本人たちをこの部屋まで連れてくるから待っててと言われたため、私は椅子に座ったままで待つ事に決めた。

 

 で、私が了承してレミリア姉様が部屋を出ていった後、亡き父様に比肩するレベルの吸血鬼たちが何故それ程まで私に会いたいのかを考え始めた。単純にどんな存在か気になったのか、自分のために利用してやろうと考えているのか、はたまた誰にも言えない不味い事でも計画しているのだろうか。まあ、正直な話私や姉様2人を含む紅魔館の皆に危害が及ぶような事でなければどれだろうとも構わないけど。

 

「リーシェ、連れてきたわよ。入っても良いかしら?」

「うん、良いよ」

 

 そうして10分程経った頃、扉をノックする音がした後すぐにレミリア姉様から連れてきたから入っても良いかと声をかけられたため、準備万端な私は良いよと言って許可を出した。

 

 すると、扉がゆっくりと開いてレミリア姉様に連れられ、私たち姉妹と同じ位の子供を含む4人の吸血鬼が入って来るのが見えた。

 

「ほう。彼女が()()()()()ですか。確かに噂に違わぬ力を持っているようですが、何より容姿が異端ですね。想像以上だ」

「例えるなら、妖精か天使ですわね」

「凄い……自作の魔導書がある……」

「よろしくな! 天使様!」

「えっ!?」

 

 入ってきた吸血鬼たちが私を見た時の反応は様々であった。大人吸血鬼2人は私の容姿が想像以上であった事への驚き、紫髪の男の子は魔導師タイプのようで、部屋にある魔導書への興味を示している。そして、真っ赤な髪の男の子は彼の母親が私の容姿を天使と例えたからか、天使様と言うあだ名をいきなり付けてフランクに挨拶をしてきたと言う感じだった。

 

 まあ、私のこの容姿は吸血鬼としては忌むべきものであるから、何か言われるかと思っていたから、それについては全く驚かなかった。ただ、亡き父様みたいな悪意のようなものは全く感じられなかったから、それについてはかなり驚いて思わず声をあげてしまった。美鈴みたいに、私の容姿が異端である事を気にしないタイプなのだろうか。

 

「……これはいきなり失礼しました。私、レイブン家当主のクァーツと言います。で、こちらの薄い金髪の彼女が妻のルーテで紫髪の子がミドナ、赤髪の子がネイビスと言います」

「あっ……はい。ご丁寧にどうも。一応自己紹介しておきますが、私はリーシェ・スカーレットと言う名前です」

 

 そんな事を考えていると、容姿についてのコメントを本人の前でいきなり言ったのを不味いと思ったのか、ハッとした表情を浮かべながら失礼しましたと言ってきた。別に悪意ある訳じゃないだろうから気良いのにと思ったが、取り敢えず謝罪は受け取っておいた。まあ、別に容姿関連で悪意ある言葉を連呼されたとしても、感覚が麻痺してるから全く響かない。

 

「では、私たちはこれで帰りますわ。いずれまた、お会いしましょう」

「あら、もう帰るの? まだ10分も経ってないわよ? ルーテ」

「レミリア。私たちは今回『隠された者』の彼女を一目見ておきたかっただけですから、元々長く居る必要性がないのですわ。だから、帰ります」

「ルーテの言う通りですよ、レミリアさん」

 

 すると、まだ来て10分も経ってない内にルーテさんの口からもう帰るとの一言が出てきたため、少し驚いた。レミリア姉様も同じような感じらしく、もう帰るのかと彼女に対して問いかけていた。

 

 ただ、ルーテさん曰く『隠された者』である私の姿を一目見て確認したかっただけのようで、目的が達成されてから長居するつもりはないから帰ると、レミリア姉様の問いに答えていた。クァーツさんもそれに同意していたため、それは本当なようだ。

 

「ふーん……まあ、そっちが良いなら良いけど。リーシェ、彼らに何か聞きたい事はある?」

「別にないよ」

「分かったわ。じゃあ、これで今日はおしまいね」

 

 2人からそう言われたレミリア姉様が納得した後、私に向けてレイブン家の面々に何か聞きたい事などはないかと聞いてきた。しかし、私は彼らに興味が特にあるわけではない故に聞きたい事は特に無かったため、姉様の問いに対して別にないと答えた。

 

 それによって、私の部屋を出て行くレイブン家の面々を見送った後、中断していた魔法の研究を再開した。




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