「リーシェ、あれから体調はどんな感じ? まだあまり良くない感じ?」
「えっと、1日グッスリ寝て身体が重たくなる程の疲れと眠気は取れたから、まあ良い感じかな。少し頭が痛いけどね」
「え、そうなの? じゃあ、早く休んでおいた方が良いよ。私の事は考えずにさ」
紅魔館に聖魔騎士団の奴らが襲撃を仕掛けてきて、それを返り討ちにした日から3日経った夜、戦闘による疲労や眠気などからある程度回復したリーシェを誘い、庭にある大きな木の幹に寄りかかりながら2人でゆったりとした一時を過ごしていた。あの時は邪魔者に妨害されて出来なかった分を、今日に回しているためだ。
ただ、あの時の戦いに使った『【神弓】イチイバル』と言う消費魔力の多いらしい魔法を始め、負担のかかる能力の限界近くまでの使用など、自分自身や私を守るために無理をし過ぎる性格により、1日ぐっすり寝て疲労や眠気は何とかなったものの、リーシェの頭痛は完全には収まってはいなかったらしい。
「構わないよ、フラン姉様。私とお話するの、楽しみだったんでしょ? 頭痛だって
それを聞いた時、今すぐこの一時を中断させてもう1日休んでおいたらと勧めたものの、リーシェはそれでも誘いに乗ると言って聞かなかった。妹のそう言う性格を分かってて、はいと言わせるように誘導したみたいで何だか複雑だったけど、それでも私は幸せだった。
「ねえ、フラン姉様。そう言えば、2人きりでこうやって夜空の星を眺めながらゆったり話しながら過ごすのって、初めてだよね」
「あっ……」
すると、リーシェが唐突にこの状況下でゆったり話をしながら過ごすのは初めてだよねと、そう言ってきた。
(えへへ……リーシェとの初めて、お姉様よりもまた先にもらっちゃった……!)
聞いてみれば、確かにリーシェの言った通りだ。つまり、私はまたお姉様を出し抜いてリーシェの
「えっと、フラン姉様? 顔赤いし、少し震えてるけど大丈夫? もしかして、調子悪いの?」
「いや、私は全然疲れてないよ! ちょっと嬉しさが溢れちゃっただけ! 本当だよ!」
で、その心の中での歓喜が収まらずにうっかり態度に出してしまったようで、リーシェに変な心配を抱かれてしまった。調子悪いのかもと誤解されたままだと、私の体調を心配したリーシェに最悪この一時を中断されかねないため、即座に否定して体調は悪くないと言う事をアピールした。
「そうなの? なら良かった。フラン姉様も楽しめてるみたいで」
「ふぅ……」
結果、リーシェに体調が悪くないと言う事を分かってもらえて、せっかくの一時を中断されるのを回避する事が出来た。これで、もうしばらくはリーシェと2人きりで色々会話を交わしたり出来るだろう。
「ねえ、リーシェ」
「どうしたの? フラン姉様」
「前から思ってたんだけどさ。私たちが寄りかかってるこの木、成長が早すぎると思わない? 他の木は普通に成長しているのに」
そう思いつつも、少しの間お互いに何を話そうか思い付かず、場を沈黙が支配し始めた。このままではせっかく得れた一時を無駄遣いするだけになってしまいそうだと感じた私は、咄嗟に思い付いた話をリーシェにしてみた。それは、メイドさんのお墓の上に植えたこの木の話題だった。
5年前にリーシェが弔いのために作ったお墓の上に、目印も兼ねて植えた何の変哲もない
「うん。私もフラン姉様と同じ事思ってる」
「やっぱり? 気になって調べてみても、全然分からないからもう面倒になって放置してるんだよね」
「なるほどね。確かに放っておいても無害だし、なにより私やレミリア姉様、フラン姉様の憩いの場になってるからそれで良いと思う」
私がこの木についての話をすると、リーシェも同じ事を思っていたらしい。だけど、気になって調べてみていた私と違い、リーシェは最初から調べずに放置をしていた事から、そう言う物だと思う事にしているみたいだ。
「と言うか、成長速度云々よりもお墓周辺を憩いの場にされたメイドさんは天国でどう思ってるのかを考えた方が良くない? 何を今更って感じだけど」
「うーん……私の考えだと、悪意を持って荒らしたり傷つけたりしなければ大丈夫だと思うよ。だって、リーシェのメイドさんなんだし、今まで何も起きてないからさ」
すると、リーシェはお墓の周りを憩いの場にされたメイドさんが、天国でどう思ってるか考えた方が良いのではと言い始めた。確かにそうかもしれないけれど、私的には紅魔館の住人であれば、普通に憩いの場として利用する
「フランにリーシェ、そこに居たのね! そろそろ騎士団についての対策を話し合いたいのだけど、大丈夫かしらー?」
「分かった!」
「問題ないよ、レミリア姉様」
リーシェが私の言葉を聞いて、確かにその通りかも知れないと納得をしていると、お姉様が私たちを呼ぶ声が館の出入り口の方から聞こえた。どうやら、3日前に襲撃してきた聖魔騎士団についての対策を話し合いたいみたいだ。
随分と長い間リーシェと2人きりで居れて結構満足した私はお姉様に了承の意を示し、それに続いてリーシェも問題ないと答えた。これにより、今日のこの一時は幕を閉じた。
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