目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話もフラン視点です


反省と今後の対策

「お姉様のところに上位者が2人も? 私のところには居なかったけど……」

「ええ。しかも、本腰を入れた討伐部隊でなく、威力偵察部隊だって言ってたのを聞いたわ」

「上位者が2人居て、ただの威力偵察部隊なの? 結構しぶとかったのに……侮れないね。聖魔騎士団って」

 

 お姉様に騎士団の襲撃対策の話し合いをするからと呼ばれ、リーシェと一緒にお姉様の部屋へと向かった私は、まず最初に3日前に起こった戦いを振り返っていた。お互いに見ていない戦いの様子を話し合って補完する事で聖魔騎士団への対策をより多く考え出し、守りをより強固にすると言う考えの下行われている事である。

 

 私やリーシェのところに来た騎士団の奴らは手練れではあったけれど、上位者と呼ばれる厄介な人間は居なかった。なので、あの時私は多少のかすり傷と力を使って疲労した位で済み、リーシェは疲労と力の負担による体調不良のみで済んだと言う事を伝えた。

 

「美鈴が!? 凄いじゃん! 流石、最強の門番だね!」

「だから、美鈴の怪我が1番酷かったんだね。善戦したなんて凄い……」

「本当にその通りよ。お陰で随分と疲れてたみたいだったし、相対した時楽に始末出来たから助かったわ」

 

 すると、お姉様の口から美鈴が上位者2人を相手取って善戦していた事を聞かされたため、私はとても驚いてしまった。数人居れば、弱小吸血鬼一家であれば滅する事が可能とも言われている聖魔騎士団の中でもきっての実力者であるからだ。その戦いぶりを見ていなかったリーシェはもとより、一緒に戦っていたお姉様ですらまるで初めて知ったかのような口ぶりであったのだから、相当凄かったのだろう。

 

「えっと……あの、お姉様……私、実はね――」

「『狂気の啓示』を使ったのよね? 戦ってる時にどす黒い圧力を感じたから、知ってるわよ」

「そうなの。リーシェとの2人きりの時間を邪魔されて腹が立ったからつい……ごめんなさい」

 

 そんな感じの会話を交わしつつ、話が少し途切れたタイミングで私は、必要もないのに狂気の啓示を使って自分の中の狂気を全て解放し、敵を虐殺した事も全て正直に話してお姉様に謝った。本来であれば、あの時私の下に来た敵には使う必要もないものであったのに加え、許可無しで使ってしまったからだ。普段から厳命されているのにも関わらず……である。

 

「まあ、確かにそうね。必要もないのに敵の生き残りにこちらの手の内の1つを晒し、下手をすれば暴走しかねない力を自己判断で使った事は、良くない事だとは思う」

「うん」

「ただ、結果としては暴走せずに自分の意思で『封じられた狂気』をコントロールして敵の大半を始末出来たし、何より館の誰も傷つかなかった。だから、今回は許す事にするわ」

 

 許可無しかつ、一時の感情による突発的な衝動に突き動かされて、暴走の危険が拭えない狂気の啓示を使ってしまった事と、敵の生き残り強く責められるのかと思ったら、意外とあっさり許されて拍子抜けした。お姉様曰く、許可無しで突発的な使用ではあったものの、何とか暴走せずに誰も傷つける事なく今回は上手くコントロール出来たかららしい。

 

「ただし、フランに宿る『封じられた狂気』は危ない力だと言うのは変わらない。もっと練習を重ね、暴走の危険が極限にまで低下して完全にコントロール出来るようになるまで、今後は許可無しに狂気の啓示は使わない事。良いわね?」

「うん、分かった。本当にごめんなさい……」

 

 しかし、今回は狂気全開でも何とかなったけど、次回以降も何とかなるとは限らない。それを私は重々理解していたから、お姉様から今後は許可無しに使うなと釘を刺された時、すぐに承知した旨を伝えて再びごめんなさいと謝った。

 

「分かってくれれば良いのよ。で、その話は一旦置いといてリーシェ。本当に申し訳ないけど、貴女に酷なお願いをしなければならないの」

 

 そうして、私の狂気の啓示の無断使用問題についての話が終わると、お姉様はリーシェに対して申し訳なさそうにしてとあるお願いをし始めた。

 

 お姉様が言うには『対騎士団戦闘で、私やフラン2人でもどうにもならない事はないけど、万全を喫すにはリーシェの本格的な協力が欲しい』と言うお願いとの事。今回のように圧倒的な数で押されつつ、上位者や魔導師が大挙して押し寄せた時に最悪の事態になりかねないと言う懸念が生まれたからみたいだ。

 

 酷なお願いと言ったのは、自分のやりたい事が今までのように出来なくなる場合が増える上に、リーシェにとってあまり好きではないような事をやらせるようになる可能性が出てきたためである。

 

「威力偵察部隊が来たって事は、もしかしたら近い内に討伐部隊と鉢合わせになるかもしれない。そんな時、リーシェが居れば取れる対策もかなり増えて安心なのよ。無理なら館を守ってくれるだけでも構わないけど……どう?」

 

 そうやって、リーシェがお姉様にお願いされてるのを見た私は、この先お願い事は聞き入れられる事になると分かっていたため、特にドキドキする事もなくその光景を見守っていた。

 

「良いよ。レミリア姉様の事だから、きっと私がどう思うのか心配なんだろうけど、そんなのは気にしないで。だって、あれを放置しておいたら……それどころじゃなくなるから」

 

 やはりと言うべきか、一切考える事なくお姉様のお願いを即座に了承した。リーシェは自分自身が出来る事の範囲内での私やお姉様からのお願い事であれば、心の中でどう思っているかは関係なく即座に了承してくれる。

 

 ただ、そんなあの子でも強く拒否する例外があった。それは、他の吸血鬼一家と1()()()相対する系統のお願い事位だ。お姉様が半ば冗談のような感じでお願いをしてみたところ、普段のリーシェから考え付かないような表情で拒否されたのを近くで見ていた時は本当に驚いた。まあ、今までそう言う経験がないに等しかったから、怖いのかもしれない。

 

「ありがとう、リーシェ。じゃあ、貴女が居る事前提で話を進めるわね」

 

 頭の中でそんな事を考えていると、リーシェにお願い事を聞き入れてもらったお姉様が話をやっと本来の方向へと進め始めた。

 

 聖魔騎士団の持つ魔法銀の武具や破邪の聖水、最近吸血鬼の伝で存在を知った破邪の刻印が付与された装備品など、まともに素手で触れればそれだけで危険な物に関しては、出来る限り近接戦闘ではなく遠距離主体で対策を取る事になった。恐らくこれは、元から超遠距離での戦いを得意とするリーシェなら特段苦労する事はないだろう。

 

 後は、防衛戦では数が少ない場合は単体での対応も許可されるけれど、どこかに攻めに行く際は絶対に2人以上で対応をする事。リーシェは近接戦闘が何故か殆んど上達しないので、戦う際は私やお姉様が前衛でリーシェが魔導師などの対処を行う後衛と言う役割分担も決まった。

 

「後は、リーシェの身体をどうやって強くすれば良いかだけど……まあ、それは追々考えるとするわ。とにかく、3人で楽しく暮らす時を邪魔されないためにも、頑張りましょう!」

「勿論だよ!」

「レミリア姉様に、言われるまでもなく頑張るつもり」

 

 こうして、お姉様が最後にそう言った事で今日の話し合いはひとまず、終わりを告げた。

 




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