目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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七曜の魔女

「ふぅ……無事に終わったわね」

「うん! 魔女さんも死ななかったし、美味しそうな食糧も得れたし、完璧だったからね!」

 

 あの後、襲った人間の村での狩りを終え、魔女狩りの犠牲になりそうであった魔女さんを助け出した私たちは即座に紅魔館へと戻り、得た食糧を食糧庫へと仕舞った後すぐ、魔女さんを背負ってレミリア姉様の部屋へと向かい、ベッドに寝かせた。この魔女さん専用に出来そうな図書館の隅にある個室が、いまいち快適とは言いづらい環境であったからだ。

 

 掃除自体はしてあり、部屋の広さもそれなりにあった場所であるものの、何があったのかは分からないけど感じる魔力が弱々しく、それによる体調不良も相まった魔女さんをそんな所に寝転がらせるのは忍びなかったと言うのもあった。まあ、確かに生活を快適にする物がない個室であったから、そう判断するのも理解出来る。

 

 ちなみに、問題の魔女さんを拘束していたのは特殊な魔法封印術式が施されていた非常に硬い謎の金属の鎖だと判明したものの、結局は物理的な拘束手段であったため、フラン姉様によってあっさりと破壊された事でこちらについては即座に解決された。魔法的な拘束手段のみであればもっと時間がかかっていただろうから、あの時の人間がそうしなかった事に感謝した。

 

「どうして、吸血鬼が私を助けたの? 貴女たちに得なんてないのに」

「私にも分からないわ。だから、そう言う()()だったのだと思ってて頂戴な」

「運命……まあ、そうなのでしょうね。きっと」

 

 すると、魔女さんがどうして得なんか全くないにも関わらず、自分を助けてくれたのかと疑問に思ったようで、レミリア姉様に対してそのような質問を投げ掛けた。確かに、私たちは魔女さんと今まで接点などなく、今日が初対面の人であった。故に、彼女の言う通り私たちに得など全くないから、不思議に思うのも納得だ。

 

「それに、得ならあるわよ。紅魔館(うち)に頼りになりそうな新しい()()が来てくれたもの」

「「「ん?」」」

 

 そんな事を考えながら、私はフラン姉様と一緒にレミリア姉様と魔女さんのやり取りを見ていた。すると、レミリア姉様が突然魔女さんに対して既に仲間になってくれる事を前提とした話をし始めたため、3人で思わず首をかしげた。

 

 普通であれば形式的でもなんにしても、こう言うのはまず本人にどうしたいか聞くものだろう。まあ、吸血鬼3人に囲まれているこの状況は結果として脅迫をしている感じになっているから、断ろうと言う気は恐らく起きないはず。私があの魔女さんの立場なら断らずに了承していただろう。

 

「ちょっと。私がまだどうするか返事してないのだけど……まあ、どのみちあの村辺りには戻れないし、ここに居た方が身の安全も守れて平和に生活出来そうだから……よろしくお願いね」

「ええ、よろしくね」

 

 なんて事を考えつつやり取りを見ていたら案の定、魔女さんは新しい紅魔館の住人になる事を即座に決めていた。ただ、脅されていて仕方なくみたいな感じは皆無で、ここに居た方が魔女狩りなどの驚異から身を守り、腰を据えて生活出来ると言う利点を見出だしたようなので、レミリア姉様と魔女さんの双方に得がある形だ。

 

「えっと……そう言えば貴女、名前はあるの?」

「勿論よ。私はパチュリー・ノーレッジ。呼び方は任せるわ。見ての通り『魔法使い』で、あらゆる属性魔法を扱う事が出来るの。ただ、持病があるから肝心な時に役に立てない事があるかもだけど……っ!?」

 

 そうして、魔女さんが改めてこの館の住人になったところで、レミリア姉様が名前を聞いた。

 

 どうやら、あの魔女さんは『パチュリー・ノーレッジ』と言う名前で、本人曰くあらゆる属性の魔法を分け隔てなく使える程の腕を持っているらしい。弱々しくも感じる魔力から、彼女の言っている事は事実なのだろう。

 

「え!? ちょっ……パチュリー、大丈夫!?」

「ゴホッ、ゴホッ……はぁ……はぁ……ええ、何とか大丈夫」

「そう……? それにしても、凄い咳き込みだったけど、これが貴女の持病?」

「その通りよ。全く、これさえなければあの程度の拘束なんて自力で破って脱出出来たのに……」

 

 そんな時、パチュリーが離している途中で急に咳き込み始めたため、話を聞いていたレミリア姉様やフラン姉様が驚き、慌て始めた。あまりにも苦しそうにするため、これは回復魔法の出番が必要になるかと思ったけど、15秒程咳き込んだ後に深呼吸して落ち着いたらしく、それを見てホッとひと安心した。

 

「うーん……取り敢えず、図書館の隅にある個室を整えるのはメイドたちにお願いするとして、それまでパチュリーは私の部屋で休んでもらうわね。こんな体調じゃ、館の案内とか私たちの紹介は厳しそうだし」

「是非ともそうさせてもらうわ……」

 

 で、本来なら私たちの詳しい自己紹介に館の案内をパチュリーにする計画であったのだけれど、今にも倒れそうな程の体調の悪さである彼女を無理に連れ回す訳には行かないため、その前にまずは快復するまでレミリア姉様の部屋で休んでもらう事が決定した。まあ、本人もそう言っているため、当然と言えば当然の決定ではある。

 

 こうして、体調がほぼ万全の状態になるまでパチュリーを休ませる事が決まり、自己紹介などは後回しとなった。




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