「パチュリー、ありがとう。お陰で最高の『
「役に立てたみたいで何よりよ。リィ」
人間の村に狩りに行き、そこで魔女狩りの手から助け出したパチュリーが新しい紅魔館の家族となってから、あっという間に3年もの月日が過ぎた。
最初は、パチュリーが種族としての魔法使いの食事と睡眠が要らない特徴と、お互い滅多に自室から出ない引きこもりがちな性格が加わって、なかなか会話の糸口が掴めなかった。しかし、私が魔法の研究に行き詰まった際にパチュリーの自室に相談のため訪れた事から会話がすいすいと進み、遂に満足の行く感じで完成させる事が出来た。
更にそれがきっかけで、頻度は私がレミリア姉様やフラン姉様の部屋に行ったりする程ではないものの、たまにどちらかがお互いの自室を訪れ、愛称で呼び合う関係にまでなった。ただ、私は愛称をつけるセンスが絶望的なため、パチュリーと普通に呼んでいる。
ちなみに、レミリア姉様は私よりも早くお互いを愛称で呼び合う関係となっていた。フラン姉様やエル曰く、魔法の話題とは別の何かで盛り上がっているらしい。
「それにしても、凄いなぁ。私が全然気づかなかった部分にあっさり気がつくんだから」
「自分で言うのもあれだけど、長い事魔法使いやってるからね。それに、私の方もリィの魔法で参考になった事もあったし、十分凄いわ」
気にはなってるけど、レミリア姉様とどう仲良くなったのかや何で盛り上がったのかは今の私には全く関係ない。だから、聞ける時にそれとなく聞いてみる事にしようと思いながら、パチュリーと色々な話をしていると、開けっ放しにしてある扉から申し訳なさそうにして、メイドさんが部屋へと入ってきた。
「あのぉ……リーシェ様。今、よろしいでしょうか?」
「私は良いけど、パチュリーは大丈夫?」
「構わないわ。何だか重要な用事がありそうだから」
「分かった。と言う訳で、メイドさん。大丈夫だよ」
「ありがとうございます。実はですね……」
パチュリーとの話の途中ではあったものの、本人からの許可を取る事が出来たため、私はメイドさんの話を聞く事に決めて発言を待った。まあ、メイドさんの表情からしてあまり良い用事ではなさそうだし、一応身構えておこう。
そう思っていたら、メイドさんが話したのはレイブン家の使者を名乗る来客から相談したい事があるからレミリア姉様とフラン姉様、私を呼んでくれとの用事であるらしい。既にレミリア姉様とフラン姉様には伝え、向かっているようだ。
正直言って、来客の応対は気を使わないといけない事がとても面倒臭い。用事があるのが私のみであれば何かと理由をつけて断る事も可能であるものの、今回はレミリア姉様とフラン姉様も来客の用事がある対象である。これでは、余程の理由がないと断る事は出来ない。
「面倒だけど、姉様2人が行ってるから行くしかないよね……分かった。伝えに来てくれてありがとう」
なので、伝えに来てくれたメイドさんにお礼を言った後、私もレイブン家を名乗る来客の下へと向かう事を決めた。
「よし。リーシェ様も来た事ですし、我等の用件をお話ししましょう」
そうして来客の居るエントランスの方へと向かい、姉様2人と私が揃った事でレイブン家を名乗る来客が用件を語り始めた。
来客曰く、用件とは聖魔騎士団の吸血鬼襲撃計画についての情報の共有であるらしい。詳しく聞いたところ、つい先日にレイブン伯爵が一家を率いて『狩り』に行った際に居た聖魔騎士団の上位者を
で、レイブン家に割り振られる予定の戦力も大概らしいけど、スカーレット家……つまり私たちに割り振られる戦力が頭おかしい程のものとなっているようだ。具体的には、レイブン家には上位者数名程を加えた50人程の戦力であるのに対し、私たちスカーレット家には上位者15人に加え、聖魔騎士団の団長と上位魔導師を加えた130人程と言う、倍以上の戦力が
「……時期は?」
「まだ用意している途中らしいので、恐らく半年は動かないと言っていました」
しかも、聖魔騎士団の言葉を
「なるほどね」
「で、そこで相談なのですが……彼らの戦力が整う前に、我々主導で吸血鬼軍団を集め、こちらから襲撃を仕掛けてやりませんか? 伯爵がそう申しておりました。本拠地らしき場所も割れているので」
そんな思考を頭の中で巡らせていると、レイブン家の使者が凄い事を言い始めた。それは、レイブン家とスカーレット家が主導して吸血鬼の軍団を結成し、聖魔騎士団の方を逆に襲撃してやろうと言うものであった。本拠地であればそれだけ多大な戦力を抱えていると言う事だけれど、その分こちらも多大な戦力でぶつかるのだから、総合的にはこちらの方が安全なのかもしれない。
「確かに、安全を考えるならそれが最善手か……分かったわ。レイブン伯爵に、了承すると伝えておいてくれる?」
「了解しました。では、近い内に伯爵をこちらに向かわせ、当日の動きなどを協議させますね」
案の定、レミリア姉様も同じような考えを持っていたらしく、使者に対して了承する旨を伝えていた。
「フラン、リーシェ。と言う訳だから、その時に備えて準備をよろしく頼むわよ」
「分かったよ!」
「勿論、準備はしっかりしておくから」
そして、用件を済ませて使者の人が帰った後、レミリア姉様に最短で半年後に控えている襲撃の日のために準備をしておくようにと言われたので、フラン姉様と一緒に分かったと返事をしておいた。
こうして、私たちは最短で半年後に迫る襲撃の日に備えて準備を始める事となった。
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