「えっと、その……レミリア様。申し訳ありませんでした!!」
「ぐすっ……知らなかったんだし、仕方ないわよ……うん」
「本当ですか!? お許し頂けて感謝です!
レミリア姉様が手合わせの中でほぼ素っ裸であると言うこの状況を全く知らないでやって来たメイドさんは、あれからずっと冷や汗を垂らしながら謝り倒していた。仕えている主の恥ずかしい姿を見てしまい、涙ぐませてしまったためだ。
まあ、メイドさんこうなってる事を知らないで来てしまったに過ぎないし、何よりここに訪れた用件が私たちに対するお客さんが来た事を伝えるためであるから、彼女に悪い部分はない。むしろ、悪いと言うならレミリア姉様を恥ずかしい姿にしてしまった私の方だろう。
「うん。それで、私たちにお客様……だっけ? レイブン家なの?」
「はい。確かにレイブン家の当主様
なんて事を考えていると、私の背後に隠れたお陰か若干立ち直ってきたレミリア姉様がメイドさんに対して、私たちに会いに来たお客様とはレイブン家の当主であるのかと聞いた。確かにこの時期に訪れる来客と言えば、未だに訪れると言っても来ないレイブン家の当主である可能性が高いから、そう問うのも頷けた。
すると、問われたメイドさんはレミリア姉様に対してレイブン家の当主
「分かったわ。来客たちに客間で結構待たせる事になるって伝えておいて。それと、訳を聞かれてもバカ正直にこの状況を言わないでね。恥ずかしいから」
「勿論です!」
そうして、訳を聞いたレミリア姉様がレイブン家の当主を含めた来客たちに待ってもらうように伝えてくれとメイドさんにお願いをして下がらせた後は、フラン姉様が新しい服を持ってくるまで待った。
「お待たせー! お姉様、持ってきたよ!」
「ありがとうね、フラン」
「うん!」
立ったまま待つ事10分、フラン姉様が替えの服を持って地下室に入ってきたためレミリア姉様はそれを受け取り、色々な理由から物凄い早さで着替えを終えると、私たちを連れて来客たちの待つ客間へと向かって行った。
「「「……」」」
知らないお客さんが何人か居ると言う事で、少し緊張しながら客間へと入っていった瞬間、賑やかだった場が一瞬にして凍りついた。大方、私の容姿に驚きを隠せないと言ったところだろうけど、この位の反応であれば全く心に響かないので問題はない。
「申し訳ないですねぇ、レミリアさん。リーシェさんに当日いきなり鉢合わせた時に馬鹿な真似に出る者や、混乱する者が居ると困るので、勝手に各吸血鬼一家の代表者を9名呼ばせて頂きました。今、ここに居ない者については彼ら彼女らにしっかりと伝えて頂く事になっています」
そんな風に、知らないお客さんの反応を見ながら考えていると、レイブン伯爵がレミリア姉様の下へと近づき、勝手に代表者9人を連れてきた事を謝り始めた。彼曰く、当日に私の姿を初めて見た際に馬鹿な真似に出る人や混乱する人が出ないようにするためとの事らしい。
確かに、今日来たお客さんの私に対する反応を見るにレイブン伯爵の言った事が、あながちないとも言い切れないだろう。それに、自分たちの都合などが大前提にあったとしても、私の事をほんの僅かでも考えてくれていなければこう言う理由は出て来ないだろうから、やっぱり伯爵を含めたレイブン家の面々は他の吸血鬼とは感覚が違うのだと、私は思った。
「なるほどね。3ヵ月も来なかったのは、彼ら彼女らの都合をつけるためかしら?」
「その通りなのです。便りすら寄越さぬ始末で、大変失礼しました」
「大丈夫よ。訳が訳みたいだし、貴方を咎めたりするつもりは全くないわ」
「寛大な心遣い、感謝します」
頭の中でそんな事を思いながらレミリア姉様とレイブン伯爵の会話を聞いていると、3ヵ月も間が空いた理由がお客さんたちの都合をつけるのに時間がかかったからだと言う事が判明した。ならお便りをくれれば良かったのにと思ったけど、今更そんな事を言ったとて無駄であるため、考えない事に決めた。
「さて、挨拶はこの辺にしておいて……早速始めますよ。皆さん、宜しいですね?」
そうして、レイブン伯爵が私たちを含む全員に始めると呼びかけた事で、目的である聖魔騎士団の本拠地襲撃当日の流れの協議が始められた。ただ、今回の襲撃では聖魔騎士団の殲滅とまではいかずとも、大打撃を与えて吸血鬼襲撃計画を頓挫させる事が大きな目的の1つとなっている。
故に、出来る限り脅威となり得る聖魔騎士団の団員を始末する事と、無関係な一般人を無駄に殺してしまわないように気をつけさえすれば各々自由に動いても構わないのではと言う一派や、面倒だから本拠地に居る奴らはまとめて始末した方が楽だろうと言う好戦派が出て来てしまう。
ただ、レイブン伯爵を含めた無駄な被害を抑えるためにはある程度流れを決めておいたりした方が良いと言う一派に、聖魔騎士団の団員でも始末しすぎは弱小吸血鬼や狂っている吸血鬼や悪魔などが増長し、巡りめぐって自分たちが困る事になるから自重すべきと言う慎重派の方が強いため、協議はこのまま続く事となった。
「レイブン伯爵。本当に
「大丈夫どころか、むしろ適任ですよ? スカーレット家当主のレミリアさんが『あの子は後衛を任せれば安心』と、自信を持って言ったのですから。下手に
それから協議が1時間程続き、後衛の要をどうするかと言う話になって、私が姉様2人やレイブン伯爵と他3人の後押しを受けてその役目を与えられた際に1人の吸血鬼から難色を示されるも、何故か姉様2人以上にレイブン伯爵が私の肩を持ってくれた事で、これも滞りなく決定した。
最終的に、まずは私が能力を使って離れた所から敵を探知し、何らかの超遠距離攻撃を仕掛けて撹乱させたら、それに乗じて前衛部隊が上手く攻め込むので、後は状況に応じて的確に味方を援護しながら残りの敵を始末していく流れとなった。イレギュラーが起こった際はその都度対処していくとも決まった。若干不安もあるけれど、姉様2人が一緒であれば地獄でも頑張れそうな気がしてくる。
「無理しない程度に頑張ろうね、リーシェ!」
「良い? フランも言ったけど、命を捨てる程の無理はしない事。私との約束よ」
「うん、分かった。約束する」
こうして、レミリア姉様とフラン姉様の2人と命が危なくなる程の無理はしない事を誓いながら、協議は幕を閉じた。
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