目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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唐突な能力の暴走

「ん……」

 

 あの出来事がきっかけで何らかの能力に目覚め、魔力を使いきって疲れ、姉様たちに見守られつつ眠ってからどれくらい経ったのかは分からないけど、割りとスッキリ私は目覚めた。若干眠気と疲労感が残っているものの、行動に支障を来す程ではなかった。

 

(それにしてもあの時の私への攻撃、全く予備動作を見せなかったなぁ。あの『能力』のお陰で助かったけど……)

 

 そうして起きてからすぐ、あの時の出来事を念頭に置きつつ、私は自分自身に目覚めた能力について考えていた。

 

 予備動作のない魔法攻撃から『危機』を感じ取って先読みする形で避け、今まで1度もやった事のない行動を閃いて反射的に実行し、寸分違わずその閃き通りに成功させる事が出来たりなど、終わってみれば自分でも不思議に思える能力であった。

 

 ただ、発動したタイミングなどから私の能力は『危機を感じた際に攻撃と回避を補助する』類いのものであると推測した。弱点などの細かいところまでは分からないけど、それは追々調べていけば分かる事だろう。

 

(ん? この気配はレミリア姉様とフラン姉様、母様……部屋の外の廊下辺りから……!?)

 

 能力について思考を巡らせていると、私の部屋の前の廊下を歩いている姉様2人と母様の気配を、至近距離に居るかのように強く感じた。それを皮切りに、館内の地下室と引きずられて行った父様たちやメイドさんなどと言った、総勢70人近くの位置やおおよその移動速度、名前などと言った情報が濁流の如く私の頭の中に流れ込んで来た。

 

 同時に、流れ込んでくるとんでもない量の情報を処理しきれないせいなのか、何かに例える事すら難しいような猛烈な頭痛が私を襲ってきた。当然、今まで感じていた眠気や疲労感は相対的に消え去り、ベッドから転げ落ち、痛みに声をあげながらのたうち回る。何かが割れたり壊れたりしたような音が聞こえたが、そんな事を気にしていられる程、今の私に余裕はない。

 

 しかし、そんな中でもはっきりと姉様2人と母様の気配が私の部屋へと急に速度を上げ、近づいてくるのを感じた。まあ、これだけ痛みを紛らわすために叫んでいるのだから、それも無理はない。

 

「リーシェ!? ちょっと大丈夫……じゃないですね!」

「母様ぁ……頭が痛いよ……助けて!!」

「お母様、急にリーシェどうしちゃったのさ!」

「原因どうこう言う前に、まずは落ち着かせる事が先決ですよ!」

「確かに……お母様、リーシェを助けてね」

「勿論ですよ! フラン……」

 

 苦しみながらそんな事を考えていると、閉まっていた扉が勢い良く吹き飛び、中に母様と姉様2人が血相を変えて私のところに駆け寄って来て、心配そうにして声をかけてきてくれた。そして、母様が私を抱き抱えてから頭に手を置き、何かを呟き始める。

 

 そうして、母様が何かを呟き始めてから3分程経った頃、頭の中に流れ込んでくる情報が急激に減っていくと同時に、猛烈な頭痛も急激に収まってきた。一体何をしたのだろうか。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

「どうやら、落ち着いたみたいですね。頭痛の具合はどうですか?」

「……うん。大分良くなったよ。ありがとう、母様」

「それは良かったです。それと、リーシェ。貴女の身に一体何が起こったのか、念のために教えて下さい。今の魔法が効いた事から、私の推測が大方正しい事は証明されましたけど……」

 

 頭痛が殆んど完全に引いたところで母様に具合はどうかと聞かれたので、大分良くなった事を伝えると、ホッと胸を撫で下ろしていた。側で見守ってくれていたレミリア姉様とフラン姉様も、同様に胸を撫で下ろしていた。その後、何が私の身に起こっていたのかと聞かれたため、目を覚ましてから今に至るまでの経緯を事細かに母様に説明する。

 

「なるほど……やはり、秘めたる能力の覚醒にリーシェの身体がついていけなくなって暴走し、それが頭痛に現れたと言う、私の予想は当たっていたようですね。力の暴走を抑える魔法をかけて正解でした」

「そうなの?」

「はい、そうですよ。フランの時に経験済みですので、そう予想が立てられました。最も、被害はこれの比ではありませんでしたけど」

 

 すると、母様が私の猛烈な頭痛の原因を、秘めていた能力の急な完全覚醒に身体がついていけなくなった事による暴走だと言ったのを聞いた。しかも、苦しむ私を一目見ただけでそれを予想したらしく、力の暴走を止める魔法を即座に使ったと言う。フラン姉様の時の経験済みであったと聞いたけど、それでも凄いと私は思った。

 

「それにしても、館内の皆の位置情報が丸分かり……物凄い探知能力ですね。自分の意思で上手く扱えるようになれれば、かなり凄い事になりそうです」

 

 頭の中でそんな事を考えていると、母様が私に目覚めた能力は上手く扱えるようになれば、かなり凄い事になるだろうと感心していた。確かに、暴走した時に流れ込んできたあの情報を全て上手く処理出来さえすれば、その通りだろう。

 

「ただ、能力の扱い方の練習をするには今はまだ負担が大きいですから、普段通りの魔力を扱う練習や、飛行練習を行って基礎的な力をもう少しつけ、それからじっくり時間をかけてやって、いずれは自由自在に扱えるようになりましょうね。リーシェ」

「うん、あの猛烈な頭痛を経験したせいで少し怖いけど……母様、私体力つけるの頑張って、いずれは能力も上手く使ってみせるよ」

 

 しかし、今の時点では能力の練習は負担が大きすぎるから、普段の練習をしっかりやって体力をつけてからやった方が良いとも言っていた。これについても、母様の言う通りである。

 

 なので、普段行う練習を更に頑張って体力をつけて、いずれは能力を自由に扱えるようになると宣言したら、母様と姉様2人も一緒に頑張ろうと言ってくれたので、俄然やる気が出てきた。

 

 ただ、せっかく寝込んで解消した疲労が能力の暴走でぶり返した事と、母様個人の都合のため、今日から数日間は休む事となった。

 

 こうして数日後に控える練習のために、私はしっかりと休息を取る事となった。

 

 

 

 




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