「うわぁぁぁ!? 吸血鬼の大軍……ってスカーレット家も居るぅ!?」
「ちっ……レイブン家まで居やがる! スカーレット家だけでも精一杯なのに!」
「ぎゃぁぁぁーー!!」
数km手前から先制攻撃を仕掛けた後、前衛の吸血鬼たちの後に続いて聖魔騎士団の本拠地へと乗り込んだ私は、敵の剣が届かない上空を飛びながら前線で戦う姉様2人の援護を主に、後衛の吸血鬼の援護を行っていた。
本来であれば魔法使い対策として目測10m以上離れての攻撃をする予定であったけど、先制攻撃で有能な対空要員をかなり削り取る事が出来たと言うのが混乱していた敵の発言や様子から判明したため、得物が届かないギリギリの高さからの援護に変えていた。攻撃する敵との距離が離れれば離れる程能力で得られる情報の処理に負担がかかる上、相手との距離が近い程命中率も上がると言う事も、近寄っての援護に変えた理由の1つである。
「アハハ! 手応えないね、お姉様!」
「
「はーい!」
それにしても、相変わらず姉様2人の活躍ぶりは凄まじかった。本気を出していないにも関わらず、聖魔騎士団をねじ伏せていってる上、自分たちの方が強くても油断を全くせずにいた。だから正直、私の援護などなくても大丈夫ではないかと思っているけど、万が一と言う事もあり得なくはないから、しっかりと姉様2人の邪魔になりそうな敵は事前に排除しておきつつ、自分に対する攻撃への警戒も怠らない。
(他の吸血鬼さんたちの様子は……あっ)
上空からレミリア姉様たちを援護しつつ、ふと能力の探知範囲内の味方の様子を見てみると、上位者クラスの魔力を持つ聖騎士数人に囲まれて、探知した感じ苦戦中の吸血鬼さんを発見した。200m以内だったらこの場から魔法を放っておしまいと言う風に出来たのだけど、1km程離れていると誘導陣術でも使わなければ厳しい。ただ、今日はもう既に1回使って解除しているため、再び使う事は不可能である。
(仕方ない……行くか)
これらの状況と、私の身体への負担の事も考えた結果、誘導陣術を使わなくても何とかなる距離まで近づいて、姉様2人から離れる事を決断した。まあないだろうけど、姉様2人が危なくなったら何よりもそちらを最優先にする方針は変わらない。
「『陣より出でし、滾る稲妻!!』」
そうして、例のその距離まで近づいた私は相手の四方に展開した魔方陣から雷を放出させ、上手いこと味方に当てないように敵を倒す事に成功した。苦戦していた吸血鬼さんが、敵の魔力をある程度削いでくれていたお陰である。
「今の内に早く、味方と合流した方が良いよ。私も、全員守れる訳じゃないから」
「あ、ああ。済まない」
で、その吸血鬼さんに味方と早急に合流する事を勧めた後は、この人よりも悲惨な状態と化している味方の吸血鬼さんを探知したため、すぐさまそちらの方へと飛んで駆けていった。
(うわぁ……上位者5人と聖魔導師3人って普通に厄介な……!)
「『空駆け穿て、イチイバル』!!」
本来なら詠唱をしっかりとしておくべきではあったけど、状況が状況であるため略して『【神弓】イチイバル』を発動させた。そうして放った矢は50メートル程離れたところにいた聖魔騎士団の人たちに吸い込まれるように向かって行き、全員まとめて射抜ける……と思っていたら、3人が防御魔法を使って身を粉にして盾となったお陰で、残りの4人は殺しきる事が出来なかった。そして……
「くそぉ! 念には念を入れたのに、吸血鬼を1人しか討ち取れ――」
私が再度攻撃を仕掛けたと同時に、残りの4人が吸血鬼さんを
(っ! 私の目の前で易々と味方を殺られるなんて……!)
あくまでも、ここは聖魔騎士団の本拠地である。少なからず犠牲者が出てしまうのは必然とも言えるだろうけど、それでも目の前で味方の吸血鬼さんを助ける事が出来なかったのはタイミングが悪かったのも1つだけど、私の力が目の前の味方を助けるには至らなかったと言うのが大きい。
後衛を任されているのに味方を易々と殺され過ぎたとなれば、これが終わった後に誰かから非難される事だろう。それが
それからは危なそうな味方も探知しなかった事もあって、周りに残っていた割りと驚異度が高めな敵を雷矢で1人1人狙って射抜いて行く。物凄く今更感が漂うけど、敵とは言え人間の命を奪っていく行為そのものに対する抵抗感が薄れてきているせいか、耳に悲鳴が届いたりしてもあまり何も思わなくなっていた。とは言え、道を外れようとは思っていないけど。
(さて、次は……!?)
まるで作業の如く、驚異度の割りと高めな聖魔騎士団を中心に狙っていると、姉様2人の側に今まで探知した中でも驚異度の高い存在が近づいていくのを確認した。それでも、姉様2人であれば大丈夫ではあろうけど、万が一があってはいけない。そう思った私は、即座に姉様2人の下に向かう事を決意した。
ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。